ALLIED HFハムバンド受信機 AX−190

 AX−190は1973年にTANDAY社がALLIED RADIO SHACKブランドで発売したHFハムバンド専用SSB、CW、AM受信機です。受信周波数は3.5-4, 7-7.5, 14-14.5, 15-15.5, 21-21.5, 28-28.5, 28.5-29, 29-29.5, 29.5-30 MHzとなっています。
 実は1971年当時のBCLブームに乗って 3.5-4, 5.7-6.2, 7-7.5, 9.5-10, 11.5-12, 14-14.5, 15-15.5, 17.5-18、 27-27.5 MHzが受信できるSX−190が発売されております。SX−190はその性能の良さから大変評判が良かったために、ハム版専用のAX—190が発売されたいきさつがあります。
 ハムバンドのバージョンは、水晶発振周波数を除いて、SX−190と電気的に同じです。
鋭い同調プリセレクタがフロントエンドに使用され、第一ミキサーでヘテロダインIF​​は2.920〜2.240Mhzが使用されています。第二IFは、3.375〜2.875MhzのアナログVFOにより455Khzに変換されます。第2IFは東光メカフィルが2段構成で使用されています。
 感度の良さは定評がありAMとSSB用0.5マイクロボルトと今どきの受信機と比べても遜色がありません。
 この
AX−190は日本製で、TANDAY社のOEMで提供されていました。その関係でしょうかフロントパネルは日本製の良さに海外のハムが好みそうなデザインになっていると思います。
 
アナログチューニングでありながらVFO安定度は大変優れており、周波数の読み取りはダイヤルディスプレーの見やすさから1Khz以下まで楽に読取ることができます。
 また、マーカー発振器が内蔵されていて100Khz、25Khz信号が手元押釦スイッチで切り替えて利用することができ、調整やダイヤル校正がスムースに行えます。
 アメリカ仕様なのでAC電源は120Vとなっていますが100Vでも感度には全く違いはありませんでした。ちなみにDC電源は12Vです。
 この
AX−190はオークションで入手し、ちょっとした不具合箇所を改良した上で再調整したものです。
 以前から性能が良い受信機として日本でも紹介されたのとがあったので一度は手にしてみたい受信機でしたが、幸運にもこのように良い状態で入手できたのはラッキーの一言です。

写真をクリックすると大きくなります。

入手時の状態

@電源が入り全バンド問題なく受信できております。
 整備、調整により良い状態になりそうでかなり希望が持てそうです。
 Sメーターの振れは良すぎる状態です。
Aフロントパネルおよびケースは年代の割に綺麗な状態を保っていると思います。
BAX−190はスピーカー内蔵ではないので外部スピーカーが必要です。
 古い受信機FRDX−400、FR−101、FR−50、JR−310、JR−599などもスピーカー内蔵ではありませんでした。

 ロータリー、
プッシュ、
VRなどの
接触不良
ガリの修復

 ロータリースイッチ、プッシュスイッチ、VRなどのに一部接触不良、ガリが認められたので修復しました。
 
無線機等は長期間動作させないと、ロータリースイッチ、スナップスイッチ、プッシュスイッチなどのスイッチ関係の接点やボリュームの接触面が酸化皮膜等で接触不良になり、正常に動作しないことが多く見られます。接触不良が原因で全く受信ができないこともあります。
 接触不良を解消しただけで元のように正常に動作する例は多くあります。
・全く受信ができない、
・各ボリューム類にガリや接触不良が見られる、
・RF ATTが動作しない、
・バンドによって受信出来ない、
などは接点の接触不良が原因の場合が多く見られます。
 接点の修復は多くの場合接点洗浄剤で修復することができます。接点復活剤はNGです。
接点復活剤はべとべとする溶剤がそのまま接点周りに残りショートしたり、容量や抵抗値を示したりする危険が大です。
 接点洗浄剤は溶液が蒸発するのでこのような心配はありません。ただし接点洗浄剤の溶液も蒸発するまで多少時間が必要です。電源を入れるのは30分以上経ってからが無難です。
 接点復活剤を使用する場合はスプレー式はさけて、ハケや綿棒で接点に直接塗布する方法であればトラブル防止につながると思います。
  
 このAX−190も接点洗浄剤でロータリースイッチ、各ボリュームの接触不良、ガリを解消することができました。

Sメーターの感度調整
 このAX−190のSメーターはゼロ点調整や感度調整ができない回路になっています。(固定抵抗値を変えれば可能ですが!)
今回はメーターに10KΩVRを並列に接続し感度調整ができるようにしました。
Sメーターが振れ過ぎるような場合の調整に便利です。
 Sメーターには500μA程度のインジケーターが使用されていて、精度はあまり高いとは思えませんが、取り敢えず7MhzでSG信号40dbμVでS9になるように調整しました。







パネル面パイロットランプ交換
 AX−190のダイヤル部等には12Vの麦球ランプが使用されています。
@パイロットランプはいずれも点灯していますが、劣化で照度が大分落ち、写真のようにダイヤルが大分読み取りにくくなっております。
Aそのまま12V麦球と交換しても良かったのですが、より高級感を出すために高照度青色LEDに交換することにしました。
(AX−190にもオプションで青色パイロットランプが取り付けられるようになっています。)
B写真のようにLED3個を直列に繋ぎパイロットランプ代わりにしました。
 フラッシュ撮影したので発光状況が若干分かりにくくなってしまいました。
CLEDは1個でも十分な照度を確保できるのですが、電圧の関係で3個直列に接続しました。
交換後は大変綺麗にダイヤル表示などが浮かび上がっています。


RF部

局発・RFコイル

IF部

IF部基板面

電源

整流回路部

マーカー発振部

シャーシ面の状況
@シャーシ中央がアナログVFO部で3.375〜2.875Mhzをの500Khz範囲で発振しています。
ARF部に入った信号はBPF(同調プリセレクタがフロントエンドに使用されいます。)からRFアンプで増幅されバンドごとの局発水晶により2.920〜2.420Mhzに変換されます。
BさらにIF部でVFO(3.375〜2.875Mhz)で455Khzに変換されます。IF基板ではキャリハ発振水晶によりLSB、USBキャリハが注入されAF増幅をへてスピーカーを鳴らします。
C電源部はAC電源とDC電源の切り替えができます。
 AC電源は120Vとなっていますが、120Vでも100Vでも感度の違いは全くありませんでした。
Dマーカー発振はフロントパネルのプッシュスイッチで25Khz、100Khz切り替えることができて大変便利です。
RF部、IF部はマニアルに従い再調整しましたが、同調はあまりありませんでした。

完了
@全バンド受信できます。
A操作性をよくするためにスピーカーを内蔵したので外部スピーカーは不要です。

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