ア行 |
ア ◆ あしゅ 【亜種 Sub Species】 生物の分類単位は、上から界(Kingdom),門(Phylum),鋼(Class),目(Order),科(Family),族(Tribe),属(Genus),種(Species) となっており、種を更に細分化する際に亜種という分類単位を適用する(それぞれの分類単位にも、例えば亜科、亜属といった階級がある)。亜種について の的確な定義を知らないが、通常は同種内の変異で地理的、生態的に隔離された集団を指す場合が多いので、裏を返せば同一の地域に2つ以上の亜種が存在することはない。基本的に同種 間なので交配は可能。
◆ いろむし 【色虫・彩虫】 黒一色のクワガタに対し、体全体または一部に色の入った種類を指してこう呼ぶ。有名どころでは通称パプキンを代表とするキンイロクワガタやニジイロクワガタ、オウゴンオニクワガタ等、名前を聞いただけでワクワクするような種類があり、他にもホソアカクワガタやノコギリクワガタ、ツヤクワガタの仲間、広義ではカナブンやハナムグリの仲間も含まれる。同じ種の中にも多くの色彩変異があり、人気のあるカラーや模様を固定したりして楽しむのが面白い。 カブトムシの仲間にもシロカブトを始めヘラクレスやゴホンヅノなど鮮やかな色彩を持つものがいるが、彼らはイロムシと呼ばれてるのだろうか?(私は聞いたことがない…ような気がする)。また、黒一色の通称:黒虫の中にもタランドゥスなど負けず劣らずな美麗種があり、色虫とはまた違った美しさを醸している。
◆ いんらいんぶりーど 【インラインブリード】 多くの方は1ペアの親虫からスタートしたと思うが、その子供が成虫となり、その中から再びペアを作っていくことをインラインブリードと呼び、日本語では近親交配という。 新たな親虫に投資せず自然とインラインブリードを続けていく場合もあるが、特徴的な形質やサイズを遺伝させることを意図してインラインブリードを行うブリーダーも多い。これら特徴的な個体がある程度の確率で出るようになると、それを系統と呼んだりする。 一般的にインラインブリードの進行に伴う障害(奇形、矮小化、生殖不能など)が指摘されているが、昆虫に於ける臨界点はどのくらいなのだろうか? (判りません・・・)
◆ うか 【羽化】 昆虫の変態サイクルの最終ステージで、甲虫では蛹から成虫に脱皮することを指す。羽化したばかりの成虫はまだ体全体が柔らかく、色合いも本来の色よりも浅い場合が多い。大型の甲虫になるほど羽化後の成熟期間が長く必要で、大型のカブトムシでは2〜3ヶ月もの間 蛹室に留まることがある(蛹室で越冬する種を除く)。
◆ うかふぜん 【羽化不全】 羽化の段階で何らかの障害があり、正常に羽化できなかった状態を指す。重度の羽化不全では死に至るケースもあるが、軽度のものでも肢翅に障害が残り、その後の累代飼育を目的とした交配が行えない場合もある。 羽化不全の原因には先天的・後天的の二通りがあるが、自然環境下と比べケタ違いに高い生存率が、本来淘汰されるべき羽化不全の因子を持った個体をが露呈している一面もあると考える。また飼育技術の進歩が招いた「大きくなり過ぎた」ために起こる悲劇的な羽化不全も少なからず存在すると思われる。これ以外にも蛹室の環境が適さない場合や、人為的なミス等による羽化不全も多い。 幼虫時の脱皮(加令)不全、蛹化不全もこれに準ずる。
◆ えんげいようすぽんじぶろっく 【園芸用スポンジブロック】 本 来は生花や挿し木等の保湿に使う園芸用スポンジブロック全般を指すのだが、最近では「オアシス」という商品名の方が通りが良い(?)。もちろん同じ用途の商品は他メーカーからも出ているし、最近では100円SHOPにも置いてあるので見たことのある方は多いだろう。今のところ人工蛹室の素材としては加工の容易さや保湿性の面で最も優れているのではないかと思う。 ⇒ 人工蛹室
◆ おあしす 【オアシス】
◆ おが、おがくず 【オガ、オガクズ】 ⇒ マット
◆ おちる 【落ちる】 ペット業界(?)で広く使われている言葉で、ストレートに言えば「死ぬ」こと。ニュアンス的には天寿をまっとうせずに死んでしまうことを指すのかな? 「ツヤクワは初令で落ちやすい」 とか 「羽化不全で落ちちゃった」 という風に使う。もう少し柔らかい表現では 「☆(星)になる」 ・・・つまり死んでしまって空の星になってしまったというのもあるが、話し言葉ではなかなか使われない。
◆ おんしつ 【温室】 外国産クワガタ・カブトムシ全盛の昨今、冬場の成虫・幼虫管理に温室は必須アイテムとなってきた。温室にこだわらなくても、飼育環境そのものが温度管理されていれば問題はないが、多くの方にとって専用のブリーディングルーム(通称:クワ部屋)を確保することは容易ではなく、やはりここは温室が最も適していると言えるだろう。 室内用温室としては主に観葉植物用として幾つかのメーカーが販売しており、ヒーターとサーモスタットが付属して、サイズや価格帯も手頃なものが揃っている。
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カ ◆ がくめい 【学名 Scientific Name】 国際動物命名規約に基づいて示される生物の名のこと。よく我々が使う二名法は、スウェーデンの生物学者リンネによって1758年に提案されたもので、これによって世界共通の名前で種を特定することが可能になり、また種と種の関係も判りやすくなった。 学名(Scientific Name)は、Latin Nameとも言われるようにラテン語で表記されるが、難点は読みにくさ(^^; ラテン語は現在使用されていないので基本的にはローマ字読みで良いが(英語圏では英語の発音になってる)、ローマ字で言い表せないスペルや、種名に人名がついてる場合にはそれに沿った読み方をすることがあるのでややこしい。どこかで発音やカタカナ表記に関するガイドラインを打ち出してくれないことには・・・。
◆ かれい 【加令・加齢】 ⇒ 脱皮
◆ がらすびん 【ガラスビン】 ⇒ 密封ビン
◆ かわらざい 【カワラ材】 カワラタケにより朽ちた材のことで、オオクワガタ等ドルクス属の産卵木として普及したが、最近ではオウゴンオニクワガタやタランドゥス/レギウスにたいへん有効な材として重宝されるようになった。
◆ きょうせいこうび 【強制交尾】 ⇒ ペアリング
◆ きんしかっぷ 【菌糸カップ】 本格的菌床飼育の前段として、主に若令幼虫の飼育・管理に使用される。特大プリンカップで菌糸カップを作り羽化まで持ち込む方もおられるが、多くは菌糸カップでの成長度合いをみて次の菌糸ビンのサイズを決めたり、マット飼育に切替える判断材料にしたりするケースが多い。
◆ きんしびん 【菌糸ビン】 現時点、クワガタ飼育手法の主流となっている菌床飼育の代表的なアイテム。クワガタの幼虫が好む白色腐朽材を擬似的に作り出すため、植菌した培地(オガコ)をビンに詰めて使用するもの。 一般的には450cc〜1000cc,1500cc,2000cc,といったサイズが使われるが、梅酒用の4000cc,6000ccという大排気量のアメ車なみのビンも見られるようになった。菌種は管理面等も含めてヒラタケ系が多く見られる。 幼虫を飼育する以上に菌糸の劣化を抑える管理が必要で、夏場の高温下ではクーラー等を用いた温度コントロールが重要となるが、逆に冬場の低温下(18℃以下)では子実体(キノコ)が発生し、幼虫が摂取するはずの栄養をキノコに取られたりして、最適の環境を整えるのに苦労する。が、作出される個体はマット飼育などに比べると概ね大きくなり、過程の苦労が報われるケースが多い。
◆ きんしょうしいく 【菌床飼育】 クワガタの累代飼育は材飼育→マット飼育ときて、この菌床飼育 でひとつの黄金時代を迎えたと言える(菌床飼育適合種に関して)。成虫の体長というパラメータに於て菌床飼育個体がことごとく野外産の最大サイズを越えるということは、幼虫が自然界で摂取する栄養素のプラス面を凝縮した結果であり、今後しばらくは菌床飼育をベースにしたブリードの全盛期が続くと思われる。もちろんクワガタの種類によっては未だ野外産のギネスサイズを抜けないものもあるが…。 現在ではネックだったコスト面も一部改善され、ある意味では発酵マット作成よりもリスクが少ないと言えるかも知れない。通常は菌糸ビン(菌糸ボトル)の形態で使用されるが、今後は産卵菌床などへの応用が進んでいくものと思われる。 ちなみに菌床を 「きんどこ」 と呼ぶ知人がいたが、「欽ちゃんのどこまでやるの?」になってしまうので正しく発音しましょう。 ⇒ 菌糸ビン、菌床ブロック、材飼育、マット飼育、白色腐朽菌、生オガ
◆ きんしょうぶろっく 【菌床ブロック】 菌床飼育普及の立役者がこの菌床ブロックで、比較的安価で購入できる上、添加剤の調節ができ、お好みサイズの菌糸ビンが自由に作れるといったメリットがある。自分で詰め直すという手間はかかるが、最近ではブロックのまま多頭飼育を行ったり、大型カブトの幼虫飼育に使ったりという話もよく聞かれるようになった。 他でも書いたが、ビンに仕込んでから数日で使用可能になる点なども発酵マットに比べると優れている反面、唯一面倒だと感じるのは、実際に幼虫を入れて飼育しているビンと、菌糸ビン作成に使う空ビンがほぼ同数必要になる点で、その場で詰め直して使える発酵マットに比べると資材スペースが難である(少々話が脱線したか !?)
◆ きんしんこうはい 【近親交配】
◆ くろむし 【 黒虫】 ⇒ 色虫・彩虫
◆ こうはい・こうび 【交配・交尾】 ⇒ ペアリング
◆ ごしんぼく 【御神木】 樹液採集をする時、自分のテリトリーの中で最も期待を寄せられる、つまり御利益のある樹を指してこう呼ぶ。私の家の近所にも子供の頃からお世話になっている御神木があり、シーズンになると真っ先にその樹を見に行ってはその年の吉兆を占ったりする。こういう樹やポイントは大切にしたいものである。 ⇒ 樹液採集
◆ こたいへんい 【個体変異 Individual Variation】 同じ種、極端に言えば同じ親から産まれた子供同士でも、それぞれに特徴的な変異が現れること。クワガタやカブトムシの場合には、♂のアゴや角の形質に現れやすく、これがまたサイズによっても変化に富むので、個体変異なのか地域変異なのかで物議を醸すことが多々ある。個人的には 「これは○○産だ」 というのが苦手である。。。 ⇒ 同定
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サ行 |
サ ◆ ざいしいく 【材飼育】 クワガタ飼育の原点であり、マット飼育や菌床飼育が確立される以前はみんな材飼育からスタートしていた。現在でも最も自然に近い飼育法として材飼育に拘りを持つ方も多いが、「良型が出る」「ディンプルが出にくい」といった話をよく耳にする反面、作出する個体のサイズは材の素質に依存する部分が大きく、良質材の確保に苦労する。 忘れてならないのは、マット飼育も菌床飼育もビンやボトルを1本の材に見立て、様々な添加物を加えて栄養満点の材を擬似的に作っているということ。今後、よほど革新的な飼育技法が確立されない限り、すべては材飼育の延長線上にあると思ってよい。
◆ さいらん 【 採卵】 ペアリングまたは採集した天然個体を飼育ケースにセットして産ませた卵をGET!すること。特に飼育難易度の高い種では採卵できた時の喜びが大きい(^^) ⇒ ペアリング
◆ さんらんぼく 【産卵木】 クワガタの産卵形態は通称「材産み」「マット産み」などと大別されるが、材産みするクワガタ飼育に欠かせないのが産卵木 。特にオオクワガタをはじめとするドルクス類は白色腐朽菌と呼ばれるキノコ(代表的なものは、ヒラタケ、カワラタケ等)によって分解された広葉樹に産卵するので、産卵木も相応のものを準備すると良い。樹種はクヌギ、コナラ、ブナ、エノキ等が一般的で、シイタケ栽培を終えた廃ホダ材がよく使われる。 野積みされた廃ホダ材には、いわゆる雑虫と呼ばれる先客が潜んでいる場合があるので、 使用する前には加湿の意味も含めて約半日〜数日ほど水に浸けておくか、念を入れる場合には電子レンジで加熱殺虫を行う必要がある。
◆ じゅえきさいしゅう 【樹液採集】 一般に甲虫の活動シーズンである初夏〜晩夏にかけ、彼らの餌場となる樹液を出す木で採集することを指す。長年樹液採集をやっているとコンスタントに虫を採集できる樹、タコ採れする樹に巡り合うことがあるが、このような樹を「御神木」と呼ぶこともある。 余談ではあるが、お金を貸したまま連絡が途絶えていたカブトムシ好きの知り合いがいれば、御神木の所で待っていると虫と一緒に採集できることがある。もっともこんな友達を作らないことが先だが、逆パターンで採集される場合もあるので注意が必要。 ⇒ 御神木、燈火(灯火)採集、フルーツトラップ採集、ルッキング採集
◆ しょくぶつけんえき 【植物検疫】 農林水産省 植物防疫所が行う業務で、植物検疫は大きく「国際植物検疫」「国内植物検疫」の2つがある。我々に関係してくるのは「国際植物検疫」の中の「輸入検疫」と言う部分だが、検疫の対象は植物そのものと言うより植物に紛れて侵入してくる様々な害虫である。 古い話では、アメリカからヨーロッパへ渡りワインの原料であるブドウを壊滅状態に追いやったブドウフィロキセラが(明治15年頃、サンフランシスコから)日本に侵入してきたり、逆に戦後、日本からアメリカに渡り大損害を与えたマメコガネ(あちらでは 「ジャパニーズビートルズ」 と呼ぶ)等が代表的な例で、植物検疫の必要性を世に知らしめた。 ⇒ 植物防疫法
◆ しょくぶつぼうえきほう 【植物防疫法】 1999年11月、外国産カブトムシ・クワガタムシの一部(44種)が「検疫有害動物ではない」として事実上輸入解禁になったことで一躍有名になったのが植物防疫法。現在(2002年5月)までに約200種近い種類が追加解禁されている。 我々にとっては誠にありがたい国のバックアップ(?)なのだが、同法はあくまで植物検疫を主眼としているため、昨今では在来種である昆虫の生態系に影響を及ぼすのではないか、という波紋が広がっている(いわゆる侵入生物の話ね)。長くなるのでここでは深く掘り下げないが、結論から言えば一番身近に接している我々が先頭に立って、この問題に対応していかなければならないだろう(小さなことからコツコツと・・・)。
◆ しょっこん 【食痕】 文字通り 「食べた痕跡」 のことで、クワガタ飼育では主に幼虫が餌を食べながら移動した道筋のことを指す。つまり食痕があるということは、そこに幼虫がいる(いた)という証拠であり、食痕の径の太さは幼虫のサイズに比例してくるので、野外での材割り採集で太い食痕が現れた時には否が応にも期待が膨らむ。ただし食痕だけから幼虫の種類まで特定することはほぼ不可能。 幼虫の割出しなどで大量に出る食痕の使い道として、新しい産卵木に食痕を塗ってからセットすると♀が産卵行動に入るきっかけになることがある。憶測の域を出ないが、ここには既に先客の幼虫が居た = 産卵に適した場所である、という錯覚を♀に与えているのではないかと思う。また菌糸ビン交換の時など、古いビンの食痕を新しいビンに少量移してやると、幼虫が暴れるのを緩和させる効果がある(らしい ・・・ あまり実感したことはない)。 ⇒ 白色腐朽菌
◆ じんこうようしつ 【人工蛹室】 幼虫が自分で作った蛹室が不完全な場合や、大型の蛹を無傷で羽化させたい場合などに用いられるのが人工蛹室。現在の主流は園芸用スポンジブロック(オアシス等)を加工したものだが、他にもティッシュペーパー製や木製のものなどがある。飼育技術の向上とともに幼虫・成虫がより大型化し、人工飼育下の環境や容器では無事に羽化できないことがあるため、積極的に人工蛹室を使う方も増えてきている。
◆ ぜんよう 【前蛹】 ⇒ 蛹化
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タ ◆ だっぴ 【脱皮】 完全変態の甲虫が次のステージへ移行する際に迎えるダイナミックな変化。文字通り「皮」を「脱ぐ」行為で、例えば1令幼虫は2令幼虫へ、3令幼虫は蛹へと皮を脱ぎ捨てて成長する。この見違えるような変化になぞらえ人間も「脱皮しなきゃ!」と言われることがある。但し海で遊んでばかりで日焼けして皮がむけるのは「脱皮」とは言わない…
◆ ちいきへんい 【地域変異 Geological Variation】 ⇒ 個体変異
◆ つのむし 【つのむし、ツノムシ、角虫】 「アカ、チョコバイ、ウシンクソ…、これら総じて『つのむし』の仲間は、おそらくどの図鑑にも編纂されたことのない生き物ですが、きっと皆さんよく御存知のことでしょう。さすがに私の世代で『つのむし』とは呼びませんが、母方の田舎に行くと今でも「つのむし」は「ツノムシ科」の昆虫として立派に生息しています…」 (「つのむしのお話」より) こんな書き出し方をすると万葉集か古今和歌集か、なんて雰囲気も醸してますが(醸してない!?)、「つのむし」ってのは私の田舎でクワガタやカブトムシを指す方言です。ちなみにもっと古くはゴキブリのことを「つのむし」と呼んでいたそうで、きっとあの長い触角が「つの」のように見えたんでしょうね。
◆ てんかざい 【添加剤】 クワガタ・カブトムシ飼育の世界では、とにかく「人為的に加えるモノの総称」と思って良い。「剤」と言っても薬品のようなものではなく、マットを発酵させる際に使用される小麦粉やフスマ等が代表的。他にも、きな粉やビール酵母、イースト菌、カニガラ、果てはビールそのものや清涼飲料水までが投与され、オオクワ飼育の黎明期には0.1o単位のサイズアップを狙ってそれこそありとあらゆる添加剤が使われたから当時のオオクワ幼虫達はたまったもんではなかっただろう(他人のことは笑えないが…)。 主にマットの発酵促進を狙ったものが多いが、菌床飼育用のキノコに栄養を与えるためのものや、もっと直接的に「食わせて」大きくするためのドッグフード(カブトムシ用)などがあり、これからはもっと「科学的」に研究された添加剤が使われる可能性がある。
◆ とうかさいしゅう 【燈火採集・灯火採集】 クワガタ・カブトムシが光に集まる習性(正の走光性)を利用して、街燈などの光源周辺を探して採集する方法のこと。最近では田舎道のコンビニ駐車場や自販機の下を見廻るのが効率が良く、夜中のドライブでは勝手に視線がそちらに行ってしまう。このようにクワカブが集まる光に虫好きの人間も集まってしまう習性を利用して、お金を貸したまま行方不明の友人を…(以下省略。樹液採集参照)。 上記の燈火採集法の他、もっと積極的に自ら光源を用意して虫を集める方法もあり、個人的には前者を燈火採集、後者を灯火採集と呼んで区別しているが、この使い分けに気付いた者は誰もいない…。ちなみに灯火採集は「ライトトラップ」とも呼ばれ、トラップを仕掛ける場所や装備はもちろん、時間帯や風向き、天候にも大きく左右されるので経験を要する。また地主さんや地域住民の方に迷惑がかからないよう配慮が必要。
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ナ ◆ ないし 【 内歯】 クワガタの大腮基部から先端の間に隆起する小さな歯(ギザギザ?)のこと。種類によって様々な特徴があり、また同じ種でも生体のサイズや地域によっても発現の仕方に特徴が出る。特に亜種の同定に於ては有力な情報にもなり得る。が、このように客観的な差異性を求める他にも、内歯の付き方ひとつで大きく価格や価値観が変わったりするものもあり、大きなアゴが魅力のクワガタ飼育に於ては重要なファクターと言える。 ⇒ 大腮、大歯型、小歯型、個体変異
◆ なまおが 【生オガ】 生木を粉砕しただけの発酵していない状態のオガ。主に発酵マットや菌床のベースとなるもので、そのまま飼育に使われることはまずない。 ⇒ マット
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ハ ◆ はくしょくふきゅうきん 【白色腐朽菌】 木材を腐朽させる菌類のうち約90%は白色腐朽菌と呼ばれるものであり、その中でもクワガタ飼育に歓迎されるのは比較的管理の容易なヒラタケ、カワラタケ等(他にもシイタケ、エノキダケ、マイタケ等)がある。逆に木材を黒っぽく変色させるものは褐色腐朽菌と呼ばれる。 これらの菌類は木材に胞子を落として発芽させ(菌糸)、木材中の糖やデンプン等を栄養源として成長する。この時、木材中のセルロース、ヘミセルロース、リグニンを分解し、養分を吸収された木材は白色化して腐朽する(実際には白色腐朽菌以外のバクテリアも分解に加担する)。また白色腐朽菌はダイオキシンをはじめとする環境汚染物質をも分解することが知られ、大学などの機関で研究が行われている。
◆ はちみつびん 【ハチミツビン】 ⇒ 密封ビン
◆ はんどぺありんぐ 【ハンドペアリング】 ⇒ ペアリング
◆ ひょうほん 【標本】 本来は学術的な調査・研究に必要な試料(サンプル)として用いられ、ホルマリン等の液体に浸けて保存する浸液標本、乾燥させて保存する乾燥標本などがあるが、甲虫(成虫)の場合にはもっぱら後者の場合が多い。 おそらく(私も含めて)多くの方は、愛虫の姿を永くとどめておきたい、色々な種類をコレクションしたい、あるいはインテリアとして楽しみたい、といった目的で標本を所有していると思われるが、いずれの理由にしても、標本となる個体の現物、そして諸々のデータなど最低限のポイントさえ押えておけば学術サンプルとしても立派に通用するので、作るからには基本的な手順を知っておくことをお勧めしたい。 ⇒ 標本の作り方
◆ ひろくちびん 【広口ビン】 ⇒ 密封ビン
◆ ふか 【 孵化】 卵が幼虫になること。完全変態の最初の一歩!
◆ ぶりーだー 【ブリーダー】 ストレートに言えば「繁殖家」のこと。もちろんクワガタやカブトムシに限らない話で、動物のペアを交配させ子供をとることが出来れば今日からでもブリーダーと名乗ることができる。しかし子供が山で採ってきたカブトムシをケースに入れてたら、いつの間にか卵を産んで幼虫が湧いていた、、、というのはちょっと違う。ここで言うブリーダーの定義は、豊富な経験と知識を持ち、繁殖に対する明確な目的を持った人をブリーダーと呼ぶ(ことにする)。商業ベースのブリーダーでも、趣味・研究のためのブリーダーでもかまわないので、隣人が困った時に適切なアドバイスが出来るようなブリーダーを目指そう!
◆ ぶりーど 【ブリード】 繁殖を目的とした飼育のこと。繁殖そのものを指すこともある。
◆ ぷりんかっぷ 【プリンカップ】 読んで字の如くプリンを入れるような容器のこと。大小様々なサイズがあり、小さなものは卵の管理や初令幼虫の飼育に、中サイズは幼虫から羽化までの飼育に、大きなものは成虫の管理や発送等に使われている。幼虫飼育では主にマットが主流だった(と思う)が、現在ではカップ入りの菌床(菌糸カップ)も普及している。 メーカーはよく知らないが、薄くてペコポコするものと、少し厚手でしっかりしたものがあるようで、予算に余裕があれば出来るだけ丈夫なものを使用したほうが無難。いずれにしても、国産ノコの幼虫などは簡単に穴を開け、成虫もその気になれば簡単に脱走してしまうので、その辺の対策もお忘れなく! ⇒ 菌糸カップ
◆ ふるーつとらっぷさいしゅう 【フルーツトラップ採集】 主にバナナやパイナップル等のフルーツを利用してクワガタやカブトムシを誘き寄せる採集法。フルーツをそのまま使うより焼酎や黒砂糖水に漬け込んで発酵させた方が誘引効果が高く、それをストッキング等に詰め込んで樹に吊るして使う。主に離島のクワガタ採集でよく用いられる方法だが、私が子供の頃は夜に食べたスイカの皮を庭に置いておくと翌朝にはミヤマやノコがうじゃうじゃ付いていた記憶がある(今思えば原始的なフルーツトラップだった訳だけど、良い時代だったなぁ〜)。
◆ ぶろーようき 【ブロー容器】 とりあえずブロー成型された容器は何でもブロー容器だが、クワガタ飼育では特に透明なプラスティック製(?)の円筒/角型容器を指す。 ポリボトルとガラスビンの中間みたいなイメージがあって、低価格でサイズのバリエーションも広く重宝する。
◆ ぺありんぐ 【ペアリング】 狭義では♂♀のペアを作ることだが、交配(交尾)させ産卵させる意味を含めて使われることが多い。この場合ペアとなる♂♀のサイズに配慮する必要があり、あまりにアンバランスだと交配できないばかりか、大きな♀に♂が捕食されたり、反対に大きな♂が♀を殺してしまうことがある。また、♂♀共に交配可能に成熟していることも重要。以下にオオクワガタをモチーフとした適正サイズと成熟期間の表を掲載する(工事中)。 サイズや成熟期間に配慮しても、♂♀の一方がもう一方を傷つけてしまうというトラブルは100%防げない。それを回避するために通称「ハンドペアリング」と呼ばれる強制交尾法を選択することがある(このハンドペアリングという言葉には常々違和感を覚えながらも使ってしまう・・・)。つまり目の前で交尾の一部始終を見届け、危険な状況になったらレフェリーストップをかけるという方法で、原始的だがかなり有効な手段である。 ⇒ 累代飼育
◆ ぽりぼとる 【ポリボトル】 菌糸ビンによく使われる白色半透明の容器のこと。様々な形や大きさのものがあるが、ガラスビンに比べて材料費が安く、また割れにくいので機械詰めが可能といったメリットがあり、結果的にガラス製の菌糸ビンに比べると安価で販売されている。あくまで個人的には、中の状態が見えにくいという点(リサイクルすればするほど見えにくくなる)から、あまり好んでは使用していない。
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マ行 |
マ ◆ まっと 【マット】 平たく言えば、クワガタやカブトムシに使われる「オガクズ」の総称。ただ、ひと口にマットと言っても、成虫管理用のマット、産卵用のマット、幼虫飼育用の餌用マット…と非常に幅広く、それぞれの用途や対象となる虫によってアタマが痛くなるくらい多くのマットがある。成虫管理用の特殊な針葉樹マットを除いて大半が広葉樹を粉砕または発酵させたマットが使用される。
◆ まっとしいく 【マット飼育】 菌床飼育と双璧をなす飼育法で、一般的にはマット(オガ)に添加物を加え発酵させたものを使用する(詳細はこちら)。最近は低コストになってきた菌床飼育に 押され気味の感もあるが、クワガタの種類によってはマット飼育でも十分育つ、あるいはマット飼育しか適さない種類もあり、今後も菌床飼育と並んで研究(試行錯誤?)が続くものと思われる(菌床飼育が低コストになったとは言え、マット飼育の方がまだまだ経済的!)。
◆ まよびん 【マヨビン】 ⇒ 密封ビン
◆ みっぷうびん 【密封瓶】 幼虫飼育容器の定番。マヨビンやハチミツビンと呼ばれているガラス製のものは、本来は食品や各種サンプル用に売られているが、多種多様なサイズが各ステージの幼虫飼育に適しており、多くのクワガタ業者さんで取り扱っている。その名のとおり気密性が高いので、空気穴を開けて使用するのが鉄則! 個人的には、やや細めのマヨビンは若令幼虫から♀用、ハチミツビンは70o台までのクワ♂用として使い分けている。小ぶりな広口ビンやも使い勝手が良い。ポリボトルと共に菌糸ビン作成に多く使われるが、ガラス ビンは放熱性が良いと言われている。
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ヤ行 |
ヤ
◆ ようか 【蛹化】 昆虫が幼虫から蛹へと変態することを指すが、さらに細かく言えば幼虫から前蛹のステージを経て蛹へと脱皮していくことを蛹化と言う。幼虫は前蛹になるまでに蛹室を作り終え、その蛹室の中で蛹化の準備を進める。そして蛹になると♂であれば大アゴや頭角・胸角が発達し、外見からも雌雄判別することが容易になる。
◆ ようかふぜん 【蛹化不全】 ⇒ 羽化不全
◆ ようしつ 【蛹室】 クワガタ やカブトムシは蛹になる段階で(つまり3令幼虫の後期)、無防備な自分の身を守る意味も含めて蛹室という部屋を作り、幼虫はこの部屋の中で前蛹→蛹→羽化という最後の変態を遂げる。蛹室の内壁は自分の排泄物等によって滑らかに形成され、 おそらく抗菌物質も含まれているのだろうかカビ等も発生しにくく、温度や湿度の変化も抑えられるようになっている。 土中で生活するクワガタやカナブン、ハナムグリ等はこの蛹室の内壁がカプセル状の繭(まゆ)になる。 このような蛹室も、たまに内側にキノコやカビが発生したり、あるいは一部が崩壊したりすることがあるが、そのような時には人工蛹室を作って移してやると上手く羽化まで持ち込む確率が高い。 ⇒ 前蛹、人工蛹室
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ラ行 |
ラ ◆ らいととらっぷさいしゅう 【ライトトラップ採集】 ⇒ 灯火採集
◆ るいだい きごう 【累代記号】 ⇒ F(n)
◆ るいだいしいく 【累代飼育】 親虫ペアを交配させ、その子をとって羽化させて、再び交配させて・・・というくり返し行われる飼育のこと。もちろん幼虫からスタートしてもかまわないし、自分で羽化させた成虫と天然の成虫をペアリングして産卵させてもかまわない。完全変態の移り変わりを楽しみ、次の代へとつなげることが出来れば、もうビギナーではなく中級レベルのブリーダーと呼べるのではないだろうか。
◆ るっきんぐさいしゅう 【ルッキング採集】 字面だけで言えば全ての採集はルッキング採集なんですけども、ここでは主に地面を徘徊するクワガタの「習性」を利用した採集法、ということにしましょうか(いゃ、やっぱ語弊があるかなぁ…)。主に離島のミヤマやマルバネにこの方法が有効で、林道を歩いて探したり、交通量の少ない車道や側溝を見て歩き採集します。これら以外でも樹に付いてるヒメオオやノコ、アカアシなかを探すのもコレですね、やっぱ…(^^;;
◆ れいしざい 【霊芝材】 「サルノコシカケ」で知られるマンネンタケの栽培に使用した後の材をクワガタ飼育用に転用したもの。表皮の部分は硬いが中は非常に柔らかく、飼育する多くのクワガタが好んで産卵する。作成法によって「砂埋め」と「土埋め」の2タイプがあるが、砂埋め材の方がいろんな面で扱いやすい。
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ワ ◆ わりだし 【割り出し】 羽化した成虫を材や容器から取り出す、または産卵木を割って幼虫や卵を採取することを指す。ホントにビンやボトルを割ってしまうわけではないが、このダイナミックな語感が緊張感を誘う(!?)
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英 ◆ CB 【captive breed】 ⇒ F(n) ◆ F(n) 【累代記号】 常に物議を醸す用語のひとつで、昆虫業界(?)で“F1”と言えば天然個体を飼育して得られた最初の世代の幼虫を指し、“WF1”と記述する場合もある(採集してきた幼虫を“F0”と呼んだりもする)。昆虫業界と上述したが、私の知る限りではクワガタ・カブトムシの活き虫に対して使われるケースがほとんどで、異分野の方から「使い方が間違ってるゾ!」というご指摘を受けながらも今ではしっかり市民権を得たりしている!? オオクワガタの累代飼育が確立されてから我々流にアレンジされて使われ始めた用語で、実は最初にこの記号を使い始めたのは皆さんがよく知る有名な人なのだが、ご本人も不適切さを感じながらも他に適当な呼び名が無かった…と述懐されている。たしかに天然モノに価値があるとされた時代には重宝されたし、個人的にはインラインブリードの進み具合を管理するのに使ったりもしている。ちなみに本来の意味は… 「First filial generation(F1) : 種間雑種第一世代」で、その両親は「Parents」を意味する「P1」と表される(ちなみに祖父母は「P2」という具合にさかのぼる)。 他にも「CB」「HB」等の表記を含め、いまだ解釈の仕方は多々あるため「クワガタ 記号 F」とかのキーワードでヒットした紹介ページを参考にしてみてください(^^;; ⇒ 累代飼育
◆ HB 【hybrid】 ⇒ F(n)
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数 ◆ 1ねんがた 【1年型】 幼虫の期間が1年間あるものを指す。これはクワガタの種類の他に、産卵時期や気候/餌等の条件によって左右される要素がある。 成虫の活動期の早い段階で産卵すると幼虫の加齢も早く、翌年の同時期には 羽化し新成虫として活動を開始することになる。また同じ種類のクワガタで、同じ環境で育っても♂に比べ小さな♀の方が1年型となるケースが多い。この他、幼虫の食べる餌の量や質が十分でないと早々に加齢していったり、3令後期に急激な気温の上昇があると何らかのスイッチが入って一斉に蛹化したりするケースが見られる。 ⇒ 2年型
◆ 1えつがた 【1越型】 夏の終り頃に羽化した成虫は、そのまま蛹室の中で越冬し翌年の夏に活動を開始する。このようなサイクルを経たクワガタを1越型と言い、幼虫期が1年型だったものは1年1越型、2年型の場合は2年1越型と言う。 ⇒ 1化型
◆ 1かがた 【1化型】 夏の早い時期に羽化し、その年の夏に活動を開始するものを1化型という。このタイプは幼虫期が2年、3年と長かったものが多く、羽化までに十分成長していることが条件となる。 ⇒ 1越型
◆ 2ねんがた 【2年型】 幼虫の期間が2年に渡るものを指す。比較的大型のクワガタに見られる他、成虫活動期の遅い時期に産卵されたものが2年かけて成長する場合がある。また幼虫の 摂取する餌が豊富にあるとじっくり時間をかけて加齢していくケースが知られ、同種のクワガタでも大型化する傾向がある。 ⇒ 1年型
◆ 2めいほう 【二名法】 リンネによる二名法では、属名の後に種名を付けて学名を表す。属名の頭文字のみ大文字を使用し、次に小文字から始まる種名、そして必要に応じ小文字で始まる亜種名を記載し、その後に著者名と発表年を書く。注意しなければいけない点は、属名、種名(亜種名)には必ず斜体(Italic)使用する ということ。 例) 中国産オオクワガタ Dorcus curvidens hopei (Saunders,1854) ⇒ 学名、和名
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