予防歯科

一生涯を通じて、自分の歯で噛みたい…誰しもがそうお思いでしょう。しかし、右のグラフからも分かるように、日本人の80歳時点での残存歯数はわずかに6~7本です。通常、人間のお口の中には28本の歯がありますから、約4分の1しか残っていないことになります。アメリカであれば85歳のときに平均15.8本、スウェーデンであれば75歳で平均19.5本の平均残存歯数となっています。

この違いは、「歯を守る」という意識の違いからきています。欧米では「歯が悪くならないためにはどうすべきか」という視点に立って歯科医療を発展させてきました。では、どうすれば欧米諸国のように長く歯を維持できるのか?それは正しい予防の知識と定期的なメンテナンスです。体の健康を維持・チェックするのに人間ドックへ行くように、歯にも定期検診が必要です。そして、虫歯や歯周病にならないよう日々のプラークコントロールが重要となるのです。

PMTCとは

歯の表面や歯と歯ぐきの間などに汚れがたまると、それを栄養にして細菌のかたまり群が付着し、細菌バイオフィルムができます。多種多様の細菌が複雑にからみあい、強力で、細菌が分泌する多糖体に守られているので、歯みがきだけでは取り除くことが困難です。

PMTCは歯科医師や歯科衛生士が専門の機具・機械を用い、歯磨きで落ちない歯の汚れをきれいにクリーニングすることです。細菌バイオフィルムをはがしとる手段として、最も効率的かつ効果的な方法です。

●PMTC 治療の流れ
 

お口の状態をチェック

カラーテスターなどによる歯垢の染め出し検査などを行い、口内を診査します。

歯石除去

歯石除去専用の器具を使って歯面および歯周ポケット内の洗浄・歯石を細部までとります。

洗浄・清掃
歯間部、歯と歯肉の間、咬合面などをきれいにします。歯肉を傷つけないよう柔らかいラバーカップという機械で境目の汚れを落とします。
仕上げ

最後にフッ素を塗布して歯質の強化を図ります。


PMTCで使用する器具は、患者様の歯、一本一本にあわせて硬さや大きさ、形状を使い分け、歯面や口の中の組織を傷つけることなく、隅々まできれいにします。
メリットとしては虫歯や歯周病予防に効果があり、歯ぐきに炎症がある場合は腫れや痛みを抑えます。また、再石灰化を助け歯質を強くするとともに、汚れをつきにくくし、歯の延命効果も期待できます。
さらにコーヒーやタバコなどによる着色がうすくなり見た目もきれいにすることができ、口臭も緩和されます。

ダラダラ食べないで時間を決めて、食べよう!

いつもお口の中に食べ物が入っている状態は虫歯菌の思うつツボです。虫歯にならないためにも食事と食事の間にお口の中を休める必要があるのです。

食べたり飲んだりすると、お口の中が酸性に傾いて歯が溶け始めます。虫歯菌にとってこの酸性の環境は住み心地がいいのです。
それでも虫歯になるとは限らないのは、「唾液」が酸を洗い流し、中和して溶け出した歯の表面を元に戻してくれているからです。
食事のたびにお口の環境が虫歯菌危険ゾーンに下がりますが、唾液により健康ゾーンに戻ります。リズムある食生活をしていると、お口の中が健康ゾーンでいる時間が長くなり、虫歯の危険は低くなります。
せっかくお口の中が健康ゾーンに戻りかけたのに、危険ゾーンに逆戻り。特に寝ているときは唾液がほとんど出ないので、寝る前のおやつは虫歯の危険度がとても高いのです。