1−1位置図 1−2地形地質概要 1−3偏光顕微鏡写真集 1-4《まとめ》.岩石写真とその特徴1 1−5《まとめ》岩石写真とその特徴2 1-6調査結果のまとめと考察 (参考)岩石区分図

TOPへ

13

 新前川橋まで斑岩が連続するが、橋を南側に越えた辺りに灰褐色系の岩石が出現する。小さな岩体だがこれまでの岩体と趣をことにしている。これは凝灰岩で火山灰が堆積したものと見られる。その中に暗灰色の泥のようなものが層状に見られる。凝灰岩と交じり合ったりして、濃淡がみられ、また途中でと切れたりして連続性がよくない。なぜ半深成岩の隣に堆積性の凝灰岩が出るのか?暗灰色の泥質部は泥の堆積なのか、あるいは火山灰の化学的性質によるのか?

 

新前川橋より南側(上流)を望む。手前の岩石は石英斑岩。 新前側橋を南に越えた辺りに凝灰岩層が出現する。
凝灰岩は暗灰色の泥質部を含んでいるが、連続性はなく、途中で切れたり消失したりする(左側が北で、右側が南方向)。また凝灰岩層にはやや粗粒な部分と細粒な部分との層構造が顕著に見られる。 ハンマーの上のシャーペン付近の拡大写真。暗灰色の泥質部に灰褐色の凝灰岩層が貫入している(ペン先、幅1cmほど))。それは泥質部の下部でとどまる。このことより泥質部へ凝灰岩層が貫入した判断できる。(北上位)
また、左の写真からも泥質部の右側境界は明瞭なのに対し、左側境界はやや不明瞭で混合しており静水中での急激な火山灰の堆積を連想させる。(混濁流が示す級化層理とは逆の堆積構造)


岩石No.25(931602)-凝灰岩
オープン10× クロス10X
(肉眼観察)風化した凝灰岩?赤褐色。均質な火山灰が強く圧縮され岩石になった感じで、高温で熔結した様ではない。黒色の薄層(泥質層)を挟んでおり、流れたような流離構造を示す。
(顕微鏡観察)組織はやや角ばった細粒結晶や微細な丸い結晶からなる。複屈折が小さく、干渉色が小さい。斑晶は0.2mm程度の石英や風化した鉱物がわずかに点在する。赤茶色は風化で変質した鉱物。
採取岩石の写真 (推定岩石名)凝灰岩

No.25−1(1011101@)−凝灰岩
オープン10× クロス10×
(肉眼観察)灰褐色。微細な基質にやや粗粒な火山灰や結晶、塵埃を含んでいる。また泥質部も含む。但し、層状ではなく、散在している感じだ。試料は左の写真の消しゴム部分の左側である。
(顕微鏡観察)細粒の基質にやや粗粒〜中粒の変質した斑晶が多量に含まれている。また、岩片なども多く含まれている。基質は細粒な結晶からなるが、これも変質している。基質は火山灰起源だろう。
採取岩石の写真 (推定岩石名)凝灰岩

No.25−2(1011101B)−凝灰岩
オープン10×(右上は泥質物質が少ない) クロス10×(右上は泥質物質が少ない)
オープン25×(間隙を埋める泥質物質) クロス25X(間隙を埋める泥質物質)
(肉眼観察)暗灰色。微細な泥質粒子からなる。濃淡があり、流離構造を示す。流離構造からは上下は判定不可。採取試料は上の写真のグリップ部分。層状凝灰岩層の直上である。
(顕微鏡観察)細粒の結晶粒や同程度の大きさの岩片などから構成されるが、ほとんど結晶粒からなると思われる。ただ、結晶粒といっても上の写真に見られるように、自形の結晶はなくて、変質した
細粒結晶が多い。そしてその間隙を黒っぽい鉱物らしきものが埋めているが、これが泥とみられる物質だ。ただこの泥の部分が弱くて、完全に泥質にはなっていない。
一方、凝灰岩に近い下底部分(左の写真では下側)は火山灰を上部より多く含んでおり、その分粗粒な結晶が散在している。それは下部の凝灰岩層から取り込んだと見られるので、やはり堆積状態からすると、北側上位と判断される。
採取岩石の写真 (推定岩石名)凝灰岩

前のページへ次のページへ
位置図へ