1−1位置図 1−2地形地質概要 1−3偏光顕微鏡写真集 1-4《まとめ》.岩石写真とその特徴1 1−5《まとめ》岩石写真とその特徴2 1-6調査結果のまとめと考察 (参考)岩石区分図

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調査結果のまとめと検討(現在も継続中)

これまでの調査の中で、疑問点や理解できた点などを上げておこう。但しこれらは現在も検討中であり、正しいとは言いがたい。
1.調査地の5万分の一地質図(地質調査所発行)では熔結凝灰岩が多くの地域で出てくるのに実際にはその岩石がはっきりしない。

 というのも熔結という意味合いがはっきりしない為だと思う。熔結とは何ぞや。
 凝灰岩は火山灰が堆積したものという明瞭な事実からなっている。実際、凝灰岩を触ってみると手に粒粒の感覚が感じられる。ああ、これはまさしく火山灰が堆積したものだなと思う。
しかしそれに対して、熔結凝灰岩は組織が熱や圧力により変質し、流離構造を示すものというような捕らえ方をしていた私には、この地域に見られる岩石を十分に識別できない。またその成因はどのようなものなのか。例えば、雲仙普賢岳や新燃岳に見られるように火山灰などが山頂から転がり落ちて堆積し、それが熱や圧力などにより固結し岩石となったものなのか。それなら堆積岩に近い生成機構を持っていることになる。しかし今のところ、そうした大規模な地上への堆積環境を示すものは感じられない。つまり、地上へ堆積したというより、地下でマグマが固結したと感じられるのだ。というのも斑岩と漸移的に熔結凝灰岩とおぼしき岩石に変化する。地上での堆積ならそれは明瞭な境界が認められるはずだ。だが、マグマの質から言っても、一連の流れが認められ、継続している感じだ。


2.花崗岩と斑岩の接触部には火砕流堆積物に似た多くの結晶を含む岩石が存在する。
それはマグマが地上近くに上昇した際、花崗岩部に接触したことにより、摩擦や圧力、マグマの流などにより形成されたのだろうか。

3.花崗岩質岩は見た目の色及び鉱物から大きく2種類に分類される。一つは緑色の色をしたものともう一つは乳灰〜褐灰色の花崗岩類である。この違いは前者が緑泥石を多量に含んでおり、後者は緑泥石を含まないことによる。緑泥石を含む花崗岩質岩は粗粒結晶であるが、含まないほうは中〜細粒結晶のものと粗粒なものに二分される。


4.花崗岩類と花崗(石英)斑岩類は整合的(調和的)である。花崗(石英)斑岩が花崗岩類に明瞭に貫入した現場はない。花崗岩類には捕獲岩(ゼノリス)が多くみられる。捕獲岩は肉眼的に灰白色ののっぺりした斑岩似のものと暗緑色の細粒結晶の火山岩似?の2種類見られるが、薄片を作っておらず今後の検討課題である。

5.No.20 〜No.22の灰黒色岩は灰白色岩(石英斑岩)に貫入した岩脈とみられる。灰黒色岩がもし火砕流堆積物なら、ここには大きな裂け目(空間)があり、そのため火砕流が堆積した可能性がある。
 この灰黒色岩は市原等「岸和田地域の図幅」(地質調査所)では角礫岩岩脈(Br)だとみられる。その記述では、「本岩は、暗灰色の基質の中に、径数mm-10cm前後の灰白色の石英斑岩及び流紋岩熔結凝灰岩(W6 及びW7熔結凝灰岩に類似)の角礫を多量に含む角礫岩である。」と記している。つまり凝灰角礫岩であり、ここでいう呼び名の火砕流堆積物と同一と見られる。
 
方向は東西方向であり、全体の走向と調和的と見られる。火道だった可能性もある。

柱状図(北側から南側への岩相の順)


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