独断的JAZZ批評 847.

OFIR SHWARTZ TRIO
オリジナルに固執しないでスタンダード・ナンバーにも
もっとトライしてほしい

"EARLIER IN TIME"
OFIR SHWARTZ(p), AMITAI LADIN(b), ELAD AIZIKOWITZ(ds)
2009年4月 スタジオ録音 (SHMOO RECORDS : 97734 64429
)

先日紹介したOFIR SHWARTZの"SHADES OF FISH"(JAZZ批評 843.)を4年ほど遡る2009年の録音。
本アルバムの方がSHWARTZのファースト・アルバムで、今では入手が難しいかと思っていたが、何とかゲット出来た。メンバーはベースもドラムスも替わっているが、どちらも実力派の役者が揃った。
このCD、例によって最初の1曲目と2曲目がキチンとトレースしない。こういう場合はブランクCD-Rに焼き直しすると、何故か直る。とりあえずはPCのCD再生アプリに落として聴くことにしよう。
Bのビートルズ・ナンバーを除くすべての曲がSHWARTZのオリジナル。

@"LAST TIME / CHECKED / WASN'T A SEA HORSE" 哀愁があるけどハード。ドラムスがちょっとオフ気味で引っ込んだ感じが惜しい。
A"EASY STEPS" 
AMITAI LADINのベースはまず音がいいね。このグループも3者の実力のバランスが取れている。内省的で哀愁を帯びた演奏だけど、内に熱気を孕んだ演奏だ。
B"HERE THERE AND EVERYWHERE" 
ビートルズ・ナンバー。PAUL McCARTNEYの書いた曲。この演奏を聴いていてNAJ PONKの"AUTUMN IN NEW YORK"(JAZZ批評 236.)の中にあるJOHN LENNONの"IF I FEEL"を思い出した。どちらもしっとりと心に沁みる。やはり曲の良さってものがあるね。
C"EREV" 
フリー・テンポで始まるが、アブストラクトというほどではない。最後までイン・テンポにならずに終わる。
D"HURRICANE" 
今度はアブストラクト風に始まる。3者の緊迫感溢れるインタープレイから徐々にイン・テンポへとシフトしていく。同時に明るい曲想へと変化して行く。
E"EARLIER IN TIME" 
耽美的なバラード。ベースがソロを執るが、アコースティックないい音色だ。
F"MEANING OF LIFE" 
一転して、ハードな演奏となる。
G"PIANO SUITE" 
ピアノ・ソロ。SHWARTZの実力を遺憾なく伝えるトラック。美しくもうねるような表情を見せるピアノが印象的。環境音楽の趣さえある。
H"SIMPLE MINDED"
 どこかで聞いたことがあるような聴き易いメロディ。オーソドックスにピアノ〜ベース〜ドラムスと回ってテーマに戻る。

セカンド・アルバムの"SHADES OF FISH"は全てオリジナルで構成されていたし、本アルバムも1曲を除く全てがオリジナルになっている。オリジナルでアルバムを作るというのはミュージシャンの夢かもしれないけど、適度にスタンダードを入れてほしい。
スタンダードっていうのは長い時間を掛けて人々に受け繋がれてきた曲だから、普遍性があって皆が好きな曲だ。
「いいテーマにいいアドリブあり」だと思うので、オリジナルに固執しないでスタンダード・ナンバーにももっとトライしてほしい。事実、本アルバムではBの曲の良さと演奏の良さが際立っているもの・・・。まだまだ伸び代を感じさせるので色々なことにもチャレンジしてほしいと思う。   (2014.01.26)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=27ssBgdk-tw



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