1−1位置図 1−2地形地質概要 1−3偏光顕微鏡写真集 1-4《まとめ》.岩石写真とその特徴1 1−5《まとめ》岩石写真とその特徴2 1-6調査結果のまとめと考察 (参考)岩石区分図

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火砕流堆積物1、石英斑岩5

樫井川に架かる前川橋から南(上流方向)へしばらく歩いていくと、これまでの青灰色の石英斑岩の中に急に暗灰色の岩石が入り込んでいるのを見つける。両者の関係から、まだ溶融状態の斑岩類の中に黒色の岩石が貫入(あるいは流入、あるいは堆積)してきたことがわかる。また、暗灰色の岩石には多量の石英斑岩の岩片や岩体をも含んでいる。従って、両者はまだ溶融状態だったわけで、暗灰色の岩石がマグマのような状態で斑岩類を取り込んだのだろう。


写真は斑岩と灰黒色岩との境界。また、その境界部を凝灰岩が貫いている。凝灰岩は幅20〜60cm。赤褐色で風化しているが、新鮮なところは青白色で塊状。 メジャー部分の拡大写真。


岩石No.22(921608) 灰黒色岩ー火砕流堆積物(岩脈)
            白色岩ー石英斑岩

灰白色岩オープン10×) 灰白色岩(クロス10X)
灰黒色岩(オープン10X) 灰黒色岩(クロス10X)左半分は石英斑岩の岩片
(肉眼観察)
 灰黒色岩は多数の大小結晶粒(最大φ10mm)や岩片を含む。岩片には灰白色の岩片(斑岩)を含んでおり、灰黒色岩が堆積時(あるいは爆発時)に削り取ったと見られる。
 灰白色岩はのっぺりした珪質な基質で、透明色の多数の斑晶を含む。
 地層の傾斜が垂直なため北側(黒色岩)が上位と考えられる。
(顕微鏡観察)
灰黒色岩:斑晶と石基とからなるが、斑晶は1cm程度の結晶や岩片のほか、各種の大きさの結晶を含み、また岩片は斑岩と見られるが、その他のものも含んでいるようだ。石基は隠微晶質な結晶からなる。

 灰白色岩:斑晶と石基からなる。斑晶は自形〜半自形の石英、カリ長石、斜長石からなり、斜長石は曹長石〜灰曹長石。石片含まず、すべて結晶粒からなる。石基は整然としており、他形で等粒状の隠微晶質な鉱物からなる(たぶん長石か石英)。

灰黒色岩の写真において、真ん中より左半分は斑岩の岩片である。両者の石基の差異が明白である。共に石英は融食形を示す。斜長石は内部に多くの変質鉱物を含んでいる。
採取岩石の写真 (推定岩石名)黒色岩ー火砕流堆積物
          白色岩ー石英斑岩

 灰黒色岩は火砕流堆積物、白色岩は石英斑岩とした。
 生成環境を推測すると、火砕流堆積物は斑晶や細粒結晶、斑岩の岩片を取り込み、その基質が隠微晶質な事から溶融したマグマが割れ目に入り込み急速に固結したもののと推測される。その力は取り込んだ岩片が大きいことから爆発的なものかもしれない。このマグマは斑岩を作っているマグマと同じものと思われる。斑岩はまだ完全には固結していなかったときに貫入が行われたのかもしれない。火砕流堆積物が灰黒色をなぜ呈するのかはわからない。噴火口や火道がこの近くにあったのかもしれない。

岩石No.23(982906)-石英斑岩
10×オープン 10×クロス
(肉眼観察)褐灰色。均質なのっぺりした基質に透明な石英の斑晶が肉眼的にはっきり見える大きさ(1-7mm程度)で点在している。その他にも紅色に変質した結晶が点在している。
(顕微鏡観察)
 石基は隠微晶質な干渉色の低い、他形の結晶よりなり、かなり風化が進んでいる。斑晶は1-3mm程度で石英と変質が進んでいる斜長石からなる。ただ、元の鉱物が不明な結晶も見られ、これがカリ長石の可能性もある。細粒の結晶も点在している。肉眼で紅色に見えるのは変質鉱物の影響と見られる。写真は右側が隠微晶質な基質、左側は石英の斑晶。
 岩石は粗粒な斑晶と隠微晶質な石基からなっており、粗粒な結晶が地下深くゆっくりと結晶化した後、地下の浅いところで残液が早く結晶化したと見られるので、石英斑岩とした。
921608の白色岩と同じもの。
採取岩石の写真 (推定岩石名)石英斑岩


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