コリンズ 75S−1 


 コリンズKWM−2に始まり真空管時代の受信機の最高峰R−390、Rー392に続いて我が家にあまりにも有名な、コリンズSライン! このすばらしいデザインの受信機75S−1が届けられました。75S−1はKWM−2の受信部とほぼ同じ構成となっています。R-390/R-390A技術的には受信機というより精密機械に近い受信機で、特にR-390Aはその重量から一人で運ぶのに難儀する代物でした。この75S−1はまさに当時の電子技術を結集した電子機器の傑作といってよい優れものです。半世紀を経ても最新ハム用トランシーバーと比べても受信性能は決して劣っていません。むしろ、真空管アナログによる受信音は長時間運用しても疲れない優れた音質を維持していると思います。

写真をクリックすると大きくなります。

 コリンズ75S-1は10本の真空管と4本の半導体ダイオードを使用したアマチュアバンド用の受信機です。コリンズ32S-1送信機とペアでトランシーブ構成にして使用します。所謂Sラインと呼ばれる受信機の一つです。
 水晶発振による第1局発、PTOによる第2局発で構成されたコリンズ・タイプのダブルスーパーヘテロダインで、 水晶発振BFO仕様により十数分後のドリフトは100Hz以内という高い安定度を得ています。
    第1中間周波数は3.055MHzを中心にした±100kHzのパスバンド。 第2中間周波数は455kHzで、SSB受信時にはコリンズ メカニカルフィルタが挿入されています。 独立したAGC検波、SSB/CW用プロダクト検波回路、S/N比の良い3極管による初段周波数変換など、その後の受信機に大きな影響を与えた構成です。 
 第2局発(PTO)はコアーを移動し発振周波数を可変させます。これにより周波数直線型バリコンよりも格段に安定した直線性を得ております。局発は2700Khz〜2500Khzで幅200Khzを1Khz以下で完全直読ができます。
入手した75S-1の状況
@構成は増幅段の数だけ単純にみれば高周波1段・中間周波2段であり、特に強烈な印象を与えるものではありませんが、入手した75S-1はさらに6AU6の増幅管が1段追加されておりました。
ACWの水晶、フィルター(オプション)はインストールされていません。(従ってCWモードでは受信ができません。CWはSSBモードで受信します。)
BCWオプションがインストールされていないにも拘らず、Waters社製Qマルチプライヤーがインストールされていましたが、動作しておりませんでした。
Cまた、受信周波数がスケールの動作範囲を超えて大きく(10Khzほど)ずれていました。
DQマルチプライヤーのインストールにより、音量とRF調整ボリュームが2連ボリュームに変更されております。

@写真で分かるようにLSB、USB用水晶が見えますがCW用水晶はありません。
Aまた、CW用メカフィルもインストールされていません。
BCW用水晶、CW用メカフィルの入手は国内ではかなり難しいと思います。海外のオークションを根気良く捜せばあるいは見つかるかも知れません。
Cそんなことからこの75S−1ではQマルチプライヤーをSSBモードで動作させようとしたのかもしれませんね。

PTO調整
@高1中2の各バンドのトラッキング調整の要領でダイヤル200と0の位置で2500Khzおよび2500KhzになるようにPTOのコアーを根気良く調整します。3〜4回でドンピシャに調整できるはずです。
Aコアー調整に当たっては上部についているリング(コアーが回らないように付いている閉め金具)を取り外す必要があります。付いたままコアーを回すとすると確実にネジが破損するので注意が必要です。PTOのコアーに付いていない場合も有るようです。

Qマルチプライヤー
Qマルチプライヤーは、受信機の選択度改善に用いられる付加装置のことで、具体的には中間周波増幅段か混合回路の出力側に接続し、そこにある同調回路のQを見かけ上補い選択度を上げるというものです。回路そのものは発振回路を発振直前で使用します。
@入手時、このQマルチプライヤーは動作しておりません。
AWaters社製Qマルチプライヤーは12AX7 1本で構成されていますが、写真で分かるようにもう1本真空管(6AU6)と切替スイッチが見えます。6AU6と切替スイッチが何のために付加されているのか調べる必用があります。
B切替スイッチはQマルチプライヤーのオンオフスイッチのようです。切り替えても依然として動作不良です。
C6AU6は455Khz追加増幅のようです。確かに入手時1m程度のアンテナで7MhzがDPアンテナ並に入感していたはずです。
DQマルチプライヤーの不動作は12AX7のプレートに入っている高周波チョークの断線でした。2mmHの高周波チョークを付けたところ動作が確認されました。
E通常のSSB受信の時は切替スイッチでQマルチプライヤーをオフにし、CW受信の時オンにしていたものと思われます。
FQマルチプライヤーの掛かり具合はQマルチプライヤーのボリュームで調整します。周波数は調整用コアーとパネル面のダイヤルで調整します。

VFOの状態
 
ダイヤルが特定の箇所で重くなる、時にはすべりとても不愉快です。電源を入れ75S−1を暖めたり、ダイヤルを頻繁に回したり、ダイヤルシャフト位置を調整、PTO自体の位置いろいろかえてみましたがなおりません。ダイヤルの調子が比較的重い状態です。
 PTOの分解清掃はあまりやりたくなかったのですが、雑誌「KWM−2メンテナンス」を参照して意を決しを実施しました。
快適とは言えないまでも分解清掃の効果はてき面です。雑誌「KWM−2メンテナンス」に従って慎重に行えば、
PTO自体を取り外さないで清掃給油ともできそうです。
 組み立て後は再度、前述の
PTO調整に従って調整します。

スピーカー
 
75S−1のスピーカー出力インピーダンスは4オームです。8オームスピーカーを繋ぐと音声出力が小さくなります。
現在 インピーダンス4オームのスピーカーの入手は難しいようです。5球スーパーの3.2オームスピーカーを中古で入手すると良いかもしれません。
取り敢えず8オームスピーカーをケースに取りつけてみました。
 音量ボリュームのガリは1連式ボリュームの場合、ボリュームを分解し接触面を移動することにより、完全に解消できるのですが、いまだ2連ボリュームの経験はありません。挑戦してお釈迦にしても困るしどうしたもんでしょうか?思いっきりボリュームを解体し修理しました。ボリュームはカーボンではなく金属のようなスライド面です。綺麗にふき取った所ほとんど気にならない状態になりました。
 スピーカーはその後4オームのものと交換しました。

75S−1 整備手順

 75S−1の調整手順ですが以下の手順は、エフアールラジオ・ラボ75S−3の調整(75S−1マニュアルが入手できなかったので)を参考に、実際調整した過程を記述したものです。
まず下の画像のように1KΩと0.01μfを直列に接線し両端にに蓑虫クリップをつけたスワンビングTOOLを用意します。

 

455kc I-F調整
@PTOの真空管を抜きま,EMISSIONをUSBににします
A455KhzSG信号を
V3の2ピンに接続しSメーター表示が最大となるように、L6、T2を数回調整します。
 
バンドパスIF調整
@ダイヤルは100でEMISSIONはLSBにします。
ASGをXTAL OSC OUTPUTジャックJ1に接続し、周波数を3.055Mhzにします。
BスワッピングツールをT1の1次側(ターミナル1)とアース、そして、その他をL4(ターミナル1)とアースに接続します。
C
2次側のT1(トップ缶)でSメーターの最大値とする。
D
スワッピングツールをはずし、2次側T1のターミナル3とアースをツールを接続し、
T1の一次側(底側の缶)そしてL4(トップ缶)でピークを求めます。
RF回路調整

@ 3.8 RFとANTトリマーコンデンサのノッチがシャシーの後部へまっすぐ(容量1/2)に指すように、セットします。またOSCトリマーのノッチがV1(容量2/3)を指すように、セットします。








A
ダイヤルは100にセットします。
B電源スイッチをCAL位置にセットし以下の手順でSメーター最大に調整します。
 バンド 3.6  PRESELECTERの位置 2.1 調整箇所 ANT RF OSCの各スラグ
 バンド 7.0  PRESELECTERの位置 3.8 調整箇所 7.0用トリマー
 バンド 14.0 PRESELECTERの位置 6.1 調整箇所 14.0用トルマー
 バンド 28.0 PRESELECTERの位置 8.9 調整箇所 28.0用トリマー
 バンド 21.0 PRESELECTERの位置 7.8 調整箇所 21.0用トリマー

・VFO  サイドバンド周波数偏移調整
@ EMISSION スイッチはLSB、BAND スィッチは3.6Mhz、PRESELECTOR1.9にあわせます。
AOFF-SBY-OPR-CALスイッチをCAL位置で
ダイヤルが100で、信号がゼロビートになるよう調整します。
B
USBに切替へC308(VFOの上)でゼロビートに合わせます。I

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