影絵劇 竹取物語 第二幕
このような噂は帝のお耳にも達し、美しい姫を 見まほし 、とお思いになり使者を使わしました。
が、度重なる勅命にもかかわらず、かぐや姫は参内を拒み続けます。
困り果てた翁が参内し、『無理に参内させれば死ぬ。』と申しておりますとお伝えしました。
それでも諦めきれない帝はこのようにおっしゃいました。
(帝)そなたの家は山に近かったな。では、狩りの途中、そなたの家に立ち寄り見てしまおう。
帝は急に狩りの日取りを決め、姫の家にお入りになりました。
清らかで美しい姿をご覧になり、驚いて奥へ逃げようとする姫の袖を捕まえました。
(帝)手を緩めるつもりはない。そなたを連れ帰るつもりじゃ。
(姫)ワタクシはこの国に生まれた者ではありません。私を連れ帰ることは難しいでしょう。
「ふ、ふーん」と自信たっぷりに笑う間を置いて。
(帝)そんなことがあるはずがない。タレカ、輿をここへ寄せてまいれ。
神輿をお寄せすると、かぐや姫は、突然、影になってしまいました。
驚いた帝はしばらく見つめておられましたが。どうにもならなく残念にお思いになりこうおっしゃいました。
(帝)そなたの気持ちは分かった。無理に連れては行くまい。だから、元の姿におなりなさい。それを見るだけで満足して帰ることにしよう。
するとかぐや姫は元の姿に戻りました。
帝はやはり姫を素晴らしくお思いになり、輿にお乗りになってから和歌を送られました。
姫も帝を憎からず思われたのでしょう、初めてお返事の和歌を差し上げたのでした。
(帝)帰るさの みゆきものうく おもオえて そむきてとまる かぐや姫ゆゑ
帰りの道が辛く思われて、何度も振り返ってしまいます。私に背いて家にとどまる、あなたのせいなのですよ。
(姫)むぐらはう 下にもトシは へぬる身の 何かは玉の うてなをも見む
雑草がオい茂る下賎の家で育った私が どうして玉で飾った高殿を望めましょうや。
BGM、フェイドアウト