1−1位置図 1−2地形地質概要 1−3偏光顕微鏡写真集 1-4《まとめ》.岩石写真とその特徴1 1−5《まとめ》岩石写真とその特徴2 1-6調査結果のまとめと考察 (参考)岩石区分図

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 この岩体の周辺では凝灰岩も貫入しています。前の写真のうち2筋のくぼみが見られますが、これが凝灰岩の地層です。凝灰岩は火砕流堆積物と石英斑岩の境界部を垂直に貫入しています。
 凝灰岩は火山灰が堆積し固結したものですが、普通は岩石を横切って貫入することは考えられません。凝灰岩が堆積するころには、斑岩の岩体は地上に顔を出し亀裂が生じていてそこに堆積したのでしょうか。噴火口は近くにあったのでしょうか。
岩石No.24(1011002)-凝灰岩
25×オープン 25×クロス
(肉眼観察)
赤褐色。風化により赤褐色化(元は白色系?)。細〜中粒の火山灰が固結。触ると細かな粒子が手に残る。全体に細かい空隙あり。軽い。塊状。熔結せず。硬質だが研磨しやすい。
(顕微鏡観察)
組織は主に隠微晶質な部分(他形の微細な結晶)と石英や長石と思われる他形の細粒結晶そして赤褐色の不定形な不透明鉱物からなる。肉眼で赤褐色を呈するのはこの不透明鉱物の色による。隠微晶質な部分は変質してクロスではきらきら輝いている。元は長石か石英と思われる。また、長方形型の鉱物も点在している。これは元は斜長石と思われる。
写真は中央部に細長い長方形の鉱物が見られるが、拡大すると微細な結晶粒からなる。その周囲は細粒結晶からなるが(たぶん石英か長石類)、その結晶は不透明鉱物や塵埃(じんあい)など多くの不純物を含んでいる。
採取岩石の写真 (推定岩石名)凝灰岩
 凝灰岩がなぜ、斑岩の岩体や火砕流堆積物を横切ってこんなところにあるのか。それを推測してみよう。
 凝灰岩は火山灰が固結した岩石であり、隠微晶質な結晶や細粒結晶からなる。通常は地上に堆積するはずだ。それが貫入岩と同じように存在するのはやはりそこに亀裂があったということだろう。しかもその亀裂は地上に顔を出すか、噴火口そばに亀裂があり、噴火口からの火山灰が堆積したのだろう。
それでは噴火口はどこにあったのだろう。遠く飛ばされた火山灰?それが亀裂部分に徐々に堆積した?それはあまり考えられない。どこか近くに噴火口があり、一気呵成に亀裂部分に堆積したほうが常識的に思われる。今はもう削剥されて存在しないかもしれないが、当時はこの近くに噴火口があったのだろう。

 

No.24-1(982907) 花崗斑岩
×オープン ×クロス
(肉眼観察)乳白色。均質で珪質な基質に、0.1〜2mm程度の結晶が散在している。長石や石英と見られる。
(顕微鏡観察)斑晶と細粒の結晶からなる。斑晶は主に石英と風化・変質した斜長石からなる。細粒結晶はどのような鉱物か判断に迷う。やはり長石か石英と思われる。
採取岩石の写真 (推定岩石名)花崗斑岩

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