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1−1位置図 1−2地形地質概要 1−3偏光顕微鏡写真集 1-4《まとめ》.岩石写真とその特徴1 1−5《まとめ》岩石写真とその特徴2 1-6調査結果のまとめと考察 (参考)岩石区分図

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岩石No.11(9619026)-融解し始めの花崗岩
オープン10× クロス10X
(肉眼観察)褐緑灰色。岩石の表面に粗粒な結晶が浮き出ている。その間を緑色や赤色の変質鉱物が広がっている。全体に風化している
(顕微鏡観察)組織は斜長石やカリ長石、石英などの大きな結晶の等粒状組織が残っているが、一方でその間を埋める細・中粒の多くの独立した結晶や隠微晶質な石基が埋めている。元々は花崗岩質岩だといえるが、マグマの残液が進入し、隠微晶質な中で細中粒結晶が生成されたと見られる。その他の鉱物として、緑泥石がある。写真は中央部の黒い帯状部は亀裂部で、そこを挟んで上側に細粒結晶が、下側に粗粒結晶が並ぶ。中央部上下(クロス)の白い鉱物はカリ長石、左下は斜長石、オープンで左上は緑泥石。
採取岩石の写真 (推定岩石名)融解し始めの花崗岩


断層?

ここから花崗岩類が終わり斑岩あるいはマグマ縁辺部(火砕流堆積物)が出てくる。これらの岩石をどう位置づけるか。

            岩石No.12(9619025)-マグマ縁辺部(火砕流堆積物?)あるいは緑泥石化した花崗斑岩
オープン25× クロス25X
(肉眼観察)緑灰色。岩石そのものが緑灰色。肉眼では結晶粒があるようでないようではっきりしない。切断機による断面では粗粒な石英や長石の結晶が認められ、その間を緑色の石基が埋めている。
(顕微鏡観察)
・1-2mm程度の斑晶、他形、量は少ない
・非常に多くの細・中粒結晶、角張る
・隠微晶質の石基
・斑晶、細粒結晶とも石英やカリ長石、斜長石からなる。
・結晶の数は非常に多く、それぞれが石基の中で独立している。
・斑晶が破砕され、その粒間に石基や細粒結晶が入り込む
・岩石が緑っぽく見えるのは石基部分が帯状の緑泥石となっているため。
 
 
採取岩石の写真 (推定岩石名マグマ縁辺部(火砕流堆積物?)あるいは緑泥石化した花崗斑岩

 この岩石の名前をどうつければいいのだろう。
 斑晶と非常に多くの中粒結晶、及び細粒の結晶や隠微晶質な石基からなる。結晶の大きさから、推論すると・・・
 斑晶はマグマの中でゆっくり冷えかたまった(深成岩)。細・中粒はそのマグマが地上近くに上昇してきて温度が低くて、早めに結晶した(半深成岩)。しかしそれらの結晶は互いに接することなく、石基の中で独立している(上のオープンの写真)。つまりマグマの中で浮遊していた?そして地上近くに来たことで@急激に固結して、石基が形成された。あるいはA火山灰や火砕流として地上に堆積して石基が形成された。
@なら地下浅くで固結したので花崗斑岩、石英斑岩という名称になるだろう。Aなら凝灰岩や火砕流堆積物、あるいは熔結凝灰岩になるだろう。
 果たして、このマグマは地上に噴出したのだろうか、否か?
 火山灰が固まればもっと隠微晶質な石基部分が多いだろう。火砕流堆積物なら?結晶粒の多さや不規則な形、角ばっていること、斑晶が分解しつつあるものもあることなどから、大きな力や圧力などが感じられる。従ってこれは静かな環境で生成されたというよりは動きのある中での生成ということになり、火砕流堆積物に近いのではないだろうか。もし火砕流堆積物と考えるのなら、それは広い範囲に堆積しており、マグマが固結したものとは違うはずだ。そういう証拠はあるはずだと思う。



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