ヤエス 真空管式受信機 FR−50B 


 昭和44年9月にFR-50B,FL-50Bは、初級用のSSB運用が可能なアマチュア無線機器として発売されました。社会人なり立ての小生にとっては高値の花でしたし、まだSSBよりもまだAMが主流と言うかちょうど過渡期であったように思います。
 このFR−50Bはyahooオークションで平成27年新年早々結構高額で山口県のOMから落札しました。初期のFR−50は安定度に問題ありと聞いていましたが、FR−50Bは真空管式アマチュア無線機として十分実用的なレベルに整備することにしました。45年以上前の真空管式SSB無線機であっても、多くの場合今でも十分実用できることを確かめたいと思います。
 ということで、修復のための回路図などについては、ネットで検索し入手することができました。ヤエスのダンロードサービスにあるFR−50は50Bタイプとは回路が若干違うので注意が必要です。(大きくは違わないので参考にはなると思いますが。)
 回路図があればまず修復作業にとりかかることができます周波数構成については、標準的なコリンズ構成からみるとかなり変則的な構成となっています。
 FR−50Bでは第一局部発振に水晶発振を使用せず、コイルによる可変同調機構とし、第二局部発振部に水晶発振を採用しています。コリンズと逆構成になっています。→ダブルスーパー構成でも水晶が1個で済みコスト削減にはなりますが、バンドごとにVFOの発振周波数が違います。これがハイバンドが不安定になる一つの要因となっています。
 この構成の欠点は、各バンド帯で周波数更正が必要となり、正確な周波数の把握が難しくなります。アマチュア的なアバウトな運用であれば問題はないかもしれません。また、第一局部発振に大量の水晶振動子を使用する費用増大よりも、L&Cによる安価な同調機構の採用は当時大事な点であったと思います。当時水晶発振子は結構高額でした。
 受信部では、受信周波数に各バンド帯のVFOを減算し、第二局部発振に水晶発振5,1739Mhzを更に減算することにより、455KHzの中間周波を得ております。
 ミュート機構に関しては、マイナス電圧によるグリッドバイアス電圧によるカットオフにする構成がよく採用されています。当受信機では、B電圧を高周波増幅及び中間周波増幅段のカソードに印加することによりカットオフを実現することにより安定的な高感度を実現しています。

写真をクリックすると大きくなります。

入手時の状態

@ケースは黒光沢塗装がされていて比較的綺麗です。→黒光するので光沢は消したいところです。
A電源が入り弱いながら7Mhz信号が受信できました。→曲りなりに受信できれば修復は比較的楽です。
Bシャーシには経年変化による埃錆などで汚れています。
Cシャーシの一部がシルバー塗装されています。→写真撮影の時見栄えを良くし少しでも落札価格を上げるためでしょうか。修復には余計手間がかかってしまいます。みなさん高額落札を目指して涙ぐましい努力をされているみたいですね!
D電源オン時振り切れたSメーターが戻りません。→古くなったメーターに時々見られます。
Eダイヤルの表示が実際の受信周波数と大分違います。
Fオプション(マーカー、固定チャネル基板)は付いていません。
G内部配線、抵抗、コンデンサーは比較的綺麗です。→劣化した電解コンデンサーなどが交換されているいるようです

➡➡➡
ケース、シャーシ
レストア

@ケースは比較的綺麗に黒光沢塗装されていました。このままでも良かったのですが渋さを出すために艶消し塗装を施しました。中々グー!
Aシャーシは写真の写り方で綺麗に見えますが接写すると汚れや錆が浮き出ています。
 錆取り剤、コンパウンド、竹串などで丁寧に落としました。
BVFO筐体は取り外しシルバー塗装を施しました。
C電源トランスも見栄えを良くするために金色塗装を施しました。
Dその他錆などが目立つチョークトランス、アウトプットトランスなども錆を丁寧に落としました。

外観&内部とも大変見た目も綺麗になりました。
今回は内部調整に先立ち錆落としなどを行いました。HI!シャーシに力が加わると折角調整した状態が変化すると考えたからです。

真空管のチェック
古い真空管受信機に使用されている真空管は劣化が進んでいる場合があります。
劣化が進んだ真空管のままだと十分な性能が発揮できないばかりだけでなく、1本の真空管の劣化で全く受信できななくなることもあります。
整備調整に先立ち真空管チェッカーで真空管の状態チェックをしました。
劣化した真空管は交換し全てグッドレベルのものに差し替えています。
使用した真空管チェッカーはUS製で電源は115Vです。100Vでも使用可能ですが、本来は十分使用可能なグッドレベルのものがバッド表示になることがままあるので注意が必要です。
スライダックトランスか自作100V→115V変換電源があるとUS製危機に広く使用でき便利です。
115電源の真空管受信機では100Vで使用した場合S9信号が1〜2ほど弱くなるようです。

第1IF、第2IF調整➡第2IF→第1IFの順に調整します。
第2IF調整
@455KhzzのSG信号を真空管V3のG1に加えます。
A次にSメーターが最大になるようにⅯF1、ⅯF2、L7、L9の上下のダストコアーを調整します。
第1IF調整
@5.1739MhzのSG信号を真空管V2のG1に加えます。
A次にSメーターが最大になるようにL6の上下のダストコアーを調整します。

VFOの周波数調整
目盛りを正確に合わせるには100Khzマーカーがると便利です。
@3.5、7、14Mhzはバンドの上端はトリーマーコンデンサーを、低い方ではコイルを調整し正しくゼロビートになるようにしました。
A21、28Mhzはアース側のコイルでバンドの低い方をコレクター側のコイルでバンドの高い方を正しく合うように調整しました。
Bこの調整はバンドの上下で正しく目盛りが合うようになるまで何度も繰り返しました。
C28Mhzhz若干のズレがありますが、3.5〜21Mhzはほぼ1Khz直読ができるまでに調整することができました。
FR−50Bは第1局発がLC発振となっています。当初安定度に不安がありましたが3.5〜14Mhzはかなり安定的でワッチで同調を取り直すことはあまりありませんでした。
VFO発振回路がシャーシと一体化されて取り付けられている関係でシャーシに力が加わるとドリフトが見られるのは仕方ないと思います。

ケBFO、Sメーター零セット
@モードスイッチをSSB、CWに合わせ、SG信号をSメーター最大で受信してBFOピッチを455に合わせL18のダストコアーを調整零ビートを取ります。
AあるいはSGの455Khz信号をV3 G1に加え零ビートを取ってもOKです。
B無信号状態でRFゲインを最大にしVR3を調整しSが零になるよう調整します。
CSメータが上部に張り付く現象は表面カバーを取り外し調整した結果解消することができました。

RF調整
PRESELECTORをメモリー5に合わせておきます。
28、21、14、7、3.5Mhzの順に調整します。
@28Mhz
・SG信号28.6Mhz L2、L4をSメーター最大に調整します。

A21Mhz
・SG信号21.25Mhz TC3、TC7をSメーターが最大になるよう調整します。

B14Mhz
・SG信号14.25Mhz TC2、TC6をSメーターが最大になるよう調整します。

B7Mhz
・SG信号7.25Mhz L3、L5をSメーターが最大になるよう調整します。

C3.5Mhz
・SG信号3.5Mhz PRESELECTORをメモリー1でTC1、TC5をSメーターが最大になるよう調整します。
 
D次にSG信号を5.1739Mhzに合わせL1をSメーターが最小になるよう調整します。SG信号レベルはSが触れる程度のレベルにします。
この調整は第1中間周波数と同じ信号が受信されるのを防ぐためです。

これら調整の結果、見違えるように良くなりました。

完成
受信感度は大変良く現在でも実用的です。FRDX−400やJR−599よりも良い状態でないかと思います。
安定度も3.5〜21Mhzは問題ありません。28Mhzは若干QRHが見られます。

下のイラストをクリックするとそのページを表示します。


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