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Landor Associattes
Enterprise IG
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Enterprise IG 社訪問

ランドーアソシエイツ社からわずか5ブロック北にあるEnterprise IG 社訪問。

1981年に現在社長であるゴメス氏とシッチコフ氏およびバーマン氏の3人により創設。創立当初よりパッケージデザインを主体的にマーケティングデザイン開発を先駆けた。
今日ではサンフランシスコにあってプリモアンジェリと共にアメリカのパッケージデザイン界を代表する会社(フミ・ササダ)









湾岸通りを1本入った静かな通りに面してSBG Enterpraise社の入る建物があった。 エレベーターで2階のロビーにつくと、副社長Jack Volger氏から『みなさんようこそ』と元気よく達者な日本語のあいさつを受け驚いた。 真新しくリビルドされたばかりのプレゼンルームに通されVTRによる紹介から会社紹介が始まった。 19年前に設立。55名のメンバーがいて、85%がパッケージデザイン、そして残りの15%がアイデンティティづくりという内容。3〜4年前からテクノロジー系のブランドやパッケージが40%ほどを占めるようになり、今はEビジネスに変わってきた。 現在世界11ヵ国に17のオフィスを持ちニューヨークとロンドンにチェアマンがいる。 我々の使命は永久につながるメディアのアセットをつくることだという。

アカウントマネジャーの青年からデジタルデータプロジェクターを使用して作品紹介を受けた。 例:ヒュレット・パッカード社では一般顧客用パビリオンデザイン、56Kモデムの親しみやすいパッケージ、Global Village社のモデムパッケージ、Activex社のテクニカルパッケージ、Kensington社のマウスパッケージではブリスターを
やめ、箱に入れることで個性化を図った。またソケットのパッケージには120種、3ヵ国語表記をした。

例:Semantic社のノートンシリーズパッケージにはパソコンユーザーに対して遊び心が必要だと提案し、また情報量を減らすことでシンプルできれいなパッケージに改めた。

例:SUN社のロゴタイプ。元のは社長のスコット・マクヒール氏が大学2年の時に自らつくったものであったが、より分かりやすさをねらって新たなロゴ組みをデザインした。

例:WORK SHOPというエンジニア用の決して安価ではない250ドル〜300ドルのソフトウェアパッケージにふさわしい価値観を表現したパッケージ。

例:Clean Wave社はマイアミにあるインターネットで洗濯サービスをはじめた会社。

質問:ユニバーサルデザインについてアメリカの状況をお聞きしたい。 その言葉は知らないが、環境対応、老人・身障者対応などの意味ではアメリカはそんなに考えていないし、遅れていると思う。

スクリーン裏の棚に展示した現物のパッケージ説明。 例:缶入りデルモンテジュースのメンバー店用パッケージは6〜8個入りの箱で、外からは中身が見えなかった。外スリーブ部分に内容物の野菜のイメージ訴求をするデザインを採用した結果40%のセールスアップをもたらした。

ソフトウェアは小売店で買う時代からインターネットで買える時代に変わってゆく。ハードウェアのマウスやテレポートはパッケージを作るが、ソフトウェアのパッケージは作る必要がなくなると思う。 シリコンバレーは金があるしEコマースが主流になる。インターネットはこれから大変な勢いで伸びるので関わりたいと思っている。

クライアントは消費者がCreativeを要求すると言う。今までなかったものを見たい、新しいもの、リフレッシュするものなど。しかし棚にはたくさんの商品があふれているから、むしろ簡単に読み取ることができるよう簡素であること、シンプリシティが大切だと思う。

例:3ヶ月前から開始したダンキンハインツ社のケーキミックスのパッケージデザイン例紹介。この製品の種類はシリーズで60種類もある。このプロジェクトはアメリカ全土でフォーカスグループ10〜12名の消費者調査を踏まえることとした。顧客のイメージ調査の結果、誰もが良い香りのイメージを持っていることが分かった。しかしパッケージはどうですかと聞くと、非常に古くて20世紀とは思えないという答えがかえってきた。そこでクリエイティブで新しく、かつエキサイティングで楽しくというコンセプトを設定した。


質問:それを見せてもらうことはできますか?
応答:いいですよとスタジオから開発中の一部を持ち出してきて見せてもらう。

質問:パッケージをデザインするときにパッケージ周辺の領域、例えば広告などのことも念頭に置き、それらのことも考えながらパッケージデザインの範囲を広げてデザインをすることはありますか?
応答:もちろんあります。常にパッケージの中に生活が覗いている作り方をしています。例えばこのパッケージはこれまでのブランドロゴの枠囲みに工夫をこらし、本を開いたシルエットの形に変更して提案した。そうすることでこの本のシルエット部分はパッケージと連動してクーポン券に使える。 当社は広告はやらないけど、広告会社とのコミュニケーションを図っている。たとえばテンプレートを出したりもしている。

質問:デザイン料はどれくらいですか?
応答:聞かれてしまったのでなんとかお答えしたい(笑い)。ワインの例ではクライアントが小さいこともありとても少ない額ですが、約5万ドル程度。一方ダンキンハインツではNBであり展開種類も60種類以上と多いので25万ドル程度です。(一同、少なくて5万ドルとはすごいと歓声)

質問:デザインコンペに勝ったところが受注するというシステムはありますか?
応答:デザインコンペはしない。かつてPackage Design Counsilがプロなのにおかしいと決断した。ただし見積りのコンペはある。あえて言えば、小さいとこでやることもあるかもしれない。つまり、スタートしたばかりでポートフォリオがない…とか、知名度が低いので…など、その場合は投資と考えられる。 (一同、なるほど…と納得の一瞬)

冒頭の『我々の使命…』といい、最後の質議応答にも圧倒されっぱなしの印象で、あっという間に予定時間が過ぎ、実り多い訪問となった。 Jack Volger氏の大変熱心で丁寧な応対に心より感謝したい。



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