独断的JAZZ批評 890.

MANABU OHISHI / YASUSHI YONEKI
「闘うベーシスト」の称号を与えたくなる米木のベース
"DUO"
大石学(p), 米木康志(b)
2013年11月 月下草舎ライヴ録音 (GEKKA0003)


最初に断わっておくと、この音楽は是が非でも大音量で聴いてもらいたい。小音量でチマチマと聴いていてはこのアルバムの良さを堪能することができないだろう。それは何故か?それは米木のベースにある。「闘うベーシスト」の称号を与えたくなるほどの野太い音色を体感するには大音量しかないのだ。出来れば、ベースの生音に近い音量で聴いてもらいたい。

今まで僕が紹介した大石学のアルバムでは3枚がソロ(JAZZ批評 690. 745. 863.)、3枚がピアノ・トリオ(JAZZ批評 643. 760. 803.)となっている。そのトリオはいずれも澤野工房の制作でベースにはJEAN-PHILIPPE VIRETが参加していた。どちらかと言えば「調和のベーシスト」だ。
僕の中では米木は初めてのベーシストだ。しかも、今回は初めてのデュオ・アルバムだ。因みに、今回のライヴ・レコーディング会場となった月下草舎はソロ・アルバム"REQUIEM"を録音した場所でもある。

@"HERE, THERE AND EVERYWHERE" あれー、いつまで経ってもベースが出てこないなあと思ったら、このトラックと次のトラックがピアノ・ソロ。PAUL McCARTNEYの曲だ。OFIR SHWARTZが"EARLIER IN TIME"(JAZZ批評 847.)の中でも演奏しているが、いずれも原曲の良さが光っている。
A"上を向いて歩こう" 
静から動へ。素材はこの曲でも「見上げてごらん夜の星を」でも良かったに違いない。
B"I THOUGHT ABOUT YOU" 
米木の野太いベース・ワークに乗ってテンションが高くなっていくその様がいいね。野性的で力強いベースだ。我がスタイルを貫こうという強い意志を感じることが出来る。まさに「闘うベーシスト」と言えるのではないか!
C"ALONE TOGETHER" 
フリーのインプロビゼーションで始まる。かなり長めのインタープレイがあって、その後、イン・テンポになる。知性の大石のピアノに野性味が加味されている。ドラムスの必要性を全く感じさせないデュオである。米木のベース音は素晴らしい!野太くて、アンプの増幅に頼らない音色だ。こういうのは、やはり、生で聴いてみたいものだ。
D"PEACE" 
同名タイトルにはH. SILVERの"PEACE"やK. BARRONの"PEACE(JAZZ批評 147.)"もあるが、この大石の"PEACE"も良い曲だ。"REQUIEM"にも挿入されている。米木のベース・ソロが泣かせるなあ!そして、熱く鼓動している大石のピアノがいい!
E"AUTUMN LEAVES"
 テーマの崩しはあるもののオーソドックスな展開だ。長目の米木のソロが用意されいるが、力強さとユニークさで「闘うベーシスト」の姿を存分に見せつけている。エンディングが洒落ていてグッド!

本アルバムは限定200枚の発売だそうだ。因みに、僕はネットでゲットした。大きな流通に載せればもっと多くの量が捌けるのだろうけど、そこには、大石なりの拘りがあるのだろう。何しろ"REQUIEM"(JAZZ批評  745.)の時はたったの50枚だったからね!
調べてみると、大石と米木の共演歴は結構多くて2000年〜2010年にかけてはほぼ1年に1枚の割でリリースされている。
本アルバムはわずか200枚の発売であるから、じきに入手困難になるのは想像に難くない。もったいないなあと思いつつ、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2014.08.04)

試聴サイト : 特になし。



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