1−1位置図 1−2地形地質概要 1−3偏光顕微鏡写真集 1-4《まとめ》.岩石写真とその特徴1 1−5《まとめ》岩石写真とその特徴2 1-6調査結果のまとめと考察 (参考)岩石区分図

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1−2.地形地質概要

位置図(国土地理院発行地形図1/25000) 市販地質図:
市原実、市川浩一郎、山田直利(1986)
5万分の一地質図幅「岸和田」、地質調査所





地形地質概要(地質関係の概要・図はすべて市原・市川・山田著「地域地質研究報告 岸和田地域の地質」(昭和61年、地質調査所)を基にしています)

 調査地は大阪府泉佐野市土丸〜大木に至る樫井川沿いである。JR日根野駅東南3km辺りに土丸の集落がある。土丸より南側は山地が続く。この山地は和泉山脈と呼ばれ、東部では800mを超えているが、西に行くほど低くなり、泉佐野市では400m級になっている。樫井川はここを源に和泉山脈を北西方向に山地を開析しながら流れ、標高60〜70mの土丸辺りから西へ、大阪平野の丘陵・台地・低地を貫き大阪湾に注ぐ。
 地質は「岸和田地域の地質」によれば、白亜紀に形成された領家花崗岩類泉南流紋岩類(左記の地図の緑色部分)である。これらの分布域の南側には白亜紀最末期の海成層である和泉層群が分布する。
 一方、当地域の土丸、成合地域より北西部にかけては未固結の砂や礫、粘土などからなる鮮新世〜更新世中期にかけての大阪層群とそれ以降に形成された段丘堆積物が広く分布している。
 領家花崗岩類は大きく3つの時期に区分されている。第1期花崗岩類は片状構造顕著なもので左記の地図の水色部分である。第2期は塊状の石英閃緑岩ー花崗岩からなり左記の地図の桃色部分で、近木川(こきがわ)花崗岩と呼ばれている。当該調査地に出現する花崗岩類である。、第3期花崗岩類は左記の地図の黄色部分で塊状の石英閃緑岩ー花崗閃緑岩からなる。
 当地域では第1期花崗岩類が最も北側に、また、第2期花崗岩類がその南側に、いずれも東西方向に帯状に分布している。第2期花崗岩類のさらに南側には白亜紀の泉南流紋岩類が、ほぼ直立した構造をもって東西方向に細長く分布している。近木川花崗岩の貫入に相前後して花崗斑岩類の岩脈が小規模に分布している。
 層序的には第1期花崗岩類の後、泉南流紋岩類が堆積し、近木川花崗岩がその後に貫入した。
層序(下から古い順)

8.和泉層群(Nk,Na)
7.角礫岩(Br)
6.花崗斑岩類U(Gp)
5.近木川花崗岩(Gg)
4.花崗斑岩類T(Gdp)
3.泉南流紋岩類(W6,7)
2.小川安山岩層(Oa)
1.片状花崗岩類(Gm)
地層の解説(市原・市川・山田「岸和田地域の地質」による)

8.和泉層群:この地域は北縁層、六尾累層にあたり、基底の笠山礫岩層とその上の畦谷泥岩層からなる。
 ・畦谷泥岩層 暗灰ー黒色無層理の細砂質シルト岩を主とする。露頭では風化による玉ねぎ状構造をしばしば呈する。
 ・笠山礫岩層 主として礫岩からなり、砂岩を挟む。礫岩は塊状無層理で、礫は一般に密集し、中ー大礫で、円磨度は高い。礫は酸性火砕岩・石英斑岩を主とする。基質は中・粗粒質である。
.角礫岩:幅約20mでN70-80°E方向に石英斑岩を貫く。暗灰色の基質の中に径数mm-10cmの灰白色の石英斑岩及び 熔結凝灰岩の角礫を多量に含んでいる。基質はこれらのほか石英・斜長石・カリ長石の細片及び塵埃状物質からなる。
.花崗斑岩類U:片状花崗岩類・泉南流紋岩類を貫く岩株状の花崗斑岩ー石英斑岩。花崗斑岩は灰白色で、径5mm前後 の自形ないし融食形の石英・斜長石・カリ長石などを斑晶として、石基は微晶質、微文象質・細粒花崗岩質を示す。石英斑 岩の石基は微晶質ないし隠微晶質である。
5.近木川花崗岩:灰白色ないし淡紅色を呈する塊状、中粒〜粗粒の黒雲母花崗岩からなる。泉南流紋岩類に対しては断 層関係であるが、一部流紋岩類を貫き、明瞭な熱変成を与えている。
4.花崗斑岩類T:泉南流紋岩類より新規で、近木川花崗岩より古期な花崗閃緑斑岩及び花崗斑岩。
3.泉南流紋岩類:主体をなすのは熔結凝灰岩で、火砕岩分類ではガラス質結晶凝灰岩。南上位。
 ・下大木凝灰岩層(Ts) 褐色ー褐灰色を呈し、黒雲母流紋岩質の結晶ガラス質凝灰岩ーガラス質凝灰岩からなる。塊状だが、弱い層理を示すことがある。基質のガラス片は熔結していない。
 ・W7 熔結凝灰岩 本岩は、淡緑灰色ー淡灰色を呈し、石英・カリ長石・斜長石をほぼ等量に含む流紋岩組成の熔結凝灰岩からなる。肉眼的に粗粒石英斑晶が目立ち斑晶量が多いのが特徴。

2.小川安山岩層:輝石安山岩及び角閃石安山岩の溶岩からなる。
1.片状花崗岩類:東西方向の片状構造を示す。これは貫入・固結後の広域的な変形・再結晶作用によるといわれている。

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