アンクルKの他愛もない話

人形劇・影絵劇の台本 BGMを操作しながらナレーター気分になってお楽しみ下さい。

一日一案のセールスマン

ついこの間、ある会社の社員達を前にして、売上高をふやす方法のうち、かなり確実性もあり、しかも面白い一つの遣り方について話をしたことがあります。セールスマン達は、熱心に身を入れて話を聞いてくれたし、会合も愉快に進行しました。

彼等はなかなか野心的であり、販売成績をあげてやろうという熱意に燃えた人たちでした。それで私は、落ち着いていろいろな事情を考えることもでき、販売高を向上せしめるには、どうしたらよいか、いろいろな方策を提案してみたのです。

私が提案した遣り方の一つは、一週間に何か一つ、新しい販売の『アイデア』、それもたった一つでよい、それを考え出してセールスマネージャーに提案してみたらどうかという案でした。一人の社員はこう言いました。

「一週に一つの"アイデア"では多すぎます。せめて一ヶ月に一つのアイデアぐらいでしたら、どうにかやれそうに思われるんですが……」 「ウム、よろしい。それなら君は一ヶ月に一つの"アイデア"を提出することにしよう]と、私は答えました。

dfところが、いま一人の社員は「一週間に一つの"アイデア"では少なすぎます。毎日一つの"アイデア"を提案するくらいだと、かえって励み甲斐があって良いと思うんですが……」というのでした。

一月に一案ならどうやらやれそうだと言う方のセールスマンは、言うまでもなく、いつもうだつの上がらない組で、販売部ではいつも下積みにされても甘んじている連中で、月給日の頃になると、おどおどして、きまって馘の心配をしなければならない手合いである。

一日一案のセールスマン。そんな人は世間にもざらにあるとはいえないでしょうが、優秀なセールスマンであり、この会社においても花形役者であり、第一人者であるに違いない。

つまり、これは販売している物品は何であろうと、セールスマンというものは『アイデア』を売り込んで商売をしているという結論になるわけじゃないでしょうか。事実、私の経験によれば、最高の『アイデア』を持っている人は、常に最高の販売成績をあげ得る人達でした。

ところで皆さん。アナタ方は販売の成績をあげるために、『一日一案』組のセールスマンだろうか?それとも……。

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