アンクルKの他愛もない話

人形劇・影絵劇の台本 BGMを操作しながらナレーター気分になってお楽しみ下さい。

値段には自尊心

ある傲岸なバイヤーがセールスマンを嚇しつけた挙句、値段の折り合いを強要しようとした。これは古い手口である。

しかし、このセールスマンはそう易々と参ってしまうような人ではなかった。彼は答えるべき言葉を用意していた。セールスマンが値段を言った時に、バイヤーは真っ赤になって怒鳴った。

『何だと、こんなものが千弗だって、そんなべら棒な値あるかい、まだお目にかかったことはねエ。』

『なるほど、それはわかっています。わかっています。』とセールスマンは狼狽えさわがず、静かに答えた。『これは新型でございます。私がご紹介したいのはその新型の値でございます。』

この客は言い値を散々くそみそに叩いた挙句、とうとう言い値でそれを買い取ったという話です。その訳がおわかりでしょうか。

客はセールスマンが値段に対して取った立派な態度に感服して買ったのである。そのセールスマンは自信のある値段を持っていたのであった。

多くのセールスマンはこの人のようになるべきである。また、値段に対しては断固たる自信を持たせることは望ましいことである。

セールスマンが持つべきはまことに値段に対する自信である。

値段競争の市場において屡々(しばしば)悩まされる中にあって、これに打勝つ無二の方法があるとすれば、それは自己の値段に対する自尊心を持つことである。セールスマンが会社を信頼し、製品を信頼して働いているなら、ナゼ自分の値段を信頼しないのだろう。

実際問題として、競争激化の市場では、そう値段の開きはないものである。あらゆる価が自然に落ち着くものである―― そして、その落ち着いたところは、時に例外はあるにしても、品質と相一致する最低の値段となるのが原則である。

 

(経済学の入門書に『蜘蛛の巣理論』というのが出てくる。よく似た話だ。)

▲一番上に

aa bb cc