トリオ HF SSBトランシーバー TS−801

 トリオTS−801は1971年6月、当時モービル対応機種が無かったトリオがDC−DCコンバータノイズブランカー・ダイルロック・角の取れたデザインをコンセプトに発売したHF SSBモービルトランシーバーです。価格は8万円前後だったと思います。当時はTS−510、511などが有りました。しかし世の中の流れとして比較的安価なSSBトランシーバが求められており、TS−511から付属回路を省略した10W専用のTS−311が発売しました。このTS−801はTS−311にDC−DCコンバータノイズブランカー・ダイアルロック機能を追加してモービルでも使えるようにしたものです。
 モービル用としては既に他メーカー(八重洲など)が対応機種を販売していた為でしょうか、モービル用としてはあまり売れなかったようです。今になれば売れなかったために現用機が少なく貴重な機種と言えるかもしれません。レストアの結果、現在でも充分実用的なトランシーバーだと思います。

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入手時の状態

@40年前のリグとしては外観はよい方かもしれません。
A正面パネルやツマミはヤニで汚れています。
B底板はアルミ板で別に張り替えられているようです。
C内部プリント基板には薄い皮膜状で汚れているほか、金属面にはサビが浮き出ています。
Dシャーシの片方がわずかに曲がっています。
E送受信とも可能ですが、受信感度は極端に悪いようです。
F送信出力は3.5〜21Mhzは30W、28Mhzは15W前後です。SSB変調も問題はありません。
Gマーカー&CWフィルターが追加されています。
Hノイズブランカーはイグニッションノイズに対する効果は抜群です。

真空管チェック
 
40年前のトランシーバーなので使用している真空管をチェックしてみました。 
@受信部の高周波増幅に使用されている6BZ6(Gm8000)がBAT表示です。代替が無かったのでGm9000の6AH6と交換しました。(後に6AH6は6BA6に変更)
A同じく高周波増幅に使用されている6CB6 2本がBATだったので手持のものと交換しました。
これらの交換により、受信感度は格段に改善しました。

修理&調整

@スピーカーの下にあるIFTを調整しました。Sにして1ぐらい受信感度アップです。
Aドライブ部トラッキング調整し最高感度になるようにしました。
B局発が規定通りになるようVFO発振周波数を調整しました。
CT1〜T7はほぼピッタリと調整されていました。
Dメータの0点が若干ずれていたので調整しなおそうとしたのですが、調整用ネジが接着剤で固定されていて断念しました。
E受信部高周波増幅にはシャープカットオフ管6BZ6が使用されていましたが真空管が劣化し感度が悪かったので当初6AH6を使用してみましたが、トラブルで今は6BA6を使用しています。
トラブルの内容
・6AH6使用の場合、電源オン直後30分以内では送信状態から受信状態にすると感度が極端に落ちてしまいます。
・電源オンから時間が経つと感度低下は見られません。
・感度低下状態はCH SELECTを操作すると正常に戻ります。
・使用している6AH6に問題があるのかは分かりませんが、6BA6、6AK5では問題は起こりませんので手持の6BA6(GM4400)に変更しました。
・6AH6と6BA6とではSで若干違いがありますが実用上ほとんど問題はありません。
・入手できれば本来の6BZ6を使用すべきです。

改造箇所
@マーカーが追加されています。
ACWフィルターが追加されています。TS−801にはCWフィルターのオプションは無いので、自作追加したものと思われます。
B電源は入力70Wに改造されていますが、アンテナコイル出力側のコンデンサーの変更はされていないようです。(取説が無いのでそのままにしました。)

汚れ落とし

全体がヤニやサビで汚れていたので落としました。
@正面パネルを取り外そうとしたのですが取り外せません。このパネルは樹脂の部分がその下の金属パネルと接着剤で接着されているようです。破損の危険があったので諦めました。
Aダイヤル表示板は何故か2枚付いていました。
Bパネル、ツマミはシンプルグリーンで汚れを落としました。
Cプリント基板の薄い皮膜状の汚れは麺棒にアルコールを染み込ませ落としました。
D金属面の汚れも丁寧に落としました。
Eケースは黒つや消し塗装を施しました。
F全体的にかなり綺麗になったと思います。TS−2000とIC−9100と並べてみました。時代が感じられます。

レストア終了
@外観は大変綺麗になりました。
A全バンド送受信とも問題は有りません。
B受信確認は3.5、7Mhzはダイポールで14〜28Mhzは3エレ八木で信号を受信し確認しました。
C送信確認はパワー計で電波が出ていることを確認し実際のQSOはしておりませんが、モニターで正常に動作していることを確認しました。
Dアンテナコイル切替スイッチの固定コンデンサーを調整すれば40W超の出力が得られるのですが取説が無いため断念しました。(アンテナロードはバリコンではなくコンデンサーを切り替えて行っている。)

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