津山が誇る鉄道文化遺産 〜旧津山機関区 扇形機関庫〜


2005/05/16開設 2017/05/03改訂
津山の扇形機関庫全景
旧 津山機関区(現 津山運転区)の扇形機関庫全景

 扇形機関庫(ラウンドハウス)とは、機関車などを収容する車庫のうち、 車両の方向転換を行う転車台(ターンテーブル)を中心として円形に造られた機関車庫のことで、 真上から見ると、ターンテーブルを要とした扇の形に広がっていることから、 扇形機関庫(扇形庫または扇形車庫)と呼ばれています。
 明治時代の機関庫は、矩形庫と呼ばれる、線路と平行状態に造られた長方形のものが中心で、 木造やレンガ造のものがほとんどでしたが、大正時代以降、特に昭和時代になると、 鉄道が全国各地に敷設されると同時に建設技術が進歩するにつれて、 鉄筋コンクリート造や鉄骨造で、なおかつ限られた面積で効率よく多くの車両が収容できるように、 転車台と扇形機関庫が各地の機関区などに建造されるようになりました。
 機関車などを扇形庫に収容するには、その車両を転車台に載せ、 目的の収容庫に入線できるよう方向転換を行います。
 戦前・戦後を通じて、蒸気機関車全盛時代には、これらは各地で見られたものですが、 電気やディーゼルの機関車、電車や気動車が蒸気機関車に取って代わり、 また蒸気機関車のように運転台が片方向だけでなく、両方向に運転台が付いている車両が増えてくるにつれ、 機関車の方向転換や扇形庫への収容が不要になり、そのため、 これらは次第に各地から姿を消していきました。
 現在では、転車台については蒸気機関車時代からあるもの、及び新規に設置されたものを含めて、 まだ全国各地にありますが(といっても、昔比べれば遙かに数は少ないです。)、扇形庫については 各地で解体が進み、全国でも残り僅かとなっています。

 そのような中で、津山駅には今となっては貴重となった扇形機関庫・転車台ともに現役施設として残っており、 岡山県教育委員会が選定した「岡山県の近代化遺産」、 社団法人 土木学会が選定した「日本の近代土木遺産」、 経済産業省が選定した「近代化産業遺産」、 及びJR西日本が選定した「登録鉄道文化財」にも選ばれています。
 また津山と鳥取を結ぶJR因美線の美作河井駅には、 明治期に外国から輸入され、国内に現存する転車台の中でも最古級の可能性がある転車台が残っており、 津山の扇形機関車庫と同じく経済産業省が選定した「近代化産業遺産」、 及びJR西日本が選定した「登録鉄道文化財」にも選定されています。
 このように、津山市内に現存する扇形庫・転車台は全国的にも貴重な存在であり、より多くの方々に知って頂くため、 当サイト(『急行「砂丘」記念館』)内に、このコンテンツに加えました。
 以下にその施設概要をご紹介します。

 扇形機関庫と転車台のある駅 JR津山駅 2017/05/03改訂
 旧津山機関区(現津山運転区) の構内について 2017/05/03改訂
 旧津山機関区 扇形機関庫の概要 2017/05/03改訂
 津山に現存する二つの転車台 2017/05/03改訂
 全国に現存する扇形機関庫 全12か所 2017/05/03改訂
 「津山まなびの鉄道館」開館までの道のり 2017/05/03開設
 「津山まなびの鉄道館」の扇形機関庫に集う車両たち 2017/05/03開設

なお、津山の扇形庫に関するコンテンツを作成するにあたっては、以下の文献・資料のほか、 この地方の鉄道に関する資料等を参考にしています。

『写真集 岡山の鉄道』 山陽新聞社 昭和63年
『目で見る 美作の100年』 郷土出版社発行 平成12年
『ふるさとの想い出写真集 明治・大正・昭和 津山』 竹久順一編著 昭和54年
『津山市史 第七巻 現代U』 津山市史編さん委員会編 昭和60年
『駅のはなし −明治から平成まで−』交建設計・駅研グループ著 平成8年
『岡山県の近代化遺産』 岡山県文化財保護協会発行 平成17年
『建築構造學』 堀紫朗 昭和39年(第16版)

扇形庫の前にて
扇形庫の前にて('88年5月 津山運転区見学時に撮影)

お知らせ (2017/05/03)*NEW

平成28年4月2日、『津山まなびの鉄道館』がオープンしました!

津山まなびの鉄道館の扇形機関庫に集う車両たち
平成19年から定期的に一般公開されてきた津山駅の扇形機関庫・「懐かしの鉄道展示室」が、 平成26年の一般公開終了後、約1年間かけてリニューアルされ、常設の展示・学習施設 『津山まなびの鉄道館』として、正式にオープンしました!

この『津山まなびの鉄道館』は、JR津山運転区の構内の一部を一般開放し、旧国鉄時代から活躍した貴重なディーゼル車両の保存・展示と、 地域の鉄道の歴史・鉄道の運行についての仕組みをわかりやすく学ぶことが出来る施設とすることを基本につくられています。
さらに、このリニューアルに際し、扇形機関庫への展示車両も、閉館した交通科学博物館(大阪)から移設した蒸気機関車「D51−2」と ディーゼル機関車「DD13−638」「DF50−18」、及び北陸の大糸線で除雪用機関車として活躍していた「DD16−304」(ラッセル式除雪先頭車付き) の4両が加わり、計13両となりました!
展示車両にSLが加わったことにちなみ、定時になるとSLの汽笛が鳴らされるイベントも行われています!
(大きな音なので、小さな子供さんはよく泣き出します・・・。)
このほか、津山の街並みや津山駅を模した鉄道模型のジオラマがある「まちなみ展示室」が『まちなみルーム』へ、 「懐かしの鉄道展示室」が、岡山の鉄道の歴史を学べる『あゆみルーム』と鉄道の運行の仕組みを学べる『しくみルーム』へ、 それぞれリニューアルされています。

さらに、課外学習などで訪れる団体が映像資料などで学習出来るよう、『まなびルーム』(鉄道館入館受付・事務所を併設)が新たに設置されました。
この『まなびルーム』内では、鉄道館の関連グッズなども販売されています。

この『津山まなびの鉄道館』として一般開放されている区域からは、運転区構内の留置線もよく見え、津山線・姫新線・因美線を走る現役車両の点検や 出区・入区風景なども見ることが出来ます。
現在、安全のため扇形機関庫内部への立ち入っての見学は出来ませんが、 車両を扇形庫から引き出し、転車台に乗せて展示をするイベント等、定期的に行われています。

平成28年4月2日のオープン以来、1年間で約77,000人の皆様にお越し頂いています。
皆様、ぜひ『津山まなびの鉄道館』へお越し下さい!

≪アクセス≫ JR津山駅から徒歩10分(JR津山駅より西側へ。途中、ファミレス「バーミヤン」付近の大谷踏切を渡ります。)
≪開館時間≫ 9:00〜16:00(最終入館受付は閉館時刻の30分前まで。)
≪休館日≫ 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)と、12月29日〜12月31日
≪入館料≫
■ 個人 ■ 一般(高校生以上) 小・中学生 幼児(小学生未満)
入館料金(1名分) 300円 100円 無料
障がい者の方 無料
※中学生は学生証の提示が必要です。
※障がい者の方は、障がい者手帳の提示が必要です。また、付き添いの方1名も無料となります。

■団体(30名以上)■ 一般(高校生以上) 小・中学生 幼児(小学生未満)
入館料金(1名分) 240円 80円 無料
校外学習入館料金 無料
※「団体」は30名以上の集まりとし、来館の14日前までに鉄道館へ申し込んでください。
≪駐車場≫ 入口横と構内に普通車30台程度あり。(観光バスも対応可能。)
※観光バスで来館される方は、事前に鉄道館に申し込みをして下さい。
≪注意事項≫ ※危険ですので、指定された区域以外の区域(扇形機関庫の中など)には、絶対に立ち入らないで下さい。
※飲食は、『あゆみルーム』『しくみルーム』前の「いこいの広場」で可能ですが、鉄道館敷地内へのアルコール類の持ち込み・ペットの連れ込みは出来ません。
※ベビーカーや、荷物・所持品の管理は、お客様ご自身でお願いします。
※危険ですので、敷地内では走らないようにお願いします。
※展示室内でのフラッシュ撮影はご遠慮下さい。また、室内での撮影では、三脚・一脚は使用しないで下さい。
≪お問い合わせ先≫ 津山まなびの鉄道館 電話(0868)35−3343
ホームページアドレス http://www.tsuyamakan.jp/manabi/
(鉄道館で行われるイベントについても、上記のホームページに掲載されております。)

「津山まなびの鉄道館」館内の風景


■当サイト内の文章・画像の無断転載の禁止について(注意)■ (2011/03/04掲載)

当サイト内の文章・画像などの著作権は、全て当管理人に帰属しています。
最近、当サイトの文章などをコピーして貼り付けている、ブログなどのサイトが数々出現しています。
文章にとどまらず、画像をも無断転載しているブログも見受けられます。
当サイト内の文章・画像などの無断転載は禁止しています。
今後、無断転載を発見した場合、法的対応をとる場合もありますので、無断転載をしないようにして下さい。



記念館トップページへ


Copyright (C) 2005-2017 "tablet catcher" All Rights Reserved.