アンクルKの他愛もない話

人形劇・影絵劇の台本 BGMを操作しながらナレーター気分になってお楽しみ下さい。

成長するセールスマン

私は街で一人の才気煥発の青年セールスマンに会った。彼は、私の長年の知己である商店で上手くやっていたのだ。ところが、今はその店を辞め遊んでいるという。もっともらしい理由を言っていたが、私には納得がいかなかった。後日、この主人に会ったときに尋ねてみた。

『彼が店を辞めたんですってね。』

『えゝ、そうなんです。お気の毒なことをしました。彼は素晴らしく有望に見えたんですが。』

『何処か、ほかに良い就職口でもあったんですか。』

gttg『うちでは、辞めていただかなければならなかったのです。その理由(わけ)をお話しても構わないのです。彼は人の忠告を受け入れることが出来なかったからです。彼は全然がむしゃらではなかった。が、人から教わることを肯(がえん)ぜなかった。彼は毎日のように、同じ間違いを繰り返していたのです。そういう間違いなら、こうして直せるよと、我々が忠告しても、何処を風が吹くという態度でした。もう、こうなっては為すべきことは一つのほかはありません。――私達はそれを実行したまでのことです。』

およそ、この絵とちょうど反対側にあるような優秀なセールスマンで、長老格の人がいます。彼ほど、人の忠告を素直に受け入れ易い心を持った人を私は知らない。そして、その年収は三万弗を下らない。

彼の忠告を受け入れやすい心と、彼の収入の間には、言い知れぬ何かの関係があるのかもしれない。私にはわからない。しかし、このことは、兎に角、考えてみる価値がある。

▲一番上に

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