トリオ HFトランシーバー TS−820(X、D、V、S)
TS−820はトリオ(現ケンウッド)の名機と言えると思います。真空管時代からアマチュア無線をしている人なら、この無線機を知らない人はいないと思いますがTS−520やTS−830よりはなじみが薄いかもしれません。発売は1976年ですから、約40年前になります。当時、定価は約20万円位でした。大卒の初任給が10万円の時代ですから、とても手にすることができないあこがれの無線機だったように思います。最新型の無線機には50万円、100万円するものがありますが、今の価格に直すとTS−820がとびきり高価だったというほどでもないかもしれません。以前から一度は手にしたいと思っていてところオークションでゲットできました。10W機でなんとか発売当時の状態に近づけたいと100W改造と合わせレストアに取り組んでみました。 マーカーは付いていないものの、デジタルディスプレーが付いているので特に不便は感じておりません。マーカーがあるとバンドコイルの調整には便利です。TS−820にはXモデル、Xモデル、Sモデルがありました。X、Xモデルは10W機でXモデルはデジタルディスプレーはオプションとなっていました。そのため、アナログダイヤルで1Khz直読できるようになっていました。ダイヤルカウンターが100Khz上がるごとに、加算表示される珍しい構造です。また、マーカーはオプションでした。 このTS−820の一番の特徴は、今ではほとんど使われなくなった真空管を使用していることです。また、シングルスーパー構成なので内部ノイズが驚くほど少ないのも大きな特徴です。この40年間で、半導体の技術はとても進化し、高出力のトランジスタが開発され、アマチュア無線用の無線機はほとんど半導体で構成されるようになりました。しかし、昔は、高出力の回路には、真空管はなくてはならない存在でした。ところが、懐かしさからか真空管無線機は、寿命が短い重い効率が悪いなどの短所があるにもかかわらず、トランジスタにはない良さもあると、デザインの良さも加わって今でも結構人気があります。 |
TS−820レストア項目
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入手時の状態 |
入手時の状態 |
ロータリー、プッシュ、スナップ、VRなどの接触不良・ガリの修復
9Vラインに9Vが供給されない状態の修復
9Vラインの復旧 |
AF基板9ピンプラグハンダクラックの修復 |
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VFO周波数がある位置から変わらなくなる。(PLLのロックズレ)
BIAS電圧不具合修復 |
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電解コンデンサー追加 |
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CWモードでは定格通りの出力が出ていてもTUNEモードでは出力が出ない
CWモードでは定格通りの出力が出ていてもTUNEモードで出力が全くでないことがままあります。 |
イヤホーンは正常に動作するのですが、スピーカーからまったく音が出ないトラブルが発生しました。 |
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Sメーター振れ方の不具合(全く触れない、振り切れ、振れが少ない)
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各電圧をチェックし、ヒーターをオンにしたところ終段真空管ボックス付近から薄っすらと煙が立ち上ります。 |
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接点洗浄により感度は飛躍的に良くなりました。 |
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コイルパック基板ショート痕跡修復
コイルパック基板ショート痕跡修復
電源を入れるとローターリースイッチから火花が飛ぶことがあります。
12BY7プレートコイルのバンド切り替えはロータリースイッチを使用して切り替えています。ここにはDC300Vの高圧が掛かっています。ローターリースイッチに接点復活剤などを塗布するとショートしベーク板が炭化する現象はよく見られます。
ショートの原因を調べるためにコイルパック基板を本体から取り外しました。
取外しに当たっては切り替えスイッチ位置を確認し、再組立て時にズレが生じないように注意するひつようがあります。
このローターリースイッチには接点復活剤などは塗布されていなかったのですが、湿気を含んだ埃が原因でショートしたものと思われます。
埃を取り除きショートはしなくなったのですが、ショートの痕跡がロータリースイッチに見られたので再発防止を図るため取り付け金具とスイッチ端子にあった痕跡を削り取りました。
これでこれからもショートが再発することは防げると思います。
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TS−820オリジナルカウンターは写真のように表示されます。 |
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入手したカウンターの動作確認 |
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カウンター表示周波数調整 |
カウンターはほぼ正しく表示していると思いますが、ズレがある場いいは以下により調整できます。 |
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完成 |
ケース塗装・その他整備
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