横浜山手本通り散策・その２


緑の木立に囲まれて建つエリスマン邸
１９２６年(大正１５年）スイス人貿易商エリスマン氏の私邸として「日本現代建築の父」と呼ばれたＡ・レイモンドの設計によって山手町１２７番地に建てられたとのこと。邸は１９８２年(昭和５７年）集合住宅建設のため解体されましたが、歴史的価値が高いと評価され横浜市が当時の所有者から譲り受け、１９９０年(平成２年）元町公園内の現在地に移築復元されました。


元町公園前に建つ「えの木てい」
えの木ていは山手本通りを挟んで公園とは反対側の道路沿いに建っています。１９２７年(昭和２年）に建てられた英国式の西洋館で外国人専用住宅を利用したカフェ。一階のリビングルームが喫茶店になっています。暖炉、木製の上げ下げ窓、今も使っている１５０年以上昔のアンティーク家具などに囲まれ、古き良き横浜の雰囲気が漂うなかで、寛いだ気分でお茶やいろいろなケーキを楽しみながら味わうことが出来ます。訪れた時は丁度八重桜が咲いていました。えの木ていの左隣には山手２３４番館が建っています。



山手２３４番館
この建物は１９２７年(昭和２年）頃、外国人向けアパートメントハウスとして建設されたもので、横浜市内に現存する数少ない遺構の一つとのことで横浜市認定の歴史的建造物になっています。創建当初は４つの同一形式の住戸が、中央部分の玄関ポーチを挟んで、対照的に向かい合った上下に重なる構成になっていたとのこと。洋風住宅意匠の典型と云える上げ下げ窓や鎧戸、暖炉など往時のモダンな生活様式を見ることが出来ます。入館は無料で一般公開されています。


山手資料館	山手十番館
１９０９年(明治４２年）に建てられ、後年現在地に移築された横浜に現存する明治時代の唯一の西洋館。横浜開港当時の資料などを展示しています。	明治１００年祭を記念して建てられたハイカラな明治情緒溢れる木造洋館のカフェ＆フレンチレストラン。


横浜外国人墓地
１８５４年（嘉永７年）に横浜港に寄港していたアメリカ海軍の水兵がフリゲート「ミシシッピ」のマストから誤って転落死したため、海の見える所に墓地を設置して欲しいと云うペリーの意向を受けて設置したのが始まりとのこと。この墓地には横浜の歴史に貢献した大勢の外国人を始め４０数カ国４８００人以上の人が眠っていると云う。

港の見える丘公園

　外国人墓地の少し先には、横浜地方気象台や岩崎ミュージアム（服飾の博物館）があり、港横浜を一望できる港の見える丘公園へと続いています。
　この地は、かつて横浜開港期にはイギリスとフランスの軍隊が自国居留民を守るため駐屯した地としても知られています。
　戦後はアメリカ軍が接収しましたが接収解除後、整備され港の見える丘公園になりました。
　現在はフランス領事館が置かれていた跡地区域はフランス山と呼ばれて遺構の一部も残っています。またイギリス領事官邸があった所は横浜イギリス館となっています。
　この他同公園には大佛次郎記念館や神奈川県立近代文学館、噴水広場を挟んでスパニッシュスタイルの地下一階、寄棟作りの木造二階建ての山手１１１番館が建っています。　設計者はベーリックホールを設計したＪ・Ｈモーガンです。この他ばら園などもあります。
　高台にある同公園は眼下に広がる港やベイブリッジなどを展望台から眺めることが出来ます。
　特に夜景の眺めは素晴らしく人気ビュースポットになっています。
　また２０１１年夏に公開されたスタジオジブリ作品「コクリコ坂から」は１９６３年(昭和３８年）頃の横浜が舞台で、横浜港はもちろん山下公園や横浜マリンタワーなどが登場し、作品中で主人公松崎海が切り盛りする下宿屋がある場所「コクリコ荘」は、この公園がモデルとなっていると云うことです。


横浜市イギリス館
１９３７年(昭和１２年）に現在の地に英国総領事公邸として建てられたコロニアルスタイルの重厚感たっぷりの鉄筋コンクリート２階建ての建物です。１９６９年(昭和４４年）横浜市が取得し２階展示室などが一般公開されています。手入れの行き届いた広い芝生の庭も美しい。


大沸次郎記念館	県立神奈川近代文学館
鞍馬天狗・パリ燃るなど数々の名作を残した横浜ゆかりの作家。	夏目漱石や芥川龍之介など明治以降に活躍した神奈川ゆかりの作家のノートなども展示


ローズガーデン。バラの花は横浜市の花として制定されています。



山手１１１番館とホール。
スパニッシュスタイルの２階建て木造洋館、吹き抜けのホールやシャンデリアが魅力的。