このコーナーは、役に立ちそうな法知識を載せていこうと考えております。
なお、お役に立てない場合もあります。
法定相続分とは、相続財産に対する相続人の権利の原則的な割合です。
原則なので、相続人で話し合えばこれと異なる割合にすることができます。
被相続人は、遺言でこの割合と異なる定めをすることもできます。
法定相続分は次の通りです。
子、親、兄弟姉妹が数人いる場合は、上記の割合を均等に分けます。
(例外・・・子に嫡出子と非嫡出子がいる場合は、非嫡出子の割合は嫡出子の半分となります。兄弟姉妹のうち父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹は他の兄弟姉妹の半分の割合となります。)
(例)父が死亡し、相続人が母、子3人の場合。
母6分の3(2分の1)、子それぞれ6分の1相続分となります。
登記をするためには、通常登録免許税という税金がかかります。
登記の種類によって、登録免許税が変わってきますが、いくつかの登記では、非課税や減税の措置もあります。
主な登記の登録免許税の計算方法は下記の通りとなります。
不動産の価格(固定資産評価証明書の価格です)の | |
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売買 | 土地 1.5%、建物2%(減税ありの場合0.3%) |
相続 | 0.4% |
贈与、財産分与 | 2% |
不動産の個数 | |
抵当権抹消、住所・氏名変更、更正登記 | 1個につき1,000円 |
債権額の | |
抵当権設定、根抵当権設定 | 0.4% |
人は、15歳以上で意思能力があれば、遺言することが出来ます。
民法で定められている遺言は、方式(内容や作成方法)が決まっており、その方式に従っていない場合は、その遺言は無効となってしまいます。
遺言は、例えば自分の死後、自分の財産を特定の相続人や第三者に与えたい場合などに作成されるもので、遺言で定められる項目も決まっており、一般にいう遺書とは異なります。
遺言の作成方法には、普通方式と特別方式に分かれますが、特別方式は通常あまり使わないと思いますので、普通方式の説明をします。
(なお、特別方式とは、疾病等により死亡の危急に迫った場合、船舶が遭難した場合、伝染病で隔離されている場合、船舶にいる場合に遺言をするための方式です。)
証人・立会人 | 作成方法 | 家庭裁判所の検認 | |
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自筆証書遺言 | 不要 | 遺言者が、全文、日付、氏名を自書し、押印する ※ワープロ等での作成は不可 |
要 |
公正証書遺言 | 公証人、 証人2人以上 |
|
不要 |
秘密証書遺言 | 公証人、 証人2人以上 |
※ワープロ等で作成も可能 |
要 |
※家庭裁判所の検認とは、本人の死亡後に遺言書の存在の確認や改変等を防ぐために行う手続きです。(検認を受けないと相続登記等には使用できません。)
相続登記に関するQ&Aです。
Q1.相続登記はいつまでにしなければいけないのでしょうか? |
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A. 相続登記は相続税の申告とは違い、いつまでに相続登記をしなければいけないといった期限はありません。 しかし、期限がないからといって、長い間そのままにしておくことはあまりおすすめできません。 そのままにしておくと、相続人がさらに亡くなってしまったり、行方不明になってしまったり、高齢になり認知症等により意思表示が難しくなってしまった場合など、遺産分割協議がすぐには出来ず、費用と時間がかかってしまうことが考えられます。以上のようなことから、そのままにしておかずに相続登記は早めに行うことをおすすめします。 |
Q2.相続登記は自分でも出来ますか? |
A. 結論から言いますと、出来ます。 相続登記は他の登記と比べると、そこまで難しいものではありません。(多少相続登記について調べることは必要です。) ただ、相続登記をするために必要な書類、戸籍謄本や遺産分割協議書、登記申請書などがすべて揃えられていなければ登記をすることはできません。 これらを揃えたり、調査したり、登記所へ相談に行ったりなどのことを考えると、司法書士に依頼したほうが確実で早く登記申請することが出来ます。 ただし、司法書士に依頼すると司法書士報酬がかかってしまいます。 私は司法書士なので、司法書士に(私に)ご依頼されることをおすすめします(笑)。 |
Q3.相続人が何人かいるのですが、そのうちの一人にすべて相続させたいのですが? |
A. 相続人が複数いる場合に、相続人のうちの一人にすべて相続させたい場合又は法定相続分と異なる割合で相続させたい場合は、遺産分割協議をし協議書を作成する必要があります。 遺産分割協議書は、誰が何を取得するのか等を記載し、相続人全員が署名又は記名し実印で押印し、さらに全員の印鑑証明書をつけることで、相続登記の際に使用できるようになります。 |
Q4.夫死亡後、夫の書いた遺言が見つかりました。そこには土地と建物を妻に相続させると書いてありました。遺言はこのまま使えますか? |
A. まずは遺言の様式を確認し、自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所で遺言書の検認という手続きをとる必要があります。(3.遺言 参照) 封印されている場合は勝手に開けてしまってはいけません。勝手に開けてしまうと5万円以下の過料に処せられます(民法第1005条)。 また、遺言の記載の仕方によっては、使用できない場合もありますので、使えるか、使えないかは登記所や司法書士に確認した方がよいでしょう。 |
Q5.相続人の中に未成年の子がいます。遺産分割するにあたりなにか手続きが必要になりますか。 |
A. 例えば旦那様が亡くなってしまい、相続人が奥様と未成年の子が2人いる場合で、旦那様名義の預貯金や不動産がある場合で考えてみます。 まず、遺産分割協議をする場合、奥様と子で協議を行うことになりますが、奥様と子では利害が対立してしまうため、子のためにそれぞれ特別代理人を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。 その後、奥様と、特別代理人2人の3人で遺産分割協議をすることになります。 なお、原則として奥様がすべて相続するような内容の協議は認められません。子の相続分に配慮をした協議にする必要があります。 ※遺産分割協議をせず、法定相続分で相続する場合はこれらの手続きは必要ありません。 |
Q6.相続人の中に、認知症等で意思を表示することが難しい人がいます。 |
A. この場合、原則としてその方について、成年後見制度を活用し、成年後見人等を選任してもらった上で手続きを進める必要があります。 |
Q7.以前に相続登記をしましたが、道路部分について相続登記をするのを忘れていた(相続登記漏れがあった)のですが・・・ |
A. このようなケースは、たまにあります。道路部分が他の土地建物と離れていたりする場合や資料が少ない場合など、調査をしても見つけられない場合があるからです。 手続きとしましては、道路部分を相続人のうちの一人が相続する場合、原則として道路部分につき再度相続人全員で遺産分割協議をする必要があり、その後道路部分の相続登記をすることになります。 ただし、この場合以前の遺産分割協議書が使える場合もありますので、登記所や司法書士に確認された方がよいと思われます。 このようなことを防ぐには、相続登記前に、権利証や名寄帳、納税通知書などを使い調べることが大切です。 |