アンクルKの他愛もない話

人形劇・影絵劇の台本 BGMを操作しながらナレーター気分になってお楽しみ下さい。

お客は値打ち以上に

われわれは時として、いや、しばしばお客の真価を十分に認識しないことがある。

例えば、これは、つい先週のことであったが、五十弗の注文をとろうと思えばとれたのに、十弗の注文しかとれなかったことがあった。

ある書籍販売のセールスマネージャーが、彼が嘗めた経験について話してくれた。彼の店で働いている一人のセールスマンが、千部の見本を作って送ったところ、先方は他社から五万部という大量の部数を購入してしまった。この買い手は、小商人と見られたのが癪にさわったのだろう。また、もう一人のセールスマンは、一冊の見本を依頼されたのに、一千部の見本を作ってやったところ、一千部の注文を受け取ったのだそうだ。大きい買い手は常に、小粒の買い手だと言われるのを忌み嫌っているものである。

『私はいつも、お客様に対しては、大買い手筋であると思ってお愛想を言います。たとい、大きい客先でないことが、わかっていても──』と、ある成功したセールスマンが話してくれたことがある。

『それは彼らを自惚れさせます。が、また、そんなおべっかを喜ぶものです。私はお客の一人一人が大人物であるという印象を皆様に与えているので、何を販売するにも少しも苦労はありません。それに、誰でもうれしがっていますよ。』

 

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