Lafayette HA-225、HE-80(日本ではTRIOのJR−60)のリストアに挑戦


  Lafayette HA-225はHE-80(日本ではTRIOのJR−60)後継機として1964年12月に米国デビューしました。HA-225はHE-80はTRIOの米国むけ 仕様として位置付けです。変更点は、中波バンドを廃止して代わりに長波帯をカバーしています。 フロントパネルとリアパネルはほとんど同じのように思われます。 しかしその内部には変更点・改良点がいくつか見受けられます。主なものは以下の通りです。
・局発・混合管ヒータの常時通電
・メインおよびスプレッド バリコンを金属ケースで被った
・オーディオ出力トランスを45度傾け、誘導結合を減少
・BFO回路をサブシャーシに実装
・高周波周りを同軸ケーブルで配線
   バリコンを覆うカバーは金属板を単に折り曲げて作られたものですが、回りこみ防止など安定した受信に役立つと思われます。何故JR−60には適用しないのか不思議です。アメちゃん仕様の徹底した意気込みが感じられます。
    電源部からのハム防止のためと思われますが、45度傾いているオーディオ出力トランスの効果ははっきりはしないものの、色々とした工夫の後が見られます。HA-225は全てメーカ組み立てで内部配線は、一部キットででまわたJR−60と比べるとレストアは大変でした。(しっかり配線されているので配線を外すのが大変HiHi!!)

(写真をクリックすると大きくなります。)

HA−255の状態
@外観
・正面パネルに一部に塗装が剥がれているところがありますが、文字盤は大変綺麗です。
・ケースは全体的に劣化が進み、塗装の剥げ、錆びが浮き出ています。
A2〜3メータのビニール線を付けて受信したところ
 1.6〜4.8Mhzバンドでかすかに信号らしきものが確認できます。
Bその他のバンドでは確認できません。
C音量ボリュームを上げるとハム音とともに音が割れ、発振してしまいます。
Dコイルパックの状態はまずまずのようです。
Eボリュームのガリやスイッチの接点不良は無いようです。(抵抗値の変化は大きいようですが)
F50Mhzコンバータの局発水晶は発振していません。
GBFOやQマルチ、マーカーなどその他の機能は調整を進める過程で状況を確認して行こうと思います。

電源部電解コンデンサーの交換
 ハムの原因はあえて調べるまでもなし。 B電圧平滑用電解コンデンサーはシャーシ内部に設けられています。 容量は40μFが2ブロック。電源部電解コンデンサーの液漏れが見られたので新品の電解コンデンサーと交換しました。液漏れでシャーシの一部に錆びが出てましたので除去しました。   
 この状態で、オーディオ信号をAF増幅部に加え、AFボリュームを徐々に上げてみた所、スピーカーから綺麗な音声が確認されましたので、どうやらAF部は正常に働いているようです。ハムはすっきり解消。
 その他、真空管に掛かる電圧の確認と、劣化してると思われる、コンデンサー、抵抗を一部新しいものに交換しております。

Sメータゼロ点調整ボリュームの交換
ハムが消えると、かすかに受信動作をしていることも判明しました。感度は非常に悪く、またダイヤル位置によってはほぼ無感のところもあります。
 Sメータは逆に振れますがAGCは動作していることがわかりました。 BFOは一応動作している様子です。 コイル・パックの各コアやトリマのゆるみ止めペイントは割られていますので、ユーザによる調整が入っているようです。 例によって、調整は無茶苦茶にされているようです。
Sメータはゼロ点調整のボリュームの劣化が原因と見られるので交換しました。テスターで抵抗値を測定してみた所、抵抗値のバランスが大きく違っておりました。
IFTを再調整
 中間周波トランスの再調整を開始します。 シグナル ジェネレータからの455kHz %の信号を各段に注入し、AF出力をオシロスコープで観測しながらトランスのコアを回します。 この中間周波トランスは同調点が2箇所あるようです。コアーを一杯出した状態で、廻していくとピークが1とつ、さらに廻していくともう一つ。最初のピークが本物の455Khzのピークのようです。この受信機では 2箇所あるピークのうち弱い方に合わされていたようです。 調整を完了してみると、HA-225の感度は大幅にアップしていることがわかりました。 作業開始時点では中国局が何局かかすかに、かつ発振ぎみで聞こえていただけでした。 今では7MHzのアマチュアバンドのモガモガも受信で着ております。
 SSBモードでSSBの受信を試みましたが上手く受信ができません。 おそらくプロダクト検波部に問題がありそうです。
メイン ダイヤルの位置による感度ばらつきは結構あるのでコイル パックの再調整は必要ですが、 それにしても中間周波トランスの再調整だけで見違えるような性能になりました。 




プロダクト検波部の調整
 AM検波は双2極管 6AL5 で行われます。 この6AL5のヒータは電源ハムに敏感であり、ハムを低減するために抵抗を介して点火されています。  シグナル ジェネレータからの信号を2段めの中間周波増幅段に注入してテストしてみると、 AM検波の音質はなかなか良好であることがわかりました。SSBを受信する場合は切替スイッチによってプロダクト検波回路にに切り替えます。
 プロダクト検波はペンタグリッド コンバータ6BE6を使用しています。 BFO信号は7ピン、つまり第3グリッドに直接注入されています。 シグナル ジェネレータから7Mhz無変調信号をアンテナ端子に入力し、SSB・CWモードに切り替えてみると、聞くに堪えない濁った音に、特にRFボリューム最大感度にすると「グギャー」と発振してしまします。それでもQマルチをオンにし受信してみると何とか聞かれるトーンになりました。
 おそらくパスコンのリークが原因と見られます。AFボリュームのインプット側の電圧を測定すると10X近くあります。0.005のオイルパスコンのリークです。0.005が無かったので0.002のフィルムコンデンサーに取り替えました。
 さらに6BE6のカソードに入っている電解コンデンサーをとりかえました。
これで、SSBも快適に受信できると思っていましたが、現実は甘くありませんね!RFボリュームをかなり絞らないとモガモガ成分が強く話の内容が分かりません。例によってQマルチをオンにすると何とか受信できるのですが。真空管を取り替えたり様々やってみましたがどれも上手くいきません。BFO回路は比較的単純な回路で、マイカコンデンサーと47Kの抵抗が配線されているだけです。あまり手を加える要素もありません。
 最後の手段として、写真のようにBFO出力を最初のIFTに入力してやることで解決しました。これで強弱さまざまなSSB信号をRFゲインの調整無しに快適に受信することができるようになりました。

トラッキングの調整
  バンド切替スイッチは比較的良い状態で、接触不良はほぼありません。 ダイヤルにはさほどの狂いはありませんでしたが、シグナル ジェネレータを使って各バンドの再調整を行っておきました。 感度はほぼベストと思われる状態になりましたが、トラキングの取れないバンドもありますが、40年まえの受信機と言うことを考えると止むを得ないものと思います。
50Mhzクリコンの調整
 43Mhz水晶は最終的には近くのパーツ店に偶然在庫があったのでそれと交換しました。発振しなくなった発振は装置に差し込んで暫くの間電源を加え刺激を与えると復活することが良くあります。しかしこの水晶は遂に発振はしませんでした。
 クリコンはシグナル ジェネレータからの50Mhz信号を受信できるように調整しましたが、実際の50Mhzの受信には至っておりません。なにせ50Mhzは当地では死んでいる状態ですので、来年のEスポ時期まで受信確認はお預けです。

下のイラストをクリックするとそのページを表示します。


home

プロフィール

真空管受信機ラジオ

製作・実験

シャック

アンテナ

QSLカード

SSTV・衛星

パソコン

オーディオ

ブンちゃん

健康