accessibility。アクセシビリティ。なぜとほほ師がアクセサビリティ
と云ふ讀み方を採用したのかはわかりません。
HTMLは現在、W3Cという非営利団体によって議論され、「Recommendation(推奨仕様:勧告)」として公開されます。HTML4.0の策定においては、HTMLの方向性についての見直しが行われました。その主なものが「意味と見栄えの分離」と「アクセサビリティ」です。
その
と云ふ指示代名詞の使ひ方が何となく變だと思はれます。いつたいどの語を指してその
と言つてゐるのでせうか。
HTMLの方向性について
ですが、W3Cは見直し
を行つた、と言ふよりは、本來の方針に戻つた、と言ふべきでせう。
「意味と見栄えの分離」は、HTMLを「意味」だけをマークアップする言語として位置づけ、「見栄えは」HTMLとは別のスタイルシートに分離するというものです。
例えば、<B>、<I>、<TT> や、<FONT>、<CENTER> など、見栄えを定義するタグや、ALIGN=center などの見栄えを定義する属性は好ましくないものと位置づけられ、代わりに、<STRONG>、<EM>、<CODE>など意味を定義するタグや、どうしても見栄えを指定したい場合は、スタイルシートを使用することが推奨されています。
見栄えの情報をスタイルシートに分離しておくことにより、スタイルシートを変更するだけで、例えば「冬の感じのスタイルシート」から「春の感じのスタイルシート」に入れ替えるだけで、複数のウェブページの見栄えを一度に変更することができます。
b要素、i要素、tt要素はHTML 4.01で「非推奬」とされてゐません。
また、スタイルシートはどうしても見栄えを指定したい場合
にだけ使はれるものではなく、User AgentがHTML文書を整形する場合には、いついかなる場合にも使はれてゐます。
なほ、W3CはHTML 4.0で、文書構造に關する記述と、プレゼンテーションに關する記述とを分離しようとした(そして、後者を追放しようとした)のであり、とほほさんの、意味と見栄えの分離
、と云ふ表現は誤です。
HTMLの事を良く知つてゐる筈の人ですら、この邊りの事を勘違ひして、「××要素の意味は云々」といつた議論をしてゐる事があります。
「アクセサビリティ」は、例えば、テキストしか表示できないブラウザを使っていたり、目の見えない人が音声ブラウザを使ったり、目の弱い人が大きなフォントを用いたりする際など、誰でも、どんなブラウザ(仕様書では UA=User Agent と呼ばれています)でも、情報にアクセスしやすくしてあげようという考えです。
どうしてUser Agentと云ふ用語をそんなに憎みますか。
HTML文書を解釋・整形するのはブラウザだけではない、と云ふ觀點から、W3CはUser Agentと云ふ語を取敢へず使つてゐるだけであらうと推測されます。或は、「User Agent」は單なる「ブラウザ」の言換へではありません。
或は、httpで規定されてゐるがゆゑに、User Agentと云ふ言ひ方をW3Cはしてゐるのでせう。
ただ、今すぐに、上記のポリシーに移行するには、いろいろ問題点も残っています。
- スタイルシートに対応していないブラウザがある
- ほとんどの人は Internet Explorer 3.0 以降や、Netscape Navigator 4.0 以降のスタイルシートタイプブラウザを使用していますが、スタイルシート未対応のブラウザも数多くあります。NTTドコモの i-mode もまだ、スタイルシートには対応していません。
- ブラウザのバグに泣かされることが多い
- スタイルシートに関するバグはとても多いです。Internet Explorer 3.0 ではスタイルシートの使用はあきらめた方がよいとさえ言われています。Netscape Navigator 4.* でもいろいろなバグがあり、入念な表示テストを行うか、うまく表示できないかもしれないというリスクを負うか、どちらかの選択となります。
スタイルシートに対応していないブラウザ
は存在しません。スタイルシートとは、或形式の文書を別の形式の文書に變換する過程(プロセス)そのものを言ひます。HTML文書を整形するブラウザの機能はスタイルシートの一種であると考へる事が出來ます。ならば、全てのブラウザはスタイルシートに対応してい
ると言へます。
もつとも、とほほ師の言ふスタイルシート
とは、Cascading Style Sheetsの事である事は明かです(兩者を混同してゐる、恐らく「話を簡單にする爲」)。しかし、ブラウザのバグに泣かされる
のが問題点
だと云ふのならば、JAVAにしろJavaScriptにしろActiveXにしろ、User Agent/ブラウザにセキュリティホールを作る存在は全て排斥されなければならない事になつてしまひます。
適切にマークアップされてゐる文書を、全てのブラウザは正しく整形する事が期待されます。或は、全てのブラウザは完全なスタイルを持つてゐる事が期待されます。もしスタイルに缺陷があるとしたら、それは單にブラウザの不具合・バグです。
ブラウザの問題と、Cascading Style Sheetsの問題とを混同するのは間違つてゐます。或は、CSSの場合にだけ兩者の問題を混同し、それ以外の場合には混同しない、と云ふ一貫しない態度を取るのは、よろしくありません。
とほほ師は依然、スタイルシート(Cascading Style Sheets)を惡者に見せかける事によつてHTML 4.01を批判する、と云ふ論法を捨てません。HTML 4.01に關して根本的に間違つた認識をしてゐるから、そんな變な事をとほほ師は續けてゐられるのではないか、と私は推測します。そもそも、HTMLとスタイルシートとは完全に別の概念です。
意味と見栄えの分離が
HTMLの方向性か
HTMLは、「意味」だけをマークアップする言語
、ではありません。HTMLのマークアップでは、文章の構造に於る或要素の機能を明示する、と云ふ作業しかなされません。
マークアップする言語か、マークアップされてゐるからHTMLであるのか
或普通の文章をマークアップすると、結果としてHTML文書となる、と野嵜は考へます。重要なのはHTMLではなく文書の中身である、と云ふのは、さう云ふ意味であると野嵜は考へます。
「或文書は、構造を適切にマークアップされる事によつて、HTML 4.01に適合した文書となる」と考へるのが、言語過程説的な發想です。野嵜は言語過程説を採りますから、HTMLによつて文書のマークアップを行ふ、或は、HTMLと云ふ言語でマークアップする、と云ふ發想そのものを否定します。