独断的JAZZ批評 889.

BARRY HARRIS TRIO
BARRY HARRISと言えば、当時も今もハード・バップのレジェンド的ピアニスト
"LIVE AT DUG COMPLETE EDITION"
BARRY HARRIS(p), 稲葉国光(b),渡辺文男 (ds)
1995年5月 ライヴ録音 (SOMTHIN' COOL : SCOL 1001/1002)

BARRY HARRISは1929年生まれというから録音時で66歳だ。ジャズの世界ではまだまだ老け込む歳ではない。最近の消息は分からないけど、5年前の80歳まではライヴ・コンサート(JAZZ批評 668.)に出演していた。
本アルバムは新宿のDUGでのライヴ盤。当時の日本の代表格的存在である稲葉国光と渡辺文男がサポートしている。翌年にはGEORGE MRAZ, LEROY WILLIAMSと組んで"FIRST TIME EVER"(JAZZ批評 20.)を吹き込んでいるが、これは良いアルバムだった。

1st Set:
@"LIKE SOMEONE IN LOVE" 
テーマをピアノ・ソロで、その後、アドリブではトリオでミディアム・テンポの4ビートを刻む。
A"NO NAME BLUES" 
B"A TIME FOR LOVE" 
JOHNNY MANDELの書いた曲。名曲「いそしぎ」や"EMILY"を書いたことでも有名だ。ここではリリカルなピアノ・ソロで。
C"OBLIVION" 
イン・テンポになるとB. POWELLの書いた曲らしいフレーズが次々に出てくる。いかにもPOWELL派のピアニストらしい。
D"MY HEART STOOD STILL" 
数々の名曲を世に送り出したアメリカの作曲家、RICHARD RODGERSの曲。長目のイントロから心地よいトリオ演奏に。稲葉のベース・ソロも良く歌っているが、少しオフ気味なのが残念。
E"CHEROKEE" 
高速4ビートでグイグイ進む。達者だね。
F"NASCIMENTO"
 HARRISのオリジナル。オーディエンスと大合唱。楽しそう!

2nd Set:
@"ORNITHOLOGY / LUMINESCENCE" 
レジェンド・HARRISに気を使っているのだろうか、最初はピアノ・ソロで自由に弾かせて、その後、イン・テンポで二人がサポートに加わるというパターンが多いね。
A"I'LL KEEP LOVING YOU" 
BUD POWELLはこんなバラードも書いていたんだね。
B"ON GREEN DOLPHIN STREET" 数多くのミュージシャンが取り上げてきたスタンダード。小細工なしの堂々としたアプローチがいいね。
C"IT COULD HAPPEN TO YOU" 
前曲に同様。
D"RHYTHM-A-NING" 
ドラムとの4小節交換で渡辺がフィーチャーされる。
E"SOMEBODY LOVES ME" 
この人の曲がないと片手落ちということでGEORGE GERSHIWINの曲。これも同様のパターンでHARRISのピアノ・ソロがフィーチャーされ、その後、トリオ演奏にシフトする。
F"TEA FOR TWO" 
笑い声が聞こえるあたりライヴならでは楽しみだ。
G"NASCIMENTO" 
今回はさらに大きな声で歌っている。ライヴはいいね。

Encore:
"EAST OF THE SUN" 
曲の良さと4ビートの楽しさ。最後を締めるに相応しい。

BARRY HARRISと言えば、当時も今もハード・バップのレジェンド的ピアニスト。その人が東京のライヴハウスで演奏するというので誰もが一目置いていたに違いない。
登場するほとんどのスタンダード・ナンバーでピアノのソロから始まり、その後にベースとドラムスが合流するというスタイルをとっている。常にピアノのHARRISをフィーチャーした形だ。
奇を衒うこともなくオーソドックスな展開でオーディエンスも充分楽しめたのではないだろうか?DUGでのライヴの楽しさがひしひし伝わってくるコンプリート・エディション。   (2014.07.31)

試聴サイト :
 https://www.youtube.com/watch?v=NmiVob5OsFs
          https://www.youtube.com/watch?v=FmLR0suan2g




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