7時45分にホテルを出発してフリーウェイを南下すること1時間余り。片側4斜線のフリーウェイは通勤の車で混み合いはじめた。反対車線はサンフランシスコへ通勤する上りの車、そしてこちらはシリコンバレーへと通勤するであろう下りの車。見渡す限り車で埋めつくされた景色には圧倒されてしまう感があった。
ランプを降りたらすぐ目前にApple社が見えてきた。4時間に渡る特別プログラムを組んで迎えてくれるのは異例のことだという。広大なパーキングロットに植えられた銀杏並木はすっかり黄色く色づき、真っ青な空に映えて美しい。そしてその下にはオレンジ色のかじったリンゴサイン。
建物に入った途端いかにもAppleらしい清楚でクリーンなインテリアに包まれた。自然光のシャワーを浴びる廊下の壁に置かれた21インチモニターにはWelcome JPDAと表示されていた。そして廊下を抜けるとそこはiMac展示室。壁面に配置されたiMacの1台に、さりげなくJPDAのホームページが開かれていた。細やかな心遣いがうれしい。
プレゼンルームは大きなU字形の白木のテーブルがスクリーンを取り囲むように配置されている。スナックとコーヒーのサービスカウンターからドリンクを手に席についた。
Sr. Business Developnment SpecilistのMs. Lisa Nakamoto女史より歓迎の言葉を受けさっそく本題に。
アップル社の最新企業概況について
Mr. Doug Folden, Human Resources Manager
●アップル社の売上は8ビリオン。その5%は研究開発費に費やしている。
危機からの脱出についてはディストリビューションに問題があったことを認識し、フェアに扱うところとプランを考えた。主だったところはCompu USA、Sears、Circuit Cityなど。そしてApple StoreをWebサイトに開き、今では25%の売上を達成している。利益率が高いという特徴がある。
●次に戦略的なビジネステーマを掲げてマーケットキャンペーンに取り組んだ。Think Differentによって買ってもサポートを受けられないのではとの疑いを払拭。フツーの会社とは違うんだとアッピールした。登場人物のイメージにはガンジー、ジョン・レノン、ボブディランなどを起用した。1998年にはCM、TV、TIME誌、FORTUNE誌に発表し、バスや建物、本にも及んだ。
●キャンペーンで新イメージを築いてから製品へと展開。iMacを登場させた。この時のCMはワールドワイドな製品を意識して世界中のどこの国でも通用するローリング・ストーンズを起用。
●ハードウェアは、それまでの分かりにくい数字名の呼称を撤廃。Proffesional、Consumer、Portable、Desktopに改めた。
iMacは誰が買うのか?についてはファーストタイムユーザー30%、ウィンドウズオーナー14%、Macオーナー56%。18秒毎に1台の売れ行き。
●ソフトウェアがないとマックは売れない。これまでの多くを絞り効率を高めた。代表的なソフトはQuick Time…ビデオ・メディア(Final Cut Pro、iMovie)
特にiMovieに関しては社員コンペを催して優秀作品に賞を与えた。最高賞を獲得したのはBGMに流れるギターのひき語りの中、2人の幼い兄妹の愛くるしさを表現したものだった。
・Web Object…Eコマース用
・Mac OS9、Mac OSXなど。
●インターネット
iTools。Kid Safe、iDisk(セーブした画像でWebページを作りURLを友人にE-mailできる、E-mail、Home Page、iCards(E-mail用ポストカード)、iReview(評論:本、TV、映画などプロに限らずコメントを入れられる)
どうやって金を得るの?とよく質問される。サービスを通してマックの良さを分かってもらい製品を買ってもらえるから。
●Growth
20〜45%/年(昨年)成長した。現在、Apple社の現金は銀行に4ビリオンある。
質問:今後のApple社の世界戦略プランの一つとして電車通勤者のための小型iBookの登場を期待できるでしょうか?
応答:確かにiBookは少し重いかも知れない、比較するとNoteBookは小型かつ軽量となっている。
ハードウェアのパフォーマンスについて
Mr. David Baker, Hardware Performance Maketing Manager)
●G4、G4デュアルはパワーユーザー向け。G4は128ビットでバスは800Mbit(G3は32ビットでバスは400Mbit)。ベロシティエンジンはマルチメディアのために作られたものだがインストラクションセットがデータを多くとれるようになっている(G3の4倍の処理速度)、そしてビデオ、サウンドに全て対応し、1マイクロサイクルで128ビットと4倍の処理速度。
デュアル・プロセッシングをPCと比較すると、PhotoShop処理でG4は35秒で終了するが、Dell300では51秒、Dell1000では60秒。
●ギガビットイーサネットのPC比較では、G4が190Mbpsに対してDellGX300Tは65Mbps、DellGX1000Tは115Mbps。つまり自分のハードディスクから映像データを取るよりギガビットイーサでサーバーから取る方が速い。
質問:マックのMHzはいつ頃高くなるのですか?
応答:MHzは機種によって意味が異なる。マックはコンテンツ制作を前提とし、システム全体でパフォーマンスを出そうとしている。URL: http://www.apple.com/creative/resources/acd を参照して欲しい。
Final Cut Proを使ったプロフェッショナル・デジタル・ビデオ編集について Mr. Steve Sullivan, Product Line Manager, software Technologies
●Final Cut Pro 1.2.5について
15年前にDesk Top Movieという言葉が使われたが、それと同じ。Desk Top Publishingをもじって言う。
1980年代にポストスクリプト、レーザープリンターが登場。ファイアーワイアー技術はポストスクリプトと似た役割を果たす。そしてデジタルビデオカメラが登場した。
Final Cut Proは1年半前に登場。それまでの20万ドル〜10万ドルの機能が入って999ドル。
新機能はハードウェアのカードと一緒に使うとレンダリングなしでリアルタイム対応でできるデジタルビデオツール。
圧縮されてないデータ編集も可能になった。3.5Mb/秒(デジタルデータ)
この後、Final Cut Proの使い方についての特別講座が始まった。題材はDansing Swing in the 90'sというタイトルのデジタル・ビデオ制作実演。Avidやプレミエーの良いところだけを採用したというソフトウェアの使いやすさがステップ毎に解説され、アップル本社に訪問していることを忘れてしまうほどの印象的な授業?となった。
最後に簡易版としてのiMovieとの違いが比較された。まさにその場ですぐにでも使えてしまいそうに思えてしまう一瞬だった。
熱心な?授業が終わり、時折りジョブス氏が社員を集めてスピーチすることもあるという中庭を抜け、アップルショップに立ち寄った。ファンにとってそこはまさに宝箱同然。限られた時間の中ショップ内を精一杯駆け巡り、それぞれに好みの品を手に入れて最後の訪問は幕を閉じた。
4時間にわたり、熱心に対応していただいたMs. Lisa Nakamoto女史に心から感謝するとともに、来春のApple社の新製品がますます魅力あふれんことを祈りつつ…。



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