技術士・得業の会
書評
                        

 技術士試験参考書に関する評価や意見・情報を掲載しています。
 自分にあった参考書や自分の必要とする内容を含んだ参考書を探すための参考にしてください。

 技術士試験参考書
 

膨大な数が発行されています。
この中から選ぶのは一思案ですね。
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はじめに
 ここに記述した書評は、対象とした書籍を技術士試験参考書として使用する場合に限ったうえでのある有限の数の人々の個人的感想や意見であり、皆さんが参考書を選ぶ際の参考にしていただくために掲載したものです。従って、各書籍に対する絶対的な評価ではないことをお断りしておきます。

『技術士第二次試験建設部門択一式対策厳選100問』
  堀誉志男,他 著
  日経BP社(2013年7月発行) 3,360円
 本書は、平成25年から改変された技術士第二次試験のうち建設部門の択一試験対策に特化した参考書である。書名のとおり建設部門の択一試験の例題を100問とり上げている。問題は分野ごとに分類され、全問に解答解説が付されている。ただ、解説は簡素で、基礎知識が前提とされている部分もあるが、詳細まで確認する場合ために参照先のHPを載せている問題もある。一方で、1冊の約半分(後半部分)はキーワード解説に費やされてあり、重要項目の確認に役立つ。ある程度の基礎学力を錬成した上での確認用に有効と感じる。

『技術士第一次試験基礎・適性科目完全制覇(改定2版)』
  オーム社 著
  オーム社(2013年6月発行) 2,940円
 本書は、技術士第一次試験の基礎・適性科目対策に向けた参考書である。各分野の重要項目を抜き出して概説し、それに関する例題と解答解説を付している。本書も取り上げている各項目は重要なもののみをピンポイント的に抜き出しているので、そのまま丸覚えしても直接の戦力にはなりにくいと感じる。基礎学力を前提として、本書で取り上げた項目を参考に、さらに周辺知識は別途学習する必要がある。一方、例題は多くはないが、解答解説は比較的丁寧である。本書は試験対策初期に出題範囲の概要を知るための参考にしたり、試験前の実力確認用に適すると感じる。

『技術士第一次試験「基礎科目」標準テキスト(第2版)』
  福田 遵 著
  日刊工業新聞社(2013年2月発行) 2,100円
 本書は、技術士第一次試験の基礎科目対策に向けた参考書である。要点項目を箇条書き的に挙げ、それぞれ簡潔に解説している。ただ、各要点項目を分野ごとに整理されているが、そのなかでも重要な内容のみを取り上げているため、各項目間の関連や流れはあまり感じられず、関連項目や周辺知識についてもあまり触れられてはおらず、ピンポイント的に感じる。また、例題は多くないので、演習用ではなく試験前の確認用に適すると感じる。あくまで、各分野の知識は別途各分野の参考書等で学習することが必要であると感じる。

『技術士第一次試験「基礎・適性」科目必須問題150問(平成25年度版)』
  5Door's 著
  日刊工業新聞社(2013年3月発行) 1,995円
 本書の特徴は、始めに「これだけできれば合格圏」という章が設けられていている点である。ここには、科目と分野ごとに例題が示されていて、それを解くことによって現状の実力が把握しやすくしてある。ただ、解答解説も付されているが、その内容はややあっさりしている印象である。本書の主要部分を構成する「150問」も科目と分野ごとに例題が示されていて、重要事項を学習できるようになっているが、ここも付されている解答解説はややあっさりしている印象である。例題の解答解説とは別に各科目や分野ごとの要点の解説も盛り込まれているが、内容はポイント的・部分的である。限られたページ数で試験範囲の重要事項を体系的に十分に解説することは無論困難であり、本書もテキストとして活用するよりは、どのような内容を重点的に勉強するかのような戦略立案や試験前の学力の確認用に適した参考書であると感じた。

『技術士第二次試験「最短合格」の秘訣と攻略法〜新試験方法改正版〜』
  足立富士夫,坂林和重 他 著
  産経新聞出版(2013年4月発行) 3,675円
 本書は、受験のノウハウにほぼ特化したものでいわゆる演習用ではないと思われる。内容は多数の執筆者による秘訣や攻略法の紹介、あるいは今風に、合格体験者等によるブログの紹介など、情報は幅広く多い。情報内容には出題内容の分析や答案記述の要点などのほか、合格体験や受験のスケジュール例なども含まれており、読みこなすことができれば相当有意義な内容ではあると感じる。ただ、多くの執筆者等によるものであるだけに、本全体としては内容にややまとまりが感じられず、「船頭多い」ことの難点は否めない。図表等も用いた表現もとりいれているものの、本全体として文字数が多く、文字サイズも多岐で、読みこなすには根気を要する可能性もある。また、例題や答案文例は多くはない。いわゆる勉強用ではなく作戦用の参考書として位置づけるべきと感じる。やはり、最短で合格するためにじっくり時間をかけて戦略を練りたい受験者に好適と感じる。

『技術士第二次試験の論理的攻略法〜論文の書き方・文章のまとめ方〜[改定2版]』
  青山芳之 著
  オーム社(2013年3月発行) 2,625円
 本書は、新制度に合わせて、技術士制度や受験申込,試験内容,受験対策,記述試験の解答論文の書き方とその準備に関する解説を述べている。本書は、記述試験の過去問から出題の内容や傾向とそれに対する準備・対策を解説しているが、その最大の特徴は、@全般にわたって要点を「FOCUS」として強調し、さらに「演習問題」によってそれに対する理解を確認できる構成であること,A記述試験で求められる答案論文を出題の「切り口」やキーワード,書き方指示,構成指示などの視点から分析していること,B前2項を含め全体に表を用いてシステマティックに表現していて見やすいこと、などである。但し、例題は示されているが、文章例の紹介は多くはない。技術士第二次試験の概容を把握した上で、記述試験対策初期の戦略立案や論述演習を始める際の課題の設定などのために、参考書選びに迷う受験者には好適と感じた。

『「技術士第二次試験の解答例(平成25年版建設部門)(技術士試験シリーズ)』
  土木技術研究会 著
  近代図書(2013年3月発行) 3,980円
 本書は、これまでにも発行されてきたなじみのある参考書であり、新制度への移行後もそれに合わせた参考書として書かれている。内容は昨年度の技術士第二次試験の各選択科目の「選択科目に関する専門知識と応用能力」の全課題について、答案論文例を紹介している。記述試験対策にあたり、与えられる課題のとらえ方やどのような論述内容が求められているのかを認識することは大切であり、そのための参考に適していると感じる。但し、他の参考書によく見られる”論述構成のしかた”や”キーワード整理”といったノウハウはほとんど触れられておらず、それだけに、紹介された文例に過度に拘束されることのないよう注意は必要である。ここで紹介されているのはあくまで1つの解答例である。また、新設される「選択科目に関する課題解決能力」についての解説はほとんど触れられていない。一方で、新制度で復活する択一試験対策のために平成13年度〜平成18年度まで実施された試験の過去問を解答付きで掲載している点は、過去問対策の出題内容の把握や知識確認のための演習には適していると感じる。

『「技術士試験」勉強法〜独学・過去問で効率的に突破する!〜(DO BOOKS)』
  鳥居直也 著
  同文館出版(2013年4月発行) 1,680円
 本書は、新制度への移行に合わせた参考書とされている。一次,二次両方の受験者に向けた試験勉強の方法をHOW TO的に解説した参考書である。試験制度の解説としては、各試験の概要や技術士資格のとらえ方などについて説明している。一次試験対策としては、試験の概要に加えて、基礎科目の攻略方法は特に情報論理分野の計算問題対策を丁寧に解説し、また、専門科目,適性科目については要点となる知識内容とその覚え方などについて細かく解説している。二次試験対策としては、試験の概要に加えて、願書の書き方の指導も盛り込んでいる。また、記述試験対策として論述課題や各項目の捉え方や書くべき内容を解説しているほか、キーワードの整理や骨子の整理による論述の組み立て方などについて解説している。一方、過去問などは詳しくは紹介されていない。受験対策初期の戦略立案に好適と言えるが、学習方法は受験者個人の背景や受験部門によって向き不向きは当然あるので、細部にわたる助言に過度に拘束されないよう注意は必要であると感じる。

『技術士第二次試験「建設部門」対策と問題予想(第2版)』
  羽原啓司 著
  日刊工業新聞社(2013年4月発行) 2,310円
『技術士第二次試験「電気電子部門」対策と問題予想(第2版)』
  福田 遵 著
  日刊工業新聞社(2013年2月発行) 2,310円
『技術士第二次試験「機械部門」対策と問題予想(第2版)』
  大原良友 著
  日刊工業新聞社(2013年3月発行) 2,310円
 上記3書は、新制度への移行に合わせた参考書とされている。択一試験対策としては、出題傾向や出題内容の解説に加えて問題例が添えられているが、その数はあまり多くはなく、表題のとおり出題範囲の傾向と予想に活用するものと受け取れる。一方、記述試験対策としては、各選択科目ごとに論述の課題例を紹介しており、こちらはむしろ数が豊富である。ただし、論文例や書き方の指導などに関する内容は少なく、論文作成や論述練習の課題探しに迷う受験者に好適であると感じる。

『技術士試験総合技術監理部門傾向と対策(2013年度)』
  CEネットワーク 著
  鹿島出版会(2013年3月発行) 2,625円
 本書は、新制度への移行に合わせた参考書とされている。最大の特徴はなんといっても択一試験対策としての予想問題と解説の充実している点であると感じる。5つの管理項目ごとに予想問題をやや多めに示しているので、知識の確認や出題の範囲・内容の把握ができる。この内容を軸とした基礎知識の確立と周辺知識の肉付けに役立てたい。一方、記述試験対策としては、予想課題と答案論文例を示して各文例に論述の構成などを図示して解説しており、この点は対策初期に向けと感じる。

『技術士試験建設部門傾向と対策(2013年度)』
  CEネットワーク 著
  鹿島出版会(2013年3月発行) 2,625円
 本書は、新制度への移行に合わせた参考書とされている。択一試験対策としては、想定問題を30数題示しているが、ややあっさりとしている印象を受け、あくまで出題の傾向を把握することに適していると感じる。また、記述試験対策としては、各選択科目ごとに平成24年度の課題と予想問題を示し、答案論文例によって論述の仕方を解説しており、求められる論述の概要を把握するに適すると感じる。全体としては、対策初期の方向性の確認に適していると感じる。

『技術士第二次試験総合技術監理部門合格指南([2013])』
  堀 与志男 著
  日経BP社(2013年4月発行) 3,360円
 本書は、新制度への移行に合わせた参考書とされている。従って、新試験制度についての解説が最初になされている。ただ、総合技術監理部門は新制度下においても他部門に比べると改変は少ない。従前より実施されている択一試験対策については、技術士会のテキストの目次に沿ってまんべんなく予想問題を解答・解説付きで紹介している。また、記述試験対策についてはリスクマネジメントの認識に重点を置いた解説と、平成24年度試験の問題についての答案論文例を数件紹介し、それぞれに論述の思考や組み立て方などの解説を付して各自の論述演習に役立つように工夫している。総合技術監理部門の受験対策参考書としては、知識確認や論述の考え方に適していると感じる。

『技術士第二次試験建設部門合格指南([2013])』
  堀 与志男 著
  日経BP社(2013年3月発行) 2,940円
 本書は、新制度への移行に合わせた参考書とされている。従って、改変内容の解説がなされており、その上で出題傾向や出題内容を解説している。また、新設された業務経歴の書き方についての教示が盛り込まれていて、この点は新制度に戸惑う受験者には助けになると思われる。更に、択一試験の出題傾向や内容の解説と予想問題が示されている。しかし、ここまでの内容は全体にややあっさりとしている印象を受ける。記述試験対策には、論文試験の論述の仕方を受験者の業務の型を実務系と計画系に分類してそれぞれに合わせた論述方法を紹介している点が一つの大きな特徴である。また、もう一つの特徴として、選択科目ごとの出題の要点,出題範囲の話題,想定課題と答案論文例を示して解説している点であり、受験者にとっては論文対策の方向性や概要を把握するによく適していると感じる。

『プロが教える技術士試験合格ガイドブック(国家・資格シリーズ)』
  「資格の広場」JES 著
  弘文社(2013年1月発行) 2,100円
 本書は、新制度への移行に合わせた参考書の中でも最初に出版されたものの一つ。復活された必須科目(択一試験) や新設された選択科目(課題解決能力・論文試験)への取り組み方や技術的体験論文(業績論文・経験論文)が廃止された後の口頭試験への取り組み方などを試験内容やスケジュールを含めて初心者にも再挑戦者にもわかりやすく説明してあり、新制度試験に対する戸惑いを抱える受験者には試験とその取り組み方の概要を把握するための一助となる内容である。但し、全体としてやや概説的で、受験準備の初期段階に適した参考書であると評される。

『例題練習で身につく技術士第二次試験論文の書き方(第2版)』
  福田 遵 著
  日刊工業新聞社(2011年12月発行) 2,310円
 本書は、論文を書くにあたっての姿勢などの準備段階の留意事項を指摘した後、論文の形式や表現のコツなどを一通り解説し、その後、各部門の例題を取り上げて問題の形式別に対処方法を解説し、良い論文例や悪い論文例を紹介しながら論述のノウハウを解説していることが特徴である。過去の出題傾向をよく分析して一通りの論文形式は抑えてあるが、予想外の出題には対応しにくい可能性もある。また、出題のパターン vs 論述のパターンを把握するには有効と思われるが、具体的な知識・情報・意見などの記述内容の良否は別問題であり、別途修練する必要がある。更に各読者にとっては自分の受験する技術部門以外の部門に関する記述内容は無用となる場合もある。

『過去問から学ぶ技術士第二次試験必須科目の要点(第2版)』
  福田 遵 著
  日刊工業新聞社(2012年2月発行) 2,100円
 本書は、題名どおり最近の出題傾向から重要と思われるテーマを選び、その内容を項目と概説の組合せで紹介していることが特徴である。いわゆる“ヤマ”の手引書といった位置付けの参考書である。従って、論文の書き方の解説にまでは及んでいない。試験直前の要点整理・知識確認に好適と思われる。一方で、このような参考書を“ヤマ”かけの手引き書のように活用することは、技術士としてあるいは技術士試験に臨む姿勢としてはいかがなものか。
  
『技術士第二次試験「合格ルート」ナビゲーション一気に合格』
  佐野義幸,木村進 他 著
  日刊工業新聞社(2012年2月発行)1,890円
 本書は、筆記試験(一般論文,専門論文),技術的体験論文,口頭試験の各試験に向けて、業務棚卸しシート,キーワードリスト,骨子作成シート,骨子表など、細分化された着眼点や視点からの受験準備方法を中心にいる点が特徴である。つまり、論文作成や口頭試験などにおける要点を比較的緻密な項目分けをして解説しているので、どこに注意すればよいか、何が重要かを把握しやすい。一方で、各項目の解説は決して詳しくは無いため受験経験者(不合格体験者や再挑戦者)には物足りないと感じることや、論文例などもあまり盛り込まれていないため受験初心者には論文のイメージをつかみにくい面もある。表題のとおり、受験準備を進める過程で受験準備の進め方に問題が無いか、的や方向を外していないかを確認することに有効と考えられる。また、骨子表や骨子シートなどを豊富に用いてあるが、これらの作成作業に振り回されないことも重要である。

『技術士第二次試験合格ライン突破ガイド(第3版)』
  佐藤国仁,岡孝夫 他 著
  日刊工業新聞社(2008年2月発行)2,940円
 本書は、技術士第二次試験の受験について、出願書類の書き方から筆記・口頭試験対策、合格後についてまで解説している。出願書類については、業務経歴の記入時の注意点や書き方を事例も用いて説明している。筆記試験(一般論文・専門論文)と技術的体験論文については、各試験の目的,課題・出題の傾向,論文として求められている内容や書くべき内容などを挙げ、それらを整理するための、論文構成に沿った”骨組みシート”による”論文の設計方法”を解説していることが特徴である。また、一般・専門・技術的体験の各論文とも具体的な論文例を用いて説明しているので書くべき論文のイメージをつかみやすい。一方で、論文の書き方の説明はこのように論文例をとった説明が主であるため、一般化された解説を求める視点からは物足りないと感じられる可能性もある。

『例題練習で身につく技術士第二次試験論文の書き方』
  福田 遵 著
  日刊工業新聞社(2008年12月発行)2,310円
 本書は、表題どおり、例題と答案論文例を抱負に盛り込んである点が最大の特徴である。幅広い技術部門で活用できる参考書である。全体の構成は@論文作成作業の一般的解説A専門科目の取り組み方B必須科目の取り組み方C技術的体験論文の取り組み方となっている。特に@はかなり丁寧に解説されており、情報の集め方をタイプ別に分類して紹介したり、見出し,項目の設け方や表現・表記上の留意事項など詳細に渡っている。また、短文を書くことによる論文組立練習などもあり、これらも本書の特徴といえる。一方で、A〜Cは各部門の例題やキーワード,出題ポイント,答案論文例などを取り上げて解説しているが、@の丁寧さに比して内容はあっさりしている印象を受ける。また、くれぐれも過度に拘束されて振り回されたり、答案論文例の見よう見まねの論文にならないよう注意しなければならない。

『聴く!技術士二次試験論文のツボ』
  山崎 恭司 著
  学芸出版社(2011年03月発行)3,150円
 本書は、表題どおり、論文作成一般のツボ,ノウハウの解説であり、試験の概要と受験申請書記入の要点などが付されている。必須・専門の各論文答案の準備のためのノウハウやツボとして、論文構成・フレーム・レイアウトの考え方,題材・話題・素材の収集・整理のノウハウ(技術ノート作成など)を示している。また、学習計画の立案のノウハウや音読を活用した作文技術の学習法,技術ノートによるキーワード整理のノウハウなどを盛り込んでいるほか付録のCDを活用した学習が特徴的である。一方、意外に技術者として求められていることという視点での解説とはほとんど感じられない。あくまで論文試験に通るためのノウハウの教示といった印象であり、技術者の試験として臨む技術者にとっては違和感や物足りなさを感じる人もいるかもしれない。自らの業務経験内容を的確に自己評価した上で論文作成という直線的な作業にかかる際に有用であると感じる。

『技術士第二次試験「建設部門」〈必須科目〉論文対策キーワード 第2版』
  杉内 正弘 著
  日刊工業新聞社(2011年02月発行)2,520円
 本書は、建設部門の必須科目の出題内容を環境・防災・社会資本整備・建設業の4分野に分類して、それぞれのキーワードを挙げて簡潔な説明を付している。また、想定問とそれに対する解答論文例を載せているので、必須科目の論文の作成練習には参考となると思われる。但し、論文の書き方を指導する内容はほとんどなく、論述の切り口やパターンやキーワードの使い方を読み取る工夫が必要と感じる。またキーワードは豊富だが数も範囲もあくまで有限であり、独自に専門誌や一般メディアでの情報収集も必要である。

『過去問題から学ぶ技術士第二次試験必須科目の要点』
  福田 遵 著
  日刊工業新聞社(2010年03月発行)2,100円
 本書は、論文の作成方法について述べたものではない。必須科目の過去数年の各部門で取り上げられた課題の主なものについてその要点を説明した内容である。例えば、「少子高齢化社会」であれば、その意味,現状,主なデータ,今後の動向,施策内容などについて簡潔に説明している。但し、取り上げた話題も範囲も有限であり、情報収集・整理の手間を省く目的ではなく、知識の確認に適すると感じる。

『技術士第二次試験の論理的攻略法』
  青山 芳之 著
  オーム社(2008年05月発行)2,625円
 本書は、必須・選択・技術的体験の各論文の作成についてのキーワード,出題パターン,書き方指示ごとの記述パターンなど、課題と記述の対応をパターン化して解説していることが特徴である。しかも、各論述の切り口を技術部門ごとに整理している点も特徴的である。つまり、各部門においての近年どのような切り口の出題が目立つか、どのような切り口で出題されたらどのような書き方を求められたら、どのような内容が多いか、などを切り口,パターン,キーワードなどでまとめ、どういう場合に度々書き方パターンを当てはめるか、というような解説である。やや安直な間もあるし、パターン化された試験とは限らない。体験論文も全体構成,見出しの設け方,各章の書き出し〜結びの書き方例・パターンなどで説明しているが、やはり、技術者の試験と対策として読むと違和感を感じる人も多いだろう。部門別のキーワードや出題・論述の切り口別のパターンなども部門間で質量にばらつきも見られる。ただし、切り口例や出願パターン例,論述パターン例は全体に豊富に盛り込まれてあるので、参考にはなる。くれぐれも、当てはめ式のテンプレートのような使い方にならないよう注意は必要である。

『技術士ハンドブック』
  日本技術士会プロジェクトチーム技術図書刊行会編
  オーム社(2006年11月発行)8,400円
 本書は、技術に関する基礎知識と実務知識を安全,環境,情報,品質等々、各技術部門を縦割りとするならば横割りの視点でまとめている。ただし、ハンドブックという形式上内容は広く浅いものであり、概略を手軽に参照するには適しているが、詳しくは別途調べる必要がある。

『技術コンサルティングハンドブック』
  日本技術士会プロジェクトチーム技術図書刊行会編
  オーム社(2009年01月発行)7,875円
 本書は、技術コンサルティングに関する共通の基礎知識と実践知識から構成されている。内容は各部門で活躍する技術士たちがコンサルティングの実務経験の事例を、クライアントからの問いや依頼とそれに対するコンサルティング内容という形式で示しており、技術士と社会の関わり方をある程度垣間見ることができる。ただし、記述内容は多種多様多量であり、全部読み切るには多くの時間と労力を必要とする。

これらの二書は試験対策に直接役立つものではないが挫折しそうな時はこれで合格後の自分の姿を描くことで自分を励ます”読み薬”にはなるかと感じる。

『科学技術者の倫理 第3版』
  Charles E.Harris Jr.(他)著日本技術士会 編訳
  丸善 2008年12月発行 4,095円
 本書は、科学技術倫理についての考え方や取り組み方を体系的に整理した上で、これらを科学技術者が遭遇すると思われる事例を用いて解説している。日本技術士会が翻訳・編集しているので技術士の立場での技術倫理の教科書といえる。また、訳者が化学,金属,応用理学,線維,電気電子,経営工学部門など多くの参考書のように建設部門中心でないことが特徴。ただし、内容は高度かつ多岐であり、読むには修練を要する。一次試験の適正科目対策にはやや重いと感じる。

『大学講義 技術者の倫理 入門』
  高城重厚,杉本泰治著
  丸善(2005年2月発行)1,700円
 本書は、技術倫理についての基本的な知識や捉え方を事例を取り上げるなどして平易に解説している。著者は技術士であり、第一次試験の適正科目対策にも有用であると思われるが、節や項目立てがやや不便で、また、取り上げた事例に対するいわゆる模範解答的な対応はあまり明示されていない。記述分量は230ページ程度と、読みきるには適度である。

『はじめての技術士チャレンジ! 第2版 試験改正対応版』
  矢田美恵子,宮入賢一郎著
  日刊工業新聞社(2008年7月発行)1,470円
 本書は、技術士の概要や技術士資格の魅力などを現役技術士の事例を交えて紹介している。受験対策についても40ページほどを割いて触れており、過去問題研究やキーワード整理業務整理などについて概説しているほか、受験対策中によくある悩みをQ&A形式で解説している。完全な受験の手引書ではなく、技術士資格へのお誘いといった位置づけととらえる。受験準備を始める前に眼を通すことで、受験に取り組むためのおよその姿勢をつかむことに有効といえる。

『どなたも技術士になれる 第3版』
  技術士育成研究会編 久保田信一著
  技報堂出版(2002年7月発行)4,410円
 本書は、豊富かつ体系的で丁寧である。技術士制度と試験制度の概要を紹介し、試験対策を筆記試験,技術的体験論文,口頭試験の対策を述べている。各試験の意味や位置づけを開設した上で、対策や計画の立て方,論文の構成や文章や会話での表現方法,用語などを各工程ごとに時系列的に解説しており、文字通りの手引書といえる。また、合格体験談や受験指導体験談なども盛り込まれており、参考になると思われる。但し、あまり丁寧すぎて、ページ数も多く、全部読むことは困難であると感じる。活用に当たっては、読書作業自体や記述内容に過度に拘束されて振り回されないように注意が必要でもあると感じる。

『技術士試験突破法 〜1回の受験で合格』
  studio woofoo編著
  TAC出版(2009年9月発行)1,470円
 本書は、受験手引書らしく、各工程ごとに要点をわかりやすく解説している。受験準備全般の取り組み方や筆記試験・技術的体験論文・口頭試験の各試験対策については、ロードマップや論文作成の手順,各工程での注意点,禁句や表現方法まで簡潔に表現している。但し、活用に当たっては、内容に拘束されすぎて振り回されないように注意が必要であると感じる。試験内容も受験者も多様であり、当然ながら、手引書どおりに進めたからといって必ず1回で合格できるというわけでもない。