アンクルKの他愛もない話

人形劇・影絵劇の台本 BGMを操作しながらナレーター気分になってお楽しみ下さい。

販売の五人男

ルデヤード・キプリングは短い詩を書いているが、広くいろいろの本に用いられ、特に作家のために使われている。

『私には正直でよく御用をつとめてくれる五人男がいます。』というのが、この大文豪の書いた句である。彼はこの五人を、それぞれ、誰、何、なぜ、如何にして、何時と名付けた。

セールスマンにも同じように正直で御用を承る五人男がいる。しかし、みな違った名前を持っている。その名をあげると、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚というのである。

これは五感の名称であって、人間には誰でも賦与されているものであり、これらの感覚によって人間はその心の中に、すなわち、意識の流れの中に入ってくるすべてのものを判断することができる。大概のセールスマンは、余りに言葉のみに頼りすぎていて、この五感に直接に訴えることを顧みない傾向がある。

勿論、人は言葉に傾聴し、言葉によって販売されるのであるから、正しく指導され、適当に用いられるなら、この直接手段によって販売されるのは当然である。

一例を挙げよう。大都市の食品店で、その業種での第一位にあたる感覚の"味覚"に訴えようと決めた。ある一日を試食デーとしてとっておいた。店のセールスマンはお客を試食日へ、試食日へと案内してみたのだが、第一日目の試食には二十八人のうち二十四人の販売ができた。第二日目には五十二の試食に対して四十の販売をした。それも新販路の拡張と、新規のお客を開拓することができた。

このようにして、この店には週に二日の"試食デー"があり、この二日の売上は非常に莫大な高にのぼったのである。このようなちょっとした思いつき、又は考え方はセールスマンの誰でもが使うことができる。 販売は直感に訴える手段を応用することにある。

これを実行する者が、その売上を増進することは請合である。

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