アンクルKの他愛もない話

人形劇・影絵劇の台本 BGMを操作しながらナレーター気分になってお楽しみ下さい。

心に徹して考え抜け!

私が初めて彼と近づきになった時には、彼がまだ大学を出たばかりの、罪のない至ってうぶな子供であった。彼のとっかかりの仕事は販売であって、精魂を尽くして働いていた頃であった。私はその偉さを予言することなどしたくない。けれども物事に対する一心不乱の気構えを持っていたので、一度調子さえ出始めると、進歩は著しい者だろうと信じていた。

事実は正にその通りだった。今日では、彼は或る会社のセールスマネージャーの補佐役をつとめ、現在の上役が三年内に引退して、彼はその地位におさまるように約束されている。しかも、その青年はまだ三十にもならない若造なのである。

dd私は彼の成功した一々の事業の陰にかくれている理由についても深い興味をもつものであるが、それ以上に成功そのものについて深い関心をよせている。それで、私はこの青年御大と会食をともにして語り合ってみた。彼がどうしてかくも素晴らしく成功したのかをぶっきら棒に尋ねてみた。

『心に徹して考え抜いてることです。』彼の答えはこうであった。私はこの《徹頭徹尾考え抜く》という言葉が気に入ったので、更に言葉の意味を、もっとはっきり説明してくれるように頼んだ。

『それはこうなんです。一つの問題に関して、ことの表面がどうであろうと、それにかかわらずに、炯眼をもって事の真相を洞察することなのです。』と彼は説明をつけ加えた。

ここに一つの問題が提出されたとすると、彼はその日もその翌日も、それ以上も考えて考え抜いて、計画の達成を考案するのです。彼と一緒に働いている人たち以上に、一つの問題の中心点を極めて真相を完全に把握するのです。彼はそうした才能を所有しています。

こういった型の思考力の結果は、何処で使われようとも必ず無駄にはならないものです。特に販売においては更に有効である。というのは、この点は誰でも承知している通りのものだが、商品がただ売れていくのでなくて、選んで商品を買ってもらい、買わせる段になると、問題は自分自身の中にあるということになるからです。時代は事物を徹底的に洞察して考え抜くことができる人が最後の勝利を勝ち得ることになりつつある。

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