仕組みの解明と適切な後始末を
2011年11月1日
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戦後最大の金融事件は進行中
▲http://www7b.biglobe.ne.jp/~tanaka1942b/fx-24.html
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投資・資産運用として取引している
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<OKWabeでの興味深い問答>
2009年4月に大腸がんの手術(上行結腸癌ステージ3B)を受けて毎週更新していたホームページも休んでいた。体力は落ちているが好奇心は旺盛。そんな時、
ネットサーフィンをしていて面白いページを見つけた。OK Wabeで「FX業者はどのようにして利益をあげているの?9」と題してhirosi3氏がFXの仕組みを解明している。▲
そこでhirosi3氏は「FXはパチンコと同じようにお客が損した分が業者の収益になる」と主張している。筋は通っているので、氏の論理を借用しながら「FX、お客が損すりゃ業者は儲かる」を展開していくことにした。最後までのお付き合いのほど、よろしくお願い致します。(引用文の赤字青字はTanakaが指定)
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<FXの一般的な説明>
FXとはどういうものか?まず一般的な説明から始めよう。
FX(Forex(Foreign exchange)「外国為替証拠金取引」)とは外国の通貨(為替)を買売して、利益を出す取引のこと。例えば、「1ドル=100円」のときに100万円で10,000ドル買い、円安で「1ドル=110円」になったら、これを110万円で売り、10万円の利益を得る。あるいは、「1ドル=100円」のときに100万円で10,000ドルを売り(空売り、持ってなくても売れる)、「1ドル=90円」になったら、90万円で買い戻し10万円の利益を得る。
もっとも「1ドル=100円」のときに100万円で10,000ドル買い、円高ドル安になったので、「1ドル=90円」の時に売って10万円の損をすることもある。
FX業者と会員登録をして、インターネットで取引をする。25倍のレバレッジがあって実際の4%の資金を保証金にして取引する、上の例で、「1ドル=100円」のときに100万円で10,000ドル買うのに必要なのはその4%の資金、4万円。
2011年8月では約1億5,500万円の取引が行われている。▲
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<FX業者の説明>
FX取引を始めるには業者の会員として登録することになる。そこで、業者がどのように説明しているか、業者の「契約締結前交付書面」から引用しよう。
外国為替証拠金取引とは、事前に取引金額の一部を証拠金として預託した上で差金決済による外国為替の売買を行う店頭デリバティブ取引(
▲金融商品取引法第2条第22項▲)に該当する取引で、売買の目的となっている通貨の売戻しまたは買戻し等をした時の差金の授受によって決済する事ができる取引)をいいます。(サイバーエージェント)
外国為替保証金取引とは、事前に取引金額の一部を保証金として預け入れた後に行う店頭金融先物取引(金融商品取引法第2条第22項第1号に該当する取引で、当該売買の目的となっている通貨等の受渡し決済もしくは売戻し又は買戻しをしたときは差金の授受によって決済することができる取引。)で、常に約定日の2営業日後の日を決済日とし、かつ、決済日に反対売買等の決済取引を行わない場合には、自動的に当該決済日が翌営業日に繰り延べられる特約がついたものをいいます。(外為どっとコム)
本取引は、お客様が所定の証拠金を当社に事前に預け入れることにより、通貨の売買取引を行う店頭外国為替証拠金取引(金融商品取引法第2条第22 項に規定する店頭デリバティブ取引のうち同項第1号に規定する取引)であり、当該売買の目的となっている通貨の新規の売りもしくは買い、これらに対する決済の売りもしくは買いによる差金の授受によって決済する取引です。本取引にはこの決済による売買損益の他にスワップポイントによる損益が発生します。(DMM)
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<何を期待してFXをやっているか?> 株取引と同じように、資産運用・投資・投機としてFXをやっている。それは掲示板やOK Wabeでの問答を読めば分かる。「ゼロサムゲームなので、損する人もいれば儲ける人もいる。業者は手数料収入なので会員の損得には関係ない。」このように考えていて、市販のFX解説書もそのような趣旨で書かれている。
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<FXのメリット>
●24時間できる。株取引と違って月曜日の朝から土曜日の早朝まで取引ができる。●レバレッジがきいていて資金の25倍の売買ができる(4%の資金で売買できる)。●手数料が安い。非くりっくでは手数料との名目では無料にになっている。
こうしたことも初心者が参加しやすい要因と言われている。
このような意見もある。
「レバレッジによってリスクの大きいFXですが、外貨預金や外貨建てMMFの代替として活用してみるのもよいでしょう。他の外貨運用に比べ手数料の低いため外貨運用に比べ金利の高いものであれば外貨建MMFと比べても有利です。」▲マネックス証券且ミ長・松本大『資産運用はじめてBOOK 2012年度版』
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<金融商品取引法第2条第22項> FXが法的根拠としている金融商品取引法は次の通り。
「金融商品取引法」第二条22 この法律において「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う次に掲げる取引(その内容等を勘案し、公益又は投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)をいう。
一 売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品(第二十四項第三号の二及び第五号に掲げるものを除く。第三号及び第六号において同じ。)及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の売戻し又は買戻しその他政令で定める行為をしたときは差金の授受によつて決済することができる取引
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<店頭デリバティブ取引> 「店頭取引」とは、東京証券取引所・金融商品取引所のような取引市場によらず、取引当事者同士が取引条件を決めて取引すること。ある瞬間に100円で取引されたり、100円1銭で、100円2銭で取引されることもある。FXでは業者が会員個別に違ったレートを配信することもある。「デリバティブ取引」とは、為替・通貨の取引=現物取引ではなく、そこから派生される取引であり、為替・通貨の受け渡し、その代金の受け渡しも行わず、つまり実際には為替・通貨の売買は行わず、売ったつもり、買ったつもりで、差額を取引取引すること。
「金融株取引は商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う取引」とは、金融商品取引所・インターバンクなどによらない取引。会員が10万ドルの買い注文を出すと、同業他社・カバー銀行・インターバンク・東京、大坂金融商品取引所などに取り次がず、業者自身が取引相手となって取引を行う取引。商品先物取引法で規定されている「のみ行為」です。「差金決済」とは、実際には為替・通貨の売買は行わず、決済取引の後に差額を授受する取引。株取引は仲介取引・受渡決済です。
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<商品先物取引法第212条>「のみ行為」を禁じている商品先物取引法は次の通り。
(のみ行為の禁止)第二百十二条 商品先物取引業者は、商品市場における取引等の委託又は外国商品市場取引等(外国商品市場取引若しくはその委託の媒介、取次ぎ若しくは代理又は外国商品市場取引のうち商品清算取引に類似する取引の委託の取次ぎ若しくはその委託の媒介、取次ぎ若しくは代理をいう。以下この章において同じ。)の委託を受けたときは、その委託に係る商品市場における取引等をしないで、自己がその相手方となつて取引を成立させてはならない。
「商品先物取引法」で禁じている「のみ行為」を「金融商品取引法」で合法としている。つまりFXは「合法のみ行為」
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契約締結前交付書面
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株取引では業者は手数料収入だが、FXでは会員が損した分が業者の売り上げになる。従って、皆が儲かれば業者は破綻する。くりっく365では取引手数料を取り破綻を防ぐ。非くりっくでは会員全てのポジションを把握している業者のコンピュータが会員には独自のレートを配信し、破綻を防ぎ売り上げを確保する。
このように説明すると、次のような反論が出る。
「FXも株取引と同じように手数料収入だ。会員が損しようが得しようが業者には関係ない。業者は会員同士の仲介をしているだけだ。さらに、レートはどこも同じ。特にくりっくなどは取引所取引なのだから、操作できない。」と。
そこで、この説明をするために業者の「契約締結前交付書面」を利用して話を進めることにしよう。はじめに「契約締結前交付書面」とはどういうものか、から始めよう。
2-1 店頭デリバティブ取引は、その取引の仕組みやリスクが取引所において行われる取引所金融先物取引や外貨預金等とは異なるため、その取引にあたっては本取引説明書および約款等を十分に読み、それら内容をご理解頂き、かつ承諾頂く必要がございます。(みんなのFX)
2-2 第1条(本約款の趣旨)
本約款は、お客様とヒロセ通商株式会社(以下、「当社」といいます。)との間で行うインターネット店頭外
国為替証拠金取引(以下、「本取引」といいます。)に関する権利義務関係を明確にするために定めた取り決め
です。お客様は本取引を行うにあたり、本約款に同意するものとします。(LION FX)
2-3 お客様が、本約款・取引規定、別紙の「店頭外国為替証拠金取引説明書」(以下「取引説明書」という。)を十分理解し、それぞれに規定したルールに従って取引行うことを同意された場合のみ、当社はお客様との取引を行うものとする。 お客様は、当社から説明を受けた、本約款第2条第1項に定義する本取引の特徴、取引の仕組み等取引に関する内容を十分把握し、お客様の判断と責任において本取引を行うものとする。(外為オンライン)
2-4 店頭外国為替証拠金取引は、その取引の仕組みやリスクが外貨預金・外貨建MMF、その他の金融取引や取引所において行われる取引所金融先物取引とは異なっています。従って、取引をされるにあたっては、約款および本取引説明書を十分に読み、それらの内容ならびに下記の事項を十分に理解し、かつ異議なく承諾して頂く必要がございます。(サイバーエージェント)
2-5 私は、貴社より「店頭外国為替証拠金取引説明書」、「店頭外国為替証拠金取引約款」、「取引所外国為替証拠金取引説明書」、「取引所外国為替証拠金取引口座設定約諾書」、「取引所外国為替証拠金取引規程」を受領し、店頭外国為替証拠金取引、取引所外国為替証拠金取引の仕組み、リスク、および貴社の提供する店頭外国為替証拠金取引、取引所外国為替証拠金取引の内容等について理解の上、私の判断と責任において店頭外国為替証拠金取引、取引所外国為替証拠金取引を行います。(GMOクリック証券)
2-6 店頭外国為替証拠金取引約款・規程集のこの約款(以下「本約款」) は、契約者ご本人 (以下「お客様」) が、株式会社外為ジャパン (以下「当社」) との間で行う店頭外国為替証拠金取引 (以下「本取引」) に関する権利義務関係を明確にするための取り決めです。お客様が、店頭外国為替証拠金取引約款・規程集(「本約款」・「オンライン店頭外国為替証拠金取引規程」)及び金融商品取引法第37条の3の規定による契約締結前交付書面にあたる店頭外国為替証拠金取引マニュアル(「店頭外国為替証拠金取引のリスク等重要事項について」「オンライン店頭外国為替証拠金取引ガイド」「店頭外国為替証拠金取引の概要・リスクについて」「外国為替証拠金取引行為に関する禁止行為」「個人情報の取り扱いについて」「株式会社外為ジャパンの概要について」)の書面内容を最後まで十分に読んでいただき、本取引の特徴、仕組み、内容、危険性等を十分に理解した上で、お客様の責任と判断で本取引を行う必要があります。つきましては、当社に本取引口座を設定するに際し、金融商品取引法その他の関連法令及び社団法人金融先物取引業協会の規則等を遵守するとともに、次の各条に掲げる事項を承諾していただくものとします。なお、本約款における用語の意義は、本約款の第1条(定義)において定めるところとします。(外為ジャパン )
2-7 FXは株取引とは違う点が多い。そこで監督官庁は、「契約締結前交付書面」により十分な説明をするように指導している。しかし会員になる人はこれを読んでいない。読まず、理解せずに勝手な思い込みでFXを始めている。その勝手な思い込みで、OK Wabeなどで株取引と同じような、資産運用の手段になるかのように教えている。「契約締結前交付書面」の性質を理解していただいたうえで、話を続けることにしよう。
ポイントは「相対取引」「差金決済」「レートは業者が決める」の3点だ。
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株取引は仲介取引、FXは相対取引
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各業者の「契約締結前交付書面」から引用。(2011.11.01)
3-1 相対取引(あいたいとりひき) 金融取引業者がお客様に対する取引の相手方となる取引。店頭取引ともいう。(DMM)
3-2 お客様と弊社が行う取引については、店頭相対取引として行うものであり、弊社が表示する通貨等の売付けの価格と買付けの価格とに差(スプレッド)がある事。(サイバーエージェント)
3-3 株式会社外為オンラインの店頭外国為替証拠金取引は、私と同社との相対取引であり、為替レートが他の情報(テレビやインターネット等)とは必ずしも一致しないことを理解しています。(外為オンライン)
3-4 お客様の取引の相手方は当社(相対取引)となっており、取引所取引とは異なりますので、契約締結前交付書面をよくお読みいただき、内容をご理解の上、ご自身の判断によりお取引ください。(LION FX)
3-5 店頭デリバティブ取引に係るご注意 本取引は、金融商品取引法において不招請勧誘禁止の対象となっている店頭デリバティブ取引であるため、お客様より事前に要請がない限り訪問・電話による勧誘はできない取引です。(フォーランドフォレックス)
3-6 相対取引(あいたいとりひき) 取引所などを介さず、売り手と買い手が直接に取引すること。銀行対銀行、銀行対顧客といった1対1の取引。取引価格も、取引の方法も、当事者同士の交渉によって決まる。OTC(Over The Counter)。(パートナーズFX)
3-7 取引価格 当社が会員ページにおいて表示している店頭外国為替証拠金取引に係る各通貨 の価格は、インターバンク市場に参加している当社のカバー取引先から提供さ れる最新の価格を参照し、当社がお客様向け取引レートとして算出したもので す。(GMOクリック証券)
3-8 本書面における店頭外国為替証拠金取引は、お客様に一定の証拠金(委託証拠金)を当社に担保として差し入れていただき、契約時の約定代金と決済時の約定代金の差額のみを受け払いする差金決済又は当社所定の決済方法による決済が行われる取引で、当社との相対(店頭)取引であり、取引所(市場)取引ではありません。(マネックスFX)
3-9 店頭外国為替証拠金取引の性質と信用リスク 株式会社サイバーエージェント FX(以下「弊社」といいます。)が提供する店頭外国 替証拠金取引は店頭デリバティブ取引です。従って、インターバンク(銀行間)を含む全ての店頭外国為替証拠金取引は相対取引(OTC=Over The Counter 取引)によって行われます。弊社は、店頭外国為替証拠金取引に関してお客様のカウンターパーティ(取引の相手方)として行動する事になり、弊社とお客様との間の取引は、証券取引や取引所先物取引とは異なる独自の規制に基づいて管理されます。そのような性質から OTC 取引においては、契約の締結や取引の実行は、当事者同士の信頼に依存する部分が取引所取引と比べてより高くなります。従って、お客様には店頭外国為替証拠金取引を開始される前に、取引の性質とリスクについてのご理解をお願い致します。(サイバーエージェント)
3-10 「FXブロードネット」は私と貴社との相対取引であり、為替レートが他の情報(テレビやインターネット等)とは必ずしも一致しないことを理解しています。(FXブロードネット)
相対取引リスク FXブロードネットはお客様と当社との相対取引であり、当社の信用状況によっては損失を被る危険性があります。また、当社が提示する為替レートは他の情報(テレビやインターネット等)とは同一ではなく、不利な価格で成立する可能性もあります。(FXブロードネット)
(T注 FX業者が取引の委託を受けたとき、その委託に係る商品市場における取引をしないで、その注文を呑み込んで自己がその相手方(お客様に対する取引の相手方=お客のカウンターパーティ)となって取引を成立させること。即ち「のみ行為」)▲商品先物取引法
▲ウィキペディア
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<相対取引とは==取引およびそれに関する利害関係は業者と会員の2者で完結する>
(1)個別の会員と業者とで取引が成立し、第3者は関与しない。カバー銀行も、同業他社も、マリーも、DDもNDDも関係ない。DD業者とかNDD業者と言う人もいるが、FXはインターバンク取引は行わないので、関係ない。株は「仲介取引」。
(2)個別の会員と業者とで取引条件を決める取引。個別の会員に違ったレートを配信することもある。買うと下がり、売ると上がる、とか、ある瞬間に買った人向け下に長い髭、売った人向け上に長い髭、様子見待ちの人向け変化なし、すぐに統一等。これら違法ではないし、業者の説明とも矛盾しない。株は「取引所取引」。
(3)個別の会員と業者との利害が、相対する取引。会員の損した分が業者の売り上げ。多くの会員が儲けると破綻の恐れ。なのでカバー取引が必要。儲けは期待できない。株は「仲介取引」手数料収入。
相対取引であるということは、取引およびそれに関する利害関係は業者と会員の2者で完結するということだ。1万ドルの買い注文が成立しても、業者は銀行とか、他の会員から何かを仕入れたりはしない。会員の損失は業者の売り上げとなり、会員の儲けは業者の損失となる。ゼロサムゲームという言葉を使うならば、株取引は会員同士のゼロサムゲームであり、FXは会員と業者のゼロサムゲーム。会員皆が儲かれば業者は破綻する。そこで、くりっく365の業者は取引手数料を取り、非くりっくはレートを操作して破綻を防ぐ。つまり、業者と会員との利害も「相対する」ということだ。
株取引のような取引所での取引は、取引所がルールを定め、会員すべてがそのルールで取り引きし、また、取引所が取引の保証をする。これは、江戸時代の大坂堂島米会所での消合場▲
が原型で現在はクリアリング・ハウスと呼ばれている。相対取引はこれがないので、当事者同士のローカル・ルールが支配する。従って、取引所での取引である株取引や金融先物取引とは違うルールが適用されることを知っておく必要がある。
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<相対取引なので業者は個別にレートを配信する>
外国為替市場では、株式市場のように「特定の場所」での取引は行なわれません。いわゆる取引所を介さずに、金融機関など当事者同士が、売り手と買い手となり、相対(一対一)で交渉し、値段、数量、決済方法などの売買内容を決定する取引方法のことを、相対取引といいます
▲朝日新聞社 kotobank 出典:(株)外為どっとコム
朝日新聞社・ 外為どっとコムの説明に従えば、FXが相対取引ということは、それぞれの会員が業者と相対(一対一)で交渉し外国為替を売買する。時にはA会員は1ドル77円で買い、B会員は1ドル77円03銭で買い、C会員は1ドル77円05銭で買うような場合もあるかも知れない。その場合は業者が各会員の指値に応じたか、業者がそれぞれの会員に違ったレートを配信していたということだ。業者がわざわざ「相対取引ですよ」と断るのは「言い難いのですが、これは相対取引なので、すべての会員に同じレートを配信するとは限りませんよ。その辺を分かってください」と言っていると理解するのが良いでしょう。もしも常に会員すべてに同じレートを配信していたら、相対取引の要件である「相対(一対一)で交渉する」に外れることになる。
「買うとすぐ下がり、売るとすぐ上がる」と言う不満には「各会員に違ったレートを配信しています」ではなく「当社のサーバー、通信回路などの状況、あるいは相場の急激な変動により、情報が正しく伝わらない、というリスクがあることを承知してください」という趣旨の、ちょっと違った口実・言い訳を用意している。
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実際の取引とは
業者が「米ドル100円で買いませんか?」とのレート配信にA会員が「1万ドル買います」と応じると、業者はその注文を呑み込んで、他に取り次ぐことなく、その注文を記録するだけ、決済注文で「1ドル101円で売りませんか?」にA会員が応じると、初回取引と決済取引の差額、1万円がA会員の口座に振り込まれる。この間、A会員は1ドルも受け取らないし、業者は1ドルも用意する必要はない。つまり、業者は日本円だけで商売して外国為替は扱わないで商売できる。これが取引の実際。同じ時、米ドル100円で買ったB会員がなかなか上がらないので「1ドル99円で売りませんか?」に応じると、差額がB会員の口座から業者の口座に移る。同じ時に101円で売る人、99円で売る人が出ることもある。業者が個別の会員に違ったレートを配信することがあるからだ。それを「店頭取引」とか「相対取引」と言う。
この取引、違法ではないし、業者の説明とも矛盾しない。
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株取引は受渡決済、FXは差金決済
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各業者の「契約締結前交付書面」から引用。(2011.11.01)
4-1 決済に伴う金銭の授受 差金決済のみ可能で、外国通貨による受渡はできません。(DMM)
4-2 お客様は反対売買による差金決済を行うことにより、当該お取引を決済することができます。 (フォーランドフォレックス)
4-3 差金決済(さきんけっさい) 現物の受渡を行わずに、反対売買による差金の授受によって決済すること。(DMM)
4-4 当社におけるお客様との決済は差金決済のみ可能で、お客様の取引口座への入出金によって行います。外国通貨による受渡はできません。(みんなのFX)
4-5 受渡決済(うけわたしけっさい) 先物取引やオプション取引の決済期日に、原商品とその対価の授受を行う決済方法をいいます。取引所為替証拠金取引においては、受渡決済は行われません。