アンクルKの他愛もない話

人形劇・影絵劇の台本 BGMを操作しながらナレーター気分になってお楽しみ下さい。

もっと働け!

過去半世紀にわたって、販売にかけては驚歎に値することをやり通した方を訪問した時のことである。彼は実業界で呼び名の高い有名人である。

『では、私の五十年の販売生活が何を教えたか、それをお聞きになりたいというわけですね。』と彼は切り出した。

『ええ、そうでございます。』

『あなたのおっしゃているのは、短い二三の言葉で成功の秘訣を教えろということですね。そうでしょう?』と、また重ねて問い返した。

『まったく、その通りでございます。』

『わかりました、では、申し上げましょう。』『これはかたじけない。』

『販売に成功しようというのに、しなければいけないことといえば、ただ、人よりも、もっと多く働くことです。』と、こともなげに彼は言った。

『ほかの人よりも、もっと多く働くことですか。』と私は鸚鵡がえしに問い返した。

『そうですよ。 もっと働け! それでよいのです。』

彼がまだ若い小僧時代から、よくも最初から見え透いて困難な販売に頭を突っ込んだもんだと、彼は話し出した。彼が競争しなければならなかったセールスマンは、伝統的な、良い職業教育を受けている人達であった。この頭脳、経験、才能の優れている競争者と太刀打ちして、ひけをとらないためには、人一倍働かなければならなかった。

彼は他の人達が働く以上に、また、働こうとしている以上に働き抜いた。人一倍に訪問もし、努力もし、仕事も多くやった。そして見事にそれをやり遂げて来たのである。

彼は自家経営の商売を始めた。彼は商売の道にかけては人にひけはとらなかった。かれはどうしたらよいかその目処を心得ていた。 働く一手あるのみと。事実、彼は働き抜いた。更に人一倍働いた。また、彼は人一倍考えた。彼はお客のためになることなら、人一倍実行していった。ここでも、かれは見事にやり遂げた。

五十年の間、より多く働くという法則を守りつづけてきた上に、今でもこの精神は衰えないでいると彼自身が告白していた。

『とはいうものの、これをあなたに勧めるのは、残酷な法則ですよ。しかし、セールスマンがこういう気力をもち、意志力を持っていて、もっと働こうとさえ決意しているならば、自分の好きなことは、何でもやり遂げられないものとてない。』と、おいとましようとした私に向かって、投げつけるように彼は言ったのであった。

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