第83期順位戦が6月に開幕し、本市出身の石田 直裕五段は、東京・将棋会館で佐藤 紳哉七段と対戦しました。(6/20)
前期の順位戦で石田五段は、8勝2敗の好成績を挙げて順位を6位の好位置につけました。一方の佐藤七段も7勝3敗でフィニッシュして、順位を13位にまで押し上げています。。
佐藤七段は、神奈川県相模原市の出身で安恵 照剛八段門下。将棋は、居飛車党で攻めの棋風。NHK将棋フォーカスでは、将棋講座「佐藤紳哉のエンジョイ将棋」(2018年4~9月)の講師を務めています。
両者の対戦成績は、佐藤七段4勝、石田五段の1勝です。
「佐藤は朝から気合の入った様子だった。座布団の上に両拳を突いてぐっと下を向く。まだは駒が並んでいなかったが、難解な局面を前にしているようでもあった。今年も順位戦が始まる。」(応援掲示板から)
互いに居飛車党の本局は、相掛かりになり、総手数128手、終局が23時52分の大熱戦となりました。
駒がぶつかり合ってからの中終盤は、目が離せない将棋でした。
第1図は、後手の△5五銀打ちに先手が85手目、▲6七香と打った局面です。後手からの△6六桂を消して手堅い一手で、6筋の空間を補強したことで、先手玉もしっかりとした印象との中継室の評。
以下、△4五桂▲1二角△5七桂成▲同銀△7九角▲5六歩に92手目△4六桂打の歩頭桂が出ました。(第2図)
第2図、4六の地点をこじ開ける△4六桂打にこの日の将棋立会人の川上 猛七段は「良さそうな桂打ですね」。▲4六同歩に△同銀右とドリブル。以下、▲6八銀に△8八角成とすれば5五銀が助かる仕組み。秒読みの中でも佐藤七段の強さが光る」
実戦も△8八角成まで進み、以下、▲6六桂△4四飛▲4五歩△9四飛▲9五歩△1一歩に▲5四桂打と進みました。(第3図)
第3図の石田五段が残り6分まで考えて放った▲5四桂は、後手からの△3四飛を消す歩頭桂。第2図の△4六桂に対するお返しのような一着です。
以下、△5四同歩▲2一角成△2六桂▲4八金△3六歩と後手は、先手の▲9四歩を間に合わせる前に猛追します。
第4図は、後手が116手目、△4八金と金を取って先手玉に必至をかけた局面です。あとは後手玉が詰むかどうかです。
既に持ち時間を使い切った石田五段ですが、ここから▲3二成香△同歩に119手目▲3四桂の王手、△5二玉▲4二飛△5三玉▲6二飛成△同玉▲5四桂△7一玉▲6二金と迫りますが△8一玉と逃げられ僅かに詰まず、この局面で石田五段の投了となりました。(投了図)
投了図以下は、▲8二金△同玉▲9三歩成△8一玉で、王手は続きますが詰みまではないようです。
「8三銀が最後の最後で輝くことになるとは。将棋は恐ろしい。佐藤が底力を見せた。」(中継室)
119手目の▲3四桂に代えて、▲5四桂△5三玉▲3一馬△5四玉▲5五玉△同銀▲同歩として、7六飛の横利きを使う順で詰む筋があったと言われています。
【写真協力:日本将棋連盟】終局直後の様子