2時間の番組に大きな反響があり、千恵のメッセージは本として出版されることになりました。書いてくれたのはTBSの記者さんです。取材の際に千恵にインタビューを行い、千恵や私、親族、千恵の友達の胸中に気遣いながら千恵の思いを聞き出してくれた方です。病気と闘いながら一生懸命に伝えようとした、千恵の思いを全て汲み取っていただき、千恵が伝えたかった事は大切な事だと理解し、千恵の思いを形として残していただいた事を、本当に感謝しています。
本は驚くほどたくさんの人に読んでいただきました。そしてそれがまた次の一歩につながりました。本の収益を使った「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の開催です。TBSのスタッフの方々とNPO法人J.POSHの方々が企画したもので、若い女性(20代、30代)が少ない負担で乳がん検診を受けることができます。キャラバンは2008年3月に始まり、全国各地に千恵のメッセージを載せた乳がん検診車が行き、12月までに合計3,688人の方に検診を受けてもらうことができました。千恵のメッセージが詰まった本の収益で若い人が検診を受けられるというのは、まさに千恵が天国から若い女性たちを助けようと頑張っているかのようで、改めて千恵はすごいやつだ、と思ってしまいます。
そして、ぱんだ会の活動もこのキャラバンをきっかけに大きく変わりました。記者さんから「手伝ってくれない?」と言われて、ぱんだ会はキャラバンの運営スタッフを務めることになりました。それまでは、取材を受ける、ということが千恵の思いを伝えることでした。言ってみれば受け身の活動です。でも、キャラバンでは自分たちでもできることがいろいろあります。受付をやったり、案内をやったり、検診のアシスタントをしたり。千恵が伝えたメッセージがきっかけでこんな活動ができるようになってとても嬉しいし、自分がその活動に少し貢献できていることがとても嬉しいです。千恵の友達もみんな喜んで協力してくれました。みんなボランティア活動という意識は全く無く、千恵の病室でみんなで集まってわいわいやっていたのと同じ感覚で、キャラバンでみんなとわいわい楽しみたい、という感覚でやっています。キャラバンでは、行った場所で検診を受けに来た方といろんな話をできるのがとても嬉しいです。みんな千恵の思いを真剣に受け取ってくれています。検診を受けることができなかった方からも、「今回は検診が出来なかったけど、必ず自分で行きます」といった嬉しい言葉も頂きました。確実に千恵のメッセージが全国に伝わっていると実感できました。
キャラバンの活動を始めてまもなく、このホームページを作成しました。番組や本を見た人から多くの温かい応援メールを頂きました。千恵のメッセージが伝わっている事を実感し、千恵が伝えようとした事は本当に大切な事だと再認識し、その後のキャラバンに取り組む活力となりました。応援してくださった方、本当にありがとうございました。
2008年最後のキャラバンとなった12月の茨城キャラバンの後、放射線技師の方から「キャラバンの検診でがんの女性が10人ほど見つかった」と教えてもらいました。そのうちの1人はテレビ局にもメールでがんが見つかったことを報告してくれていました。千恵のメッセージがこんな形で生かされてとても嬉しいです。千恵も絶対喜んでいると思います。
気がつけば、キャラバンを始めて1年が経ちました。本当にあっという間です。そして2009年、「余命1ヶ月の花嫁」が映画になりました。千恵のメッセージを伝える事を最優先に作ってもらった映画です。この映画を通して千恵のメッセージが1人でも多くの人に届けばいいなと思っています。ニュース番組、特別番組、本、キャラバン、映画と、1つのステップが次の一歩を生み出しました。なんだかこの2年間もずっと千恵と一緒にいたような気がします。これも、2年間ずっと沢山の方から応援があったから出来たことです。本当に皆様に感謝しています。ありがとうございます。