2023年度大阪公立大入試数学を解いてみた(理系・文系)
2023年度大阪公立大入試数学(理系・文系)を解いてみましたので, その感想をご紹介いたします。まず
ずは理系から。
[理系(試験時間120分)]
○第一問(数学A:確率)
(1)難易度D(基本) (2)難易度B(標準) (3)難易度A(やや難)
(1), (2) は易しいだろう。(3) は, B が最後にパーで負けたのが k 試合目であるとして, 排反に分けて計算
しよう。k=0 のときだけ他と計算が違うので注意。オススメ問題。
○第二問(数学Ⅲ:複素数平面)
(1)難易度D(基本) (2)難易度D(基本) (3)難易度D(基本) (4)難易度C(やや易)
これは基本問題。
○第三問(数学Ⅲ:部分積分, 積分の評価, 数列の極限)
(1)難易度D(基本) (2)難易度B(標準) (3)難易度B(標準)
色んな問題集にありそうなポピュラーな問題。確実に取りたい。
○第四問(数学A:C の性質, 整数 数学B:帰納法)
(1)難易度B(標準) (2)難易度C(やや易) (3)難易度B(標準) (4)難易度D(基本)
(5)難易度A(やや難)
(1)~(3) は超の付く有名問題で, (4) は易しい。なのでここまでは取りたい。(5) は
(2n+1)^2≡2 (mod p) が見えれば出来るだろう。オススメ問題。
[文系(試験時間90分)]
○第一問(数学A:確率 数学Ⅱ:4 次関数)
(1)難易度C(やや易) (2)難易度B(標準) (3)難易度B(標準)
普通の問題だが, 文系なら割と差が付いたのではないか。
○第二問(数学A:整数 数学B:帰納法)
(1)難易度D(基本) (2)難易度C(やや易) (3)難易度C(やや易) (4)難易度B(標準)
(4) は b_n が奇数であることを示せばよい。本問も実力差が出やすかったと思う。
○第三問(数学A:整数)
(1)難易度B(標準) (2)難易度B(標準) (3)難易度C(やや易)
理系ならすぐに複素数の利用が思い付くので難しくないが, 文系受験者はどうであろうか。偏角に着目
出来なければ苦しいだろう。
○第四問(数学Ⅰ:2 次関数の最大最小)
(1)難易度B(標準) (2)難易度B(標準) (3)難易度B(標準)
場合に分けて 2 次関数の最大最小を調べる典型問題。これはしっかり解き切りたい。文系受験者にはオス
スメできる問題。
[総評・対策]
(理系)伝統的には数学Ⅲの比重が大きいのだが, 今年はそうでもなかった。第一問 (3) と第四問 (5) は
公立大受験者にはややタフか。しかし残りの問題はどれも取りやすく, これらでしっかり得点出来れば,
数学は合格点であろう。
(対策)難し目の問題もなくはないが, 大半が標準問題で, 基本を問う問題も少なくない(第二問など)。
なので,まずはこれらにフォーカスして対策すること。青チャートレベルが余裕なら, 公立大の数学は大
丈夫であろう。
(文系)この大学の文系数学は, 伝統的にそこそこタフで, 今年もそれなりの難易度であった。文系数学に
ありがちな易しすぎる問題が一問もなく, 数学があまり得意でない受験者は, 3 割も取れなかったと思う。
(対策)この大学は, 文系受験者にも割としっかりした数学力を求めてくる。数学が苦手な学生は苦しい
だろう。まず高 2 終了時までには, 青チャートレベルを一通り学習し終えておきたい。その上で, 理系向
きのややタフな問題集にも積極的に当たっていきたい。難問は出ないので, 難しすぎる問題に手を出す必
要はないが, じっくりと考える習慣は絶対必要。関西限定の文系数学なら, この大学が一番難しい。