9R−59Dレプリカ(高1中2)受信機

 短9R−59Dのシャーシ、ケースのみをオーックションで入手したのを機会に9R−59Dのレプリカの製作を思い立ちました。9R−59Dは到来するSSB時代にあわせプロダクト検波波と2段メカフィルを採用し、選択度を高めSSB受信を容易にしております。しかし、今回はメカフィルが入手できなかったことから一般的なIFT(T−21)を使用した高1中2タイプとしました。また、9R−59Dのプロダクト検波は6BE6を使用しておりますが手持ち真空管の関係で双3極管(6AQ8)を使用しております。
 完成後、2011.3.11の大震災で棚から落下した損傷箇所を修理する機会に、不具合箇所(完成&結果欄参照)を改良して見ました。


 

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配線図

回路図
 
回路図は9R−59DはIFTの1、2段にメカフィルが入っておりますが、入手できないためトリオIFT(T-21)を使用しました。またプロダクト検波部も9R−59Dでは6BE6が使用されていますが、手持ちの関係と真空管の本数削減のために双3極管6AQ8を使用しました。6AQ8は局発とVFOおよびプロダクト検波と低周波増幅に使用しております。

シャーシパネル等の状況と再塗装
@入手したシャーシやパネル、ケースの状況は写真1、2枚のごとく黒ラッカーで塗装されておりましたが、塗装のはがれやムラがあり見栄えはイマイチと言った状態でした。
Aそこで3枚目の写真のようにツヤ消ラッカーにて再塗装しました。
パネルに2箇所、オリジナルには無い目的不明の穴が空いております。何に使用したのかは分かりませんが、この穴をどうするか頭の痛い所です。

ダイヤルメカの製作
@9R−59Dのメインダイヤルとスプレッドダイヤルは同一軸上で操作されるようになっております。
A6ミリ真鍮パイプに5ミリ真鍮棒を挿入し、メインダイヤルとスプレッドダイヤルを動かすことにしました。
B軸受けはL型のアルミ板を加工しました。軸の固定には鈴メッキ線を1〜2回巻いてハンダ付けし抜け落ちないようにしました。
Cメインダイヤルには使用しなくなったFT−101のダイヤルに管通用穴を空け、スプレッドダイヤルには小さめのツマミを使用しました。一般的にシャフトの径は6ミリなので中に入れた5ミリ真鍮棒にはツマミ取り付け部分に6ミリ真鍮パイプを被せハンダ付けし取り付けております。

 

ネジ穴の加工
この9R−59Dのネジ穴は全てミリネジ穴になっており、同じ3ミリネジでもISOネジは取り付けられません。入手のときネジは全く付いてきませんでした。また手持ちのミリネジも無く、全部ISOネジ仕様に改造することにしました。
ISO用タップ切を使用してミリネジ穴からISOネジ穴に変更します。電動ドドリルを低速回転させてタップを切りなおすと比較的簡単にISOネジ穴が完成します。この9R−59Dのシャーシは鉄製なので問題なかったのですが、アルミシャーシの場合上手くいくかどうか分かりません。

バリコン取り付け加工
 
シャーシのオリジナルネジ穴に取り付けるためスプレッドバリコン、メインバリコン用の取り付け金具を加工しました。
@スプレッドバリコンは減速ギア付きFMラジオのギアを取り外し容量の少ない3連部分を使います。
Aメインバリコンは高1スーパーラジオに付いていたものを流用しました。

ダイヤル表示板の作成
@手持ちの9R−59Dダイヤル文字板を取り外してパソコンスキャナーで画像を取り込み印刷しました。
Aこれを厚手の用紙に印刷し切り取ります。
BCDROMについている透明の板をダイヤル表示板に合わせて切り出します。
C印刷したダイヤル表示板を透明の板に貼り付けさらに糸掛けダイヤルに貼り付けます。
C糸掛けダイヤルは表示板用と糸掛け用と2つ使用します。したがって全部で4個必要です。ダイヤル表示板を貼り付用はどんなものでもかまいませんね。

中間周波増幅部、検波部の作成
9R−59Dの場合RF部と検波部はプリント基板で構成されシャーシにネジで取り付けるようになっている。今回は中間周波増幅部はTRIOの中間周波トランス(T-21)を使用しました。
@まず、アルミ板をプリント基板の大きさに合わせてカットします。
Aシャーシパンチを用いて手あなを空けます。(パンチの組み合わせミスで盛り上がってしまいました。)
B中間周波トランスと真空管ソケット取り付けます。複合管を2本使用したので真空管が少なくて済みました。
CBFOコイルは自作したものを使用しました。

主な部品の取り付け状況
Sメータは500μのUVメータを使用しました。ぴったりと窓枠くに収まっております。
電源トランスは2次側が250Xの半波整流用トランスだったのでダイオードブリッジ使用の全波整流にしました。

コイルパックの改造
@入手したコイルパックには使用目的不明のプリント基板が付いていました。さらに切り替えスイッチが一枚余分に配線されております。(どんな受信機に使用されていたのか調べて見ましたが結局分かりませんでした。)
@一旦コイルパックを解体し、プリント基板を取り外し再組み立てしました。
A余分のロ−タリースイッチ一枚は取り外しました。
B3枚目の写真で分かるとおり前方のシャフトを後ろにずらしたために後方にシャフトが突き出ております。

BFOバリコンの加工
@手持ちのTS−520の中和用ミニバリコンを活用しました。
Aこれにツマミを付けるための6mm真鍮パイプをハンダ付けしました。
Bこのままだとシャーシに取り付けられないので取り付け用のアルミ板を経由して取り付けました。アルミ板には3mmのネジ穴を切りました。
C4枚目の写真がシャーシに取り付けた所です。

ANT TRIM用バリコンの加工
@TS−520ドライブ用バリコンを40P前後の容量になるようにカットし、さらにツマミを付けるための6mm真鍮パイプを取り付けしました。
ABFOと同様にこのままだと取り付けができないのでアルミ板を経由して取り付けることにしました。アルミ板には3mmのネジ穴を切りました。
A3枚目の写真がシャーシに取り付けた所です。

主な部品取り付け
@真空管を除く主な部品を取り付けた後のシャーシ上部、シャーシ内部の様子。
Aメイン、バンドスプレッド糸ダイヤルの構造部分。
Bメインダイヤルのツマミを動かすとバンドスプレッドも動いてしまうのでクリップで少し抵抗を加えました。バンドスプレッドが若干重くなりましたが実用上支障はありません。

   

CR類の取り付け
@シャーシパネルの余分な穴は良く見ないと分からないように処理しました。
ACR類は以前使っていた部品や5球スーパー取り外し部品などを多用しました。
Bその結果さまざまなトラブルに見舞われました。
取り付ける前にCRメーターで数値確認をしておりましたが、電圧を掛けると数値が変わるなど。写真のマイカは電圧を掛けると抵抗値がゼロ・・・・・・
CSGを使用してIFTやトラッキングの調整をしております。

完成&結果
@中波、短波とも問題なく受信できております。
ASSBもプロダクト検波の威力か、普通の高1中2に比べ快適に復調できます。
B反省点も多々ありました。
・BFOと局発を同じ真空管(6AQ8)で行ったことと、BFOの配置をMIX回路近くに置いたために、BFO信号がモロに受信されてしまいます。位置の変更も考えたのですが、面度になり止めました。
・今後、オールGT管タイプの9R−59Dレプリカの作成を計画しているので今回の不具合を生かして生きたいと考えています

参考 製作費用等
 
下段はトリオ9R−59Dは上段が今回作成した9R−59Dのレプリカです。
製作費用の主なもの
@ケース 1.7K AIFT 4K B真空管 4K Cバリコン 2.5K Dコイルパック 4.7K E電源トランス 1.5K ダイヤル 1K Fブロックコンデンサー 1K Gアウトプットトランス 0.6K Gその他部品 約6K その他部品以外はオークションで入手 いずれも配送料は含まず。 

震災被害
 
電源トランス取り付け金具が写真のように変形してしまいました。
電源トランスを一旦取り外し新しい金具を作成し再度取付しなおしました。
その他、TRIMバリコン、ボリュームが損傷したので交換しております。 

   

改良箇所
@BFOとプロダクト検波を同じ真空管(6AQ8)で行うように変更しました。場所も以前の定電圧放電管の所に変更しました。
A局発発振管は6BE6に変更しました。
B定電圧放電管は以前BFOがあった箇所に変更しました。
C低周波増幅部は12AX7を用い2段増幅としました。
改良の結果
・BFO発振でSメーターが振れることは無くなりました。SSB、CWの受信信号でSメータが小気味良く振れます。以前はSSB受信時にはSメータ振り切れ状態でした。
・プロダクト検波時でもAF出力は充分で、以前不足気味だった音量不足を充分補うことができています。

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