Sony ICF-5800 Sky Sensor 5800

５８００は５５００の翌年に発売され、これまでのラジオから一皮剥けた機能とデザインとなりました。短波帯のワイド化、BFOそしてメカニカルファインチューニング。そのチューニングツマミを中央に配置した通信機風の斬新なデザインとなっております。名機５９００が登場するまでは、「スカイセンサー」シリーズのトップに君臨していた傑作です。5バンドで中波、FM、そして短波の主な周波数帯をカバーしており、６０分タイマー付きでBCLを楽しむには十分な性能であったと思います。今でもYahoo!オークション等（５０００～１０，０００円が多い）で人気のある製品です。
このラジオがＢＣＬを世に広め、BCLラジオの方向性を決めたといってもいいかもしれません。
１９７５年発売の５８００は[SONY]のプレートが外れているものの、中学以来BCL、深夜放送・・・・・ハムと興味は変われども、３０年以上このラジオのお世話になっていることになります。この５８００はつい最近オークションで入手したものです。

（写真をクリックすると大きくなります。）

入手字の状況
①カタログにある機能は全て動作がＯＫの状況です。（ラッキー）
②受信感度もまーまーですが、これはオシレータで調整できそうです。
③ロッドアンテナの先端がなくなっています。また中間で曲がった所があります。このままでも受信に大きい影響は無いようですが、できたら別のものに交換したい所です。
④電池ボックス内が液漏れのため腐食しておりかなり深刻な状況のようです。
⑤フレーム金属に錆がみられます。
　このような状態ですので、整備方針としては、①電池ボックスを修理して電池が使えるようにする。②感度調整をする。③フレーム金属の錆の除去。
の3点にしました。ロッドアンテナは代替品を入手したときに行いたいと思います。

配線図

回路図（ブロックダイヤグラム）
　CF-5800のサービスマニュアルが手に入りました。
カタログでは高周波増幅回路にFET採用とあり、FM用のRF段にはいっています。短波受信時には高周波増幅段はありません。イメージ混信がひどいのも納得できます。 AM受信時の局発とFMの第1中間周波増幅は1つのトランジスタで兼用されています。局発とミキサの間にはバッファ(FM第2中間周波増幅と兼用)が入っています。
BFOがONの時は、通常のAM検波とは別の検波段が使われます。はて、これはプロダクト検波なのかしら。回路図を見てみよう。 BFOがONのとき、AM検波回路はAGC電圧発生用としてひきつづき機能します。BFOがONの時信号強度が極端に低くなる理由はこの辺にあると思われます。

分解
　フロントパネルからチューニング、ボリュームとトーンコントロール、バンドセレクタノブを静かに抜き、リヤパネルの4本のスクリューを緩めるとリヤパネルが外れます。さらにタイマーノブを抜き、スピーカへの配線の半田付けを外せばフロントパネルも外せ、全てのコンポーネントが取り付けられたメインフレームが現れます。フロントパネルからスピーカを取り外せば、パネル全体をぬるま湯と洗剤で丸洗いできます。

電池ボックスの状態
①スピーカーの金属にも液漏れの影響が見られます。（磨けば大丈夫ですね。）
②電池を抑えるバネなども見るに無残な状態です。
③液漏れの残骸、除去した錆を集めたら写真のようになりました。

電池ボックスの修理
①市売の電池ホルダーのバネを外して取り付けました。
②＋側の金属部分はヤスリで磨きました。
③乾電池をセットしてチャント動作することを確認しました。
この部分の作業にまる1日費やしてしまいましたが、液漏れの痕跡はほぼなくなりました。（写真ではフラッシュの関係で強調されて見えますが肉眼では分からないと思います。）

金属」フレームの修理　
①錆が浮いていた金属フレームはコンパウンドで研磨して浮いていた錆を落としました。（肉眼ではほとんど分かりませんね）
②液漏れでスピーカーに付いていた錆も写真のように落としました。

感度調整
テストオシレターを使用して中間周波トランスとトラッキングの調整をしました。
コアー類は割れやすいので慎重を期します。コアーが壊れるとダイヤルメカを取り外しての修理となります。これは中々大変な作業ですので細心の注意が必要です。
これで、ＦＭ～短波帯まで快適に受信できるようになりました。もっとも短波帯の状況はコンデションがイマイチで早く新サイクルに入って欲しいと思います。