Allied Radio A-2516 Receiver(トリオ JR−500S 受信機)
Allied Radio A-2516 Receiver、トリオのOEMで日本ではJR−500Sとして1966年に発売されています。最近ヤフーオークションで入手しました。 JR−500Sは1966年発売だから、数年後の製造と考えても「50年も前のもの」です。 オークション説明では「電源と3.5MHz〜28.5MHzの受信は確認済みですが、感度低下のため要調整です。AFボリュームにガリがあり、メーターの振りが悪いようです。」とありましたが微かに信号らしきものが確認できました。また、Sメーターはケースから外れており動作するような状態ではありませんでした。 確かにわずかでも信号らしきものが入ったので受信はできているのでしょうが、感度低下と呼べる状態ではないと思うのですが!・・・・・ ラインアップは6BZ6、6BL6、6BL8、6BE6、6BA6、6BA6、6AQ8、6BM8でVFOは2SC185を2個、電源整流はダイオード半波整流です。 2ndIFはメカニカルフィルタ。1バンドあたり600kHz幅で3.5〜28MHzハムバンドが受信できます。狭受信帯域なので、金属ギヤで減速しているのでスプレッドダイヤルも必要なしです。 全体としてとても良い構成です。 もう一つ、3.5、7Mh周波数メモリーが14Mhz以上のバンドと逆方向になっています。つまり時計回りに回すと周波数が低くなるます。1stIFが8.9〜9.5MHzなのでそうなるのですが、これは必ずしも不都合なことではありません。SS下のバンドではLSB、高いバンドではUSB・・・・・。受信した音声が高い場合チューニングはどのバンドでも時計方向に回せばよいだけです。だからUSB/LSBの切り替えスイッチがありません。コスト削減のためだったかもしれませんが古い無線機ではよく採用されていた方式です。 今回入手したA−2561はJR−500Sと若干違うところがあります。 @電源が115Xです。 基本はAC115Vの昇圧トランスなどで電圧を上げて使用するのが基本ですが、今回はAC100Vでも十分な感度が得られるように受信感度アップ改造を施しました。また、115V電源を使用した場合は高感度すぎる状態になるので感度を抑える機能もあわせて追加しております。 今回は専用の115V電源を用意しました。 Aアウトプットトランスの位置が電源トランスから離れた位置に取り付けられています。(JR−500Sでは電源トランスの側)これは電源トランスからの誘導ハム防止に大いに効果がありそうです。
写真をクリックすると大きくなります。
@電源は入るもののどのバンドも受信出来ない状態です。(微かに信号らしきものは確認できました。)オークション説明にあった感度が低下している状態ではありません。 AS−メータは写真のように外れていました。オークション説明にあるSの振れが悪いのではなく壊れています。 Bシャーシには小さな錆が目立ちます。また、水晶発信子も汚れがひどい状態です。 Cアウトプットトランスの片側がネジ止めされていません。JR−500Sの場合は5枚目の写真の箇所にアウトプットトランスが取り付けてありました。 このA−2561では局発水晶発の側に取り付けられています。これは電源トランスの誘導ハム防止対策のためです。効果は大きく誘導ハムは全く感じられませんでした。 D真空管は真空管チェッカーで確認したところ大分劣化が進んでいるようです。→全て取り替えることにしました。 E外観は比較的綺麗な状態です。
受信感度が極端に悪い原因 @第一メカフィル455KhzマッチングIFTのコアー破損。 A第二メカフィル455KhzマッチングIFTに油のような液体付着のため455Khz同調が取れなくなっていました。 B同様に検波入力IFTにも同様の液体が付着し455Khz同調が取れなくなっていました。 これらの原因調査はSGで455Khz信号を第二ミクサーに抽入し調整したところ、コアーを回しても同調が取れないので、取り外し調べたところ液体の付着が判明しました。 対策 @破損したコアーをたまたまあったコアーに交換し、さらに100pfコンデンサーを追加することによって同調が取れるようになりました。 AB液体を綿棒で取り除いたところ455Khz同調が取れるようになりました。 SGで455Khz信号を抽入し同調が取れることを確認しました。 Cさらに真空管はチェッカーでグッドレベルのものにすべて交換しました。 この結果、全バンドで問題なく受信ができるようになりました。
更なる感度アップ対策 AC100V電源でもそれなりの感度で受信できるように感度アップ対策を施しました。感度アップは次の2段階方式です。 @中間周波増幅部のカソード抵抗1KΩに並列に約1KΩ抵抗を接続し感度アップを図りました。 これでS1程度の感度アップです。 Aさらにこの1KΩ抵抗をジャンパーすることによりさらにS1程度の感度アップが図れます。 1KΩのままの状態よりS2程度の改善です。 この短絡方法はワイヤーアンテナ端子を短絡する方法で行っています。 B短絡の場合、AC100Vでは問題が無いのですがAC115V電源でアンテナ線を繋がない場合バンドによって発振気味になることがあります。 アンテナ端子のショート線を取り外せば問題は発生しません。また、初段真空管を6BA6に差し替えれば発振はしません。 C感度改善を計ってもAC100Vでは十分な性能は発揮できません。 仕様通りAC115V電源を使用すれば今どきの無線機以上の性能がが発揮できます。その効果は絶大です。 S5〜6程度の信号がS9+で受信できるようになりました。 今回は、115V電源を作ってみました。115V仕様の他の無線機にも使用できるように比較的大型のトランスを使用しました。 DメカフィルIFT部に追加した100Pコンデンサーが見えます。
シャーシ上の製造復旧で錆などを綺麗に落としました。 @水晶発信子は写真のように磨き上げました。 Aアオトプットトランスは両サイドネジ止めし、また劣化していた配線を張り替えました。 Bシャーシに点状に目立った錆や汚れは写真のように落とし大変綺麗状態を保っております。 汚れ落と方は企業秘密ですが、何のことはないコツコツとサンドペーパーやコンパウンドで少しずつ落としました。一番手間と時間がかかっています。hi!hi!hi!
このモデルは米国で発売された関係で電源はAC115Vになっています。 AC100Vでも受信は可能ですが、性能を十分発揮するためには115V電源を使用することが望まれます。 この機種にかかわらず115V無線機入手に備えステップアップ電源を作成しました。 @電源トランスはSANSINDENKI KKのPT−1102Aという比較的大型電源を使用しました。 A電源電圧は117Vです。115V無線機の性能を十二分に発揮できる電圧です。 B使用時の発熱量も問題が無かったのでタカチのケースに収めました。 Cこのトランスは117Vが2系統の他9.3〜55Vまで複数の電源電圧が利用できるようになっています。
完了! @受信感度は高感度です。今どきのトランシーバーに決して負けないと思います。 ASSB復調も特に問題は見られません。 B外観は大変綺麗で全体も良い状態を保っています。 C操作性向上のためスピーカーを内蔵しました。
下のイラストをクリックするとそのページを表示します。