制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2000-10-19
改訂
2002-09-02

「とほほのWWW入門・HTMLリファレンス リニューアル版」を斬る

非推奨の(Deprecated)タグや属性

非推奨の(Deprecated)タグや属性

Deprecated の分類の理由としては下記などがあげられます。

HTMLに於て、マークアップすべき要素は、文書の構造上の機能を示す要素だけである、と云ふのがW3Cの立場です。

そこから考へると、W3Cが或要素をdeprecatedとしてゐるのは、以上の理由ではありません。

即ち、文書の構造上の機能を適切に示してゐない要素は全てdeprecatedである、と我々は考へるべきです。

或は、とほほ師の説は、決してHTMLの仕樣の實態と合致しません。

追記(2002-07-20)

大筋で、W3Cは以下の觀點から、HTMLの仕樣の見直しを行つてゐるとは考へられます。

しかし、imgのheightとwidthを非推奬とはしないでゐる事、bやiを非推奬としないながらもuを非推奬としてゐる事、abbrとacronymを平行して採用してゐる事、等から、「現状」「ブラウザの見映え」或は所謂「ユーザビリティ」に、かなり配慮してゐるらしき事が推察出來ます。

Deprecatedの正確な意味は?

deprecated を「廃止予定」と翻訳している例もありましたが、それはちょっと言い過ぎで、英語の意味は「陳腐化したもの」です。本書では少し意訳して「非推奨」と訳しました。

HTML4.01 では Deprecated の補足説明として「将来廃止されるかもしれない(may)」と記述していますが、ただ、現状の使用頻度などを考えると、当面は廃止されることはないだろうというのが大方の見方です。

deprecateには以下のやうな意味があります。

Pocket Oxfordのdeprecateの項には御叮嚀にもDeprecate is often confused with depreciate.なる註が附いてゐます。とほほ師、見事に混同してゐます。

私見ですが、deprecatedと云ふ表現は、W3Cが消極的に「推奬しない」のではなく積極的に「反對してゐる」事實を意味してゐるのだと思ひます。「W3Cはfont、basefont(以下略)と云つた要素の使用に反對してゐます」或は「將來W3Cはこれらの要素を廢止したいと考へてゐます」と云ふ意味でせう。

事實として、XHTML 1.1では、これらdeprecatedな要素が廢止されてゐます。

追記(2002-09-01)

この項、とほほさんはばつさり削除してしまひました。それあさうでせう。

一方、非推奨の(Deprecated)タグや属性、の項の末尾に、以下の一文が追加されてゐます。

Deprecated なタグや属性は、「将来廃止されるかもしれない(may)」と説明されています。実際に、HTML の後継規格である XHTML 1.1(2001年5月31日に勧告)では正式に廃止されました。

Deprecatedなものは使用すべきではないか?

これは難しい問題です。私も Deprecated なタグや属性を使用せずに、スタイルシートに移行することを何度も試みたのですが、ブラウザのバグや実装の差違がかなり多く、手放しで移行するにはまだ問題が多いと判断しています。

また、無理して <FONT> をスタイルシートに置き換えても、大半のテキストブラウザや音声ブラウザは <FONT> などのタグを無視してしまうため、作者の苦労の割にはアクセサビリティは向上しないという話もあります。

また、強調したいのであれば <STRONG> の方が適切ですが、単に太字フォントの方が奇麗だからという理由であれば、<B> を使用するのもあまり問題が無いとも思います。

私としてはまず、Deprecatedなものを使用する/しないの議論よりも先に、現状の一般ブラウザ、テキストブラウザ、音声ブラウザでちゃんと伝えたいことが伝わるかのチェックの方を優先して欲しいと思っています。

そんなに難しい問題でせうか。正しい作法に基いてマークアップをした文書は、deprecatedな要素が明示されてゐる事はあり得ず、既にHTML 4.01 Strict適合文書となつてゐる筈です。

無理をしてfont等のdeprecatedなタグを埋め込んでも、スタイルシートによるレンダリングの指定ほどには細かい指定が出來ません。また、常に同じスタイルを使用する古くからのブラウザやブラウザ以外のUser Agentでは、font等のdeprecatedなタグは效果を持ちません。

「スタイルシートには問題が多い」と言はれてゐるのを氣にして、私もfontやtableで見榮えを整へる文書を作成してみた事があります。しかし、苦勞した割にはろくなレイアウトが出來ないので、やつぱりHTML 4.01 Strict+Cascading Style Sheetsに戻してしまひました。それに、Cascading Style Sheetsを使ふ事について、私は文句を言はれた事がありません。私は、正しいHTML文書を書き、スタイルを指定する方法には、現状で既に問題はないと思ひます。

私としてはまづ、Deprecatedなものを使用する/しないの議論よりも先に、正しいマークアップの作法をきちんと學んでほしいものだと思つてゐます。或は、なぜ或要素にW3Cがdeprecateしてゐるのかを、良く考へるべきだと思ひます。單に、今まで取つて來た自分のやり方に固執して、自分のやり方を守るためにW3Cを非難するのは、間違つてゐると思ひます。

HTMLの問題は、或特定のブラウザに於る見た目で判斷するよりも、HTMLの中で解決するやうにすべきです。HTMLを或特定のブラウザやヴェンダに從屬させるべきではないからです。

追記(2002-09-02)

この項も、かなり書換へられてゐます。

これは難しい問題です。私も Deprecated なタグや属性を使用せずに、スタイルシートに移行することを試みたのですが、ブラウザのバグや実装の差違がかなり多く、手放しで移行するにはまだ問題が多いと判断しています。ただ、この点は、Netscape Communicator 4.* の利用者が減少することで、問題は減少していると思います。

Deprecated なタグや属性は、XHTML1.1 では正式に廃止されましたが、市場が XHTML に移行するのはまだもうしばらく先のようですし、XHTML1.1 では独自定義のタグセット(モジュール)と併用できるので、<font> などを独自定義のタグとして使用する手もあるという話も聞きました。(XHTML に移行するときは、完全にスタイルシートに移行することをおススメしますが。)

私自身は、多くのユーザは、HTMLエディタなどで、<FONT COLOR="red"> を機械的に <span style="color:red"> に変換することになるのだろうし、それだったら、<FONT> の廃止もナンセンス(文字数が増えるほどのメリットは無い)と思っているのですが、この点に関しては、いろいろな意見があるようです。

みんな(米国を始めとする世界中のウェブサイトなど)などが使っている間は使う、みんなが移行してくれば移行する・・・あたりが丁度よいのではないでしょうか。もちろん、率先して移行する人がいてもいいし、移行を呼びかける人がいてもいいし、そうした中で自然に移行するもんなら移行していくのが自然なんじゃないでしょうか。

私としてはまず、Deprecated なものを使用する/しないの議論よりも先に、現状の一般ブラウザ、テキストブラウザ、音声ブラウザでちゃんと伝えたいことが伝わるかのチェックの方を優先して欲しいと思っています。

説明の部分がかなり言ひ譯じみたものに變つてゐますが、結論は變つてゐませんね。

とほほさんは、「規格がある」とか「現實のプログラムの動作がどうである」と言つた事しか考へてゐません。なぜさう云ふ規格になつてゐるのか、とか、どうしてプログラムはかう動作するのか、とかいつた考察は、とほほさんはいつまでもしようとしません。

文書はどのやうに書かれるべきなのか、とか、より利用し易いウェブを作るにはどうすべきなのか、といつた事は、とほほさんは全く考へてゐません。ただ、「現實はAである、だからAであるべきである」式の、「である」を「であるべきである」に機械的に置換へる、ありがちの怠惰な態度を、とほほさんはとつてゐるだけです。

しかしながら、前にも述べたと思ひますが、價値判斷を抛棄して傍観者的な態度をとつてゐる振りをしつつ、特定の方向に讀者を連れていかうとするのは、よろしくない事です。讀者を欺してゐるからです。とほほさんは、さう云ふ惡質な事をしてゐるやうに、私には思はれます。

<FONT COLOR="red"> を機械的に <span style="color:red"> に変換するやり方は、どうも、とほほさん御自身が、一生懸命布教してゐるやり方であるやうに思はれるのです。「機械的な變換」を教へておきながら(或は「それで十分」「それで規格には適合する」と示唆しておきながら)、さう云ふ「機械的な變換」をみんながするのは趨勢である、自然な事である、と言張るのは、どうかと思ひます。


マーク附けの規格が現實的かさうでないかと議論する前に、文章の筋を通す努力を優先していただきたいものです。

Deprecatedの分類の不思議

big、smallがdeprecatedに分類されてゐないのは、言葉 言葉 言葉にとつて何よりです(本文書の公開時。2002-07-20現在、この文章の記述はobsolete)。

と云ふか、「不思議、不思議」と繰り返してゐるとほほ師は、結局のところ、なぜdeprecatedなのかを考へてゐないのではないですか。

目次

  1. HTMLリファレンス リニューアル版を斬る
  2. 記号や一覧の意味
  3. HTMLのタグと要素
  4. HTMLの属性
  5. 見栄えの分離とアクセサビリティ
  6. 非推奨の(Deprecated)タグや属性
  7. アクセサビリティ
  8. HTMLの歴史