横浜本町通りと山下町界隈

　今回は、横浜・山下町付近の海岸と平行に走る本町通りに沿って散策しました。
　スタートとなった山下町は、かつて１８５４年（嘉永６）３月、東インド艦隊司令長官ペリーと江戸幕府全権大使林復斎（大学頭）によって、日米和親条約が締結調印された地です。
　１８５７年（安政５）には、日米修好通商条約が結ばれ、横浜や長崎など５港が開港しました。
　山下町一帯は１８９９年（明治３２）居留地制度が撤廃されるまでの３０数年間外国人居留地となりました。
　日米通商条約の締結に関しては、安政の大獄や桜田門外の変などの事件とも関連があることをちょっと思い浮かべました。
　みなとみらい線日本大通り駅近くに開港広場があります。ここには「日米和親条約調印の地」の碑が建っています。
　その隣に横浜開港資料館があり幕末から昭和初期にかけての開国、開港の歴史資料が展示してあります。
　また資料館中庭には、ペリー提督の来航から現代までの横浜の歴史を見守り続けてきた玉楠（たまくす）の木が大きく枝を伸ばして立っています。
　今の中華街も当時の居留地の一部地域でした。その後外国人人口がさらに増加したため、１９６７年（慶応２）今の外人墓地や港の見える丘公園などがある山手地区が外国人居留地に追加されました。
　山下居留区は主に外国商社が立ち並ぶ商業地域となり、山手居留区は外国人居住地となりました。
　当時の居留地の様子について記述したものに、「香港その他のアジア植民地や居留地で財をなした商人たちがさらなる成功を目指しこの地横浜に集まった。彼らによって西洋風の商社やホテル、倉庫が次々と建てられ、明治日本のただ中に、まるでヨーロッパの街区が現れたようであった。と横浜今昔散歩」には記されています。
　みなとみらい線に馬車道駅がありますが、この辺りはかつては居留地の外国人は馬車や乗合馬車でよく往来していたので、当時の日本人には非常に物珍しく「異人馬車」などとも呼んだことから地名として馬車道と名付けられたと云われています。
　この地区の歴史的建築物も１９２３年（大正１２）の関東大震災によってホテルなどを初めとし、多くの建物が壊滅的打撃を受け倒壊焼失しています。
　その後幾多の変遷を経て、今日の素晴らしい街へと生まれ変わりました。山下町の主な碑や建造物の幾つかを写真でご紹介します。


開港広場
広場横には日米和親条約（１８５４年）調印の地の碑があります。


ペリー提督横浜上陸絵図（写真は開港資料館パネル）
ペリー提督が条約調印のため開港広場近くに上陸した時の様子を示す絵図。沖合には多数のペリー艦隊の艦船が停泊している様子も描かれています。条約の締結により約２５０年続いた鎖国時代の幕は閉じられることになります。

玉楠（たまくす）の木（横浜開港資料館中庭）
開港広場の隣に横浜開港資料館があり資料館中庭に玉楠の木が立っています。。玉楠の木は、大火や大震災等に遭いその度に枝が焼け落ちるも、残った根から新たな芽が出て現在の姿にまで成長を遂げてきた、云わば横浜の歴史を見つめてきた生き証人と云えます。


馬車道
かつては外国人居留地に住む人達が馬車に乗ってよく通ったことから馬車道と呼ばれるようになったと云われています。正面の重厚なネオバロック建築の建物は現在神奈川県立歴史博物館となっていますが、明治の後半、横浜正金銀行本店として建てられたのだそうです。


牛馬飲水桶とガス灯
馬車道通り道路脇には馬の飲水桶などが残されています。また明治の初期、日本で初めてこの馬車道に街路灯としてガス灯が点灯されたとのこと、アイスクリームも日本で初めて「あいすくりん」の名前でこの横浜で売り出されたと云うことです。


ホテルニューグランド（本館）
山下公園通りにある老舗ホテル。映画やテレビでもよく舞台の一部として使われる。１９４５年（昭和２０）厚木飛行場に降り立ったＧＨＱ総司令官マッカーサー元帥は最初に、このホテルの３１５号室に滞在しました。また、「鞍馬天狗」で知られる作家の大仏次郎氏は１０年間このホテルで過ごし、執筆に利用した３１８号室は「鞍馬天狗の部屋」と呼ばれています。


横浜マリーンタワー
山下公園の近くにシルバーの塔体で建っています。ここも定番観光人気スポットの一つで９１ｍの展望フロアーから横浜港を初め遠くは富士山、三浦半島など３６０度の眺望が楽しめます。夜にはライトアップされたベイブリッジやみなとみらいの美しい夜景が楽しめます。