一九九五年

四月〜六月?

|・“影の政府”、“フー・ファイター”を回収。
| “影の政府”の指示を受けて、引揚船・タラバス号は、 |北緯四十二度・東経百七十一度の海底から、“フー・ファ |イター”を回収した。
| “フー・ファイター”は、一九五三年に墜落したUFO |で、回収後は、ヴァージニア州の海軍基地に収容された。

|・交配種研究が、成果を挙げる。
| 旧日本軍・七三一部隊の戦犯科学者であり、ペーパーク |リップ作戦から、交配種研究に携わっていた、と、推測さ |れる、シロー・ザマ医師が、交配種を完成させた。
| “影の政府”は、今回もやはり、交配種研究の進展で、 |“先住民”による、地球への再入植開始が、早まる事を危 |惧した。そこで、研究成果を葬ろうと、まずは、ザマの共 |同研究者である、日本人医師四名を暗殺した。
| しかしながら、危険を察知したザマは、母国・日本の協 |力を得て、完成した交配種と共に、米国脱出を試みる。

|・モルダー、“異星人解剖ヴィデオ”を入手。
| モルダーが通販購入した、“異星人解剖ヴィデオ”と銘 |打った映像に、収められていたのは、“影の政府”に暗殺 |される直前の、日本人医師四名であった。
| “異星人解剖ヴィデオ”の内容に、興味を覚えたモルダ |ーは、その信憑性を確認すべく、スカリーと共に、調査を |開始した。
| しかしながら、“異星人解剖ヴィデオ”の販売者、ステ |ィーヴン・ジンザーはすでに、口封じに殺害された後であ |った。

|・スカリー、UFOサークルを訪ねる。
| ジンザーは生前、ペンシルヴェニア州アレンタウンのU |FOサークルに参加していた。さらに、ペニー・ノーザン |を初めとする、十一人の女性からなるメンバーは、全員、 |“先住民”と“影の政府”による誘拐・人体実験を経験し |ていた。
| ジンザー殺害事件を捜査する過程で、UFOサークルの |存在を知る事となったスカリーは、自身もまた、ノーザン |らと共に、同様の人体実験を行われた旨を説明され、困惑 |する。ノーザンらとは対照的に、スカリーは、誘拐時の記 |憶を、喪失していたのである。
| 加えて、“先住民”と“影の政府”による人体実験を、 |経験した女性は全員、不治のガンを発病する、と、告げら |れ、スカリーは動揺する。

|・スカリー、金属片を分析。
| ノーザンらもまた、金属片を移植されていた事実から、 |スカリーは、自身に移植されていた金属片を、分析する事 |によって、誘拐時に一体、何があったのかを、突き止めよ |うと考える。
| 鑑識担当のペンドレル捜査官が、分析を行った結果、問 |題の金属片は、製作者の命令を受信して、被移植者の感情 |や思考を、操作する機能を備えている事が、判明した。
| しかしながら、この分析作業で、問題の金属片は、破損 |してしまった。

|・モルダー、秘密列車に潜入。
| ザマは、交配種研究に利用される、最新鋭の医療施設を |備えた秘密列車で、米国脱出を企てていた。
| X−ファイル課の支援者・マティソンの情報提供で、そ |の存在を知ったモルダーは、単身、秘密列車に潜入した。
| しかしながら、一足違いであった。ザマはすでに、“影 |の政府”の暗殺者である、マルコム・ガーラックの手で、 |殺害された後であった。

|・スカリー、“太った男”の接触を受ける。
| 問題の金属片について、なおも、調査を続けるスカリー |は、“影の政府”の一員である“太った男”に遭遇する。
| “太った男”によって、もう一台の秘密列車に、案内さ |れたスカリーは、誘拐後、秘密列車に収容されて、人体実 |験の被験者となった事を、思い出した。

|・モルダー、秘密列車を脱出。
| ザマは生前、万が一に備えて、秘密列車に、時限爆弾を |仕掛けていた。
| モルダーは、時限爆弾が作動した秘密列車に、閉じ込め |られてしまったものの、“X”の救出を受けて、窮地を脱 |する。
| しかしながら、交配種とガーラックは、時限爆弾の爆発 |で、死亡してしまい、真実はまたも、闇に葬られた。

九月?

|・フランス、北緯四十二度・東経百七十一度の海底から、“ピュリティー”を引き揚げる。
| フランスは、ジェラルディン・カレンチャックという女 |性を介して、購入した機密情報で、“フー・ファイター” |の存在を知り、その回収に乗り出した。
| しかしながら、“フー・ファイター”はすでに、“影の |政府”の手で、回収された後であった。引揚船・パイパー |丸が、三ヶ月に渡る現地調査を開始した時、海底に残され |ていたのは、“フー・ファイター”を撃墜した戦闘機・P |51ムスタングと、その乗組員に憑依した、“ピュリティ |ー”であった。
| “ピュリティー”は、パイパー丸の潜水士である、バー |ナード・ゴルティエに憑依して、四十二年ぶりに、海上に |浮上する。その目的は、“フー・ファイター”への帰還に |あった。

|・メリッサ殺害事件、捜査打ち切りとなる。
| 五ヶ月に渡って、捜査が行われたにもかかわらず、成果 |を挙げられなかった、という理由で、FBI上層部は、メ |リッサ殺害事件の捜査を、打ち切る決定を下した。この決 |定に、“影の政府”の意図が働いている事は、疑いようが |ない。

|・モルダー、クライチェックと再会。
| ゴルティエに憑依した“ピュリティー”が、パイパー丸 |の全乗組員を、被曝させた事によって、事件は、モルダー |とスカリーの知るところとなった。
| 捜査の結果、カレンチャックの存在を突き止めたモルダ |ーは、その後を追跡して、渡航した香港で、潜伏生活を送 |っていたクライチェックと再会する。クライチェックは、 |MJファイルを翻訳して得た機密情報を、カレンチャック |を介して、フランスに密売していたのである。

|・スキナー、銃撃を受ける。
| メリッサ殺害事件の捜査打ち切りに、異議を唱えたスキ |ナーは、“タバコを吹かす男”の命を受けた、カーディナ |ルによって、銃撃を受けた。
| しかしながら、スキナーは幸い、一命を取り留めた。

|・“ピュリティー”、クライチェックに憑依。
| モルダーに拘束された直後、クライチェックは、“ピュ |リティー”に憑依されてしまう。“ピュリティー”もやは |り、カレンチャックの存在から、クライチェックにたどり |ついたのだった。
| モルダーの追跡をかわした“ピュリティー”は、“タバ |コを吹かす男”の元を訪れ、クライチェックが秘匿してい |た、DATテープと引き換えに、“フー・ファイター”の |所在を聞き出す。

|・スカリー、カーディナルを逮捕。
| スキナーを再度、襲撃しようとしたカーディナルを、ス |カリーは、逮捕する事に成功した。スキナーの銃撃現場で |採取された、カーディナルのDNA型が、メリッサ殺害犯 |のそれと、一致した事で、その容疑はもはや、揺るぎない |ものとなった。

|・“ピュリティー”、“フー・ファイター”に帰還。
| フランスへの機密情報漏洩を知った、“タバコを吹かす |男”の独断によって、“フー・ファイター”は、ヴァージ |ニア州の海軍基地から、ノース・ダコタ州ブラック・クロ |ウにある、ミサイル基地に移されていた。
| “ピュリティー”は、“フー・ファイター”に帰還した |ものの、仮初の宿主として、使い捨てにされたクライチェ |ックは、そのまま、ミサイル基地に隔離されてしまった。

|・カーディナル、暗殺。
| 法廷において、真実が明らかにされる事を恐れた、“影 |の政府”の手で、カーディナルは、口を封じられた。その |死は、獄中での自殺として、偽装されていた。

十一月

|・ジェレマイア・スミス、“影の政府”を脱走。
| “ハンター”の一人であるスミスは、全米に分散した、 |自身と瓜二つのクローンと共に、社会保障局職員として、 |地球再入植計画に従事していた。
| しかしながら、地球再入植計画の存在意義に、疑問を抱 |くようになったスミスは、モルダーに尽力すべく、“影の |政府”を脱走するに至った。

|・“タバコを吹かす男”、ティナと再会。
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今は亡きビルが、“ハンター”のニードルを、持ち出していた事実を突き止めた“タバコを吹かす男”は、その所 |在を問い質すべく、ロード・アイランド州クォノカタグに |ある、モルダー家の別荘で、ティナと再会した。
| しかしながら、口論に発展してしまったがために、“タ |バコを吹かす男”はついに、ニードルの所在を、ティナか |ら聞き出せずに終わる。

|・ティナ、脳卒中に倒れる。
| ティナが、脳卒中に倒れたのは、“タバコを吹かす男” |と別れた直後の事であった。匿名の通報によって、プロヴ |ィデンスの病院に、救急搬送されたものの、ティナは間も |なく、意識不明に陥ってしまった。
| 通報者の正体は、“X”であった。“X”は、“タバコ |を吹かす男”に先んじて、ニードルを入手しようと、その |動向を監視していたのだった。

|・モルダー、ニードルを発見。
| 意識不明となる直前に、ティナが示した手がかりから、 |モルダーは、別荘に隠されていたニードルを、発見した。

|・スミス、モルダーとスカリーに接触。
| 一度は、“影の政府”によって、拘束されたスミスであ |ったが、その治癒能力で、“タバコを吹かす男”を蝕む肺 |ガンを、治療する事と引き換えに、自由の身となった。
| そうして、モルダーとスカリーに接触した矢先、スミス |は、その処刑を命じられた“ハンター”によって、追い詰 |められてしまう。
| モルダーは何とか、“ハンター”の撃退に成功するもの |の、その代償として、ニードルを手放す結果となり、スカ |リーとも、はぐれてしまった。

|・モルダー、“ピュリティー”伝播方法の一端を確認。
| “先住民”は、“ピュリティー”を用いて、現生人類を |一掃する事で、地球への再入植を画策していた。
| そこで、“影の政府”は、空気感染ではない“ピュリテ |ィー”の伝播に、蜂を利用する事にしたのだった。遺伝子 |操作を施された蜂が、同じく、遺伝子操作を施された作物 |から、“ピュリティー”を含んだ花粉を採取し、世界各地 |に伝播するのだ。
| スミスの案内で、カナダを訪れたモルダーは、そこで行 |われている、遺伝子操作を施された蜂の養育と、作物の栽 |培を、目の当たりにした。
| “影の政府”は、この施設にて、遺伝子操作を施した天 |然痘を代用して、“ピュリティー”伝播方法を、研究して |いたのだった。

|・スミス、消息不明に。
| モルダーは、スミスの治癒能力を借りて、ティナを回復 |させようとしたものの、“ハンター”の執拗な追及によっ |て、それを阻まれてしまう。
| モルダーは結局、スミスを守りきれず、単身で、帰国す |るしかなかった。

|・“X”、暗殺。
| 機密情報の漏洩を察知した“太った男”が、仕掛けた罠 |によって、“X”は、暗殺されるに至った。

|・モルダー、マリタ・コバルービアスに面会。
| “X”の死から一週間後、そのダイイング・メッセージ |にしたがって、モルダーは、ニュー・ヨークの国際連合ビ |ルを訪れた。
| モルダーはそこで、事務総長特別代表であるコバルービ |アスから、問題の施設に関する情報を、入手する。
| コバルービアスはやはり、“影の政府”の一員であった |ものの、報酬に不満を抱き、“X”の跡を継いで、モルダ |ーの情報提供者となったのだった。

|・ティナ、回復。
| “ハンター”の治癒能力によって、ティナは回復した。
| ティナの治療を、“ハンター”に要請したのは、“タバ |コを吹かす男”であった。モルダーの弱みを握るため、と |いうのが、その口実であったが、その実、“タバコを吹か |す男”は未だ、ティナに対する思慕の情を、失っていない |ものと、推測される。
U
U
続く

※参照
 アナサジ祈り/ペーパークリップ(2x25, 3x01, 3x02)
 二世/731(3x09, 3x10)
 海底/アポクリファ(3x15, 3x16)
 タリサ・クミ支配者(3x24, 4x01)
 真実(9x19, 9x20)