1−1位置図 1−2地形地質概要 1−3偏光顕微鏡写真集 1-4《まとめ》.岩石写真とその特徴1 1−5《まとめ》岩石写真とその特徴2 1-6調査結果のまとめと考察 (参考)岩石区分図

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岩石No.13(9619023)マグマ縁辺部(火砕流堆積物)あるいは花崗斑岩
オープン25× クロス25X
(肉眼観察)乳褐灰色。乳灰色をした岩石中に、薄く層状に褐色の変質鉱物が入る。岩石は元は乳灰色の花崗岩のようだが、熱水変成でも被っているようにザラットした感じである。粗粒な鉱物が認識できるが、かなり変質していそうだ。
(顕微鏡観察)組織は非常に多くの細・中粒の結晶とわずかな斑晶そして隠微晶質な石基からなる。結晶はそれぞれ分離しており、その間を隠微晶質な石基が占める。結晶は石英と斜長石が中心。細粒結晶にはカリ長石あり。全体に風化が進み、赤い変質鉱物が筋状に幾筋か走る。
 写真は中央部右側の細粒結晶が霜降り状からカリ長石、そのほか隠微晶質な石基からなる。変質鉱物のオープンでは薄緑色に見える。
岩石は火砕流堆積物と見られる。
採取岩石の写真 (推定岩石名)マグマ縁辺部(火砕流堆積物)あるいは花崗斑岩


 火砕流堆積物と花崗斑岩の違いとは何だろう。
 顕微鏡で見ると、基質をなす細粒結晶と隠微晶質な部分との関係ではないだろうか。火砕岩とした岩石は細粒結晶や隠微晶質な部分が混合していて流れを感じさせる。一方斑岩とした岩石は細粒結晶が整然とした感じで基質を埋め、また基質の大部分を占めていることだ。
 それら違いから生成環境をどう推測するかだ。火砕岩は流れがあるということは地上に堆積したか、花崗岩の割れ目に貫入してきたのだろう。だが、地上に堆積したとは考えにくい。というのは花崗岩や斑岩と同じ鉱物でできていることや形状産状がとても似通っていることだ。だから、これは地下の浅いところでの貫入だと推測したほうがよいと思う。つまり、ほとんど同じ環境で生成されたことを物語るのではないか。
 だから、火砕岩とした岩石も斑岩とした岩石も一つのマグマが地下の浅いところで花崗岩に貫入し、花崗岩に接触している部分が流を生む火砕岩となり、その内部がややゆっくり冷えて固まったのが斑岩という岩石を生みだしたのではないだろうか。
 結論としては、このあたりに見られる斑岩は花崗岩体に貫入してきた一つのマグマの塊といえるだろう。


 


岩石No.14(9829031)-花崗斑岩
上25×(ミルメカイト?)中10×下25×オープン 上25×(ミルメカイト?)中10×下25×クロス

(肉眼観察)褐灰色。岩盤の表面に中粒な結晶が突き出ている。肉眼的には2〜4mmの結晶が密集しており、その間を紫色の変質鉱物が連続して認められる。花崗岩似。
(顕微鏡観察)
 組織は等粒状の細粒結晶(0.05〜0.3mmぐらい)及び隠微晶質な変質した石基からなる。それと最大2mmほどの斑晶が点在する。
 斑晶は石英が多く次いで斜長石、カリ長石。斜長石にはミルメカイトが多く見られる。ミルメカイトは黒い部分が斜長石で白い部分が石英。細粒の結晶は石英と長石(ほとんどが斜長石と思われる)からなる。
 肉眼で見られる、粗粒な結晶粒は細粒結晶の集まりで、単一の結晶からなるのではない。
 結局、この岩石は等粒状の細粒結晶及び隠微晶質な石基からなるのでマグマが地下の浅いところでやや早く結晶化したと見られる。従って岩脈などを形成する半深成岩だろう。
 下の写真は中の写真の拡大。下の写真で黒っぽいのは長石(大方は斜長石?)で、白っぽいのは石英。
採取岩石の写真 (推定岩石名)花崗斑岩

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