2025年度東大入試数学を解いてみた(理科・文科)
2025年度東大入試数学(理科・文科)を解いてみましたので, その感想をご紹介いたします。まずは理科
から。
[理科(試験時間150分)]
○第一問(数学Ⅲ:面積, 曲線の長さ)
(1)難易度D(基本) (2)難易度B(標準) (3)難易度B(標準)
(3) の積分が少しやっかいだが, 十分気づける因数分解であろう。
○第二問(数学Ⅲ:定積分の評価)
(1)難易度D(基本) (2)難易度A(やや難)
(2) は総合力を問う良問。ぜひチェックしてほしい。
○第三問(数学Ⅱ:三角関数の合成 数学Ⅲ:関数の増減)
(1)難易度B(標準) (2)難易度A(やや難)
難しくはないが, 手間は掛かる。0≦θ≦π/6 に注意しよう。
○第四問(数学Ⅰ:背理法 数学A:整数)
(1)難易度A(やや難) (2)難易度SS(捨て問題)
(2) は良い問題だが, 入試問題としては厳しい( ii ⇒ i の証明は簡単だが, 逆が難しい)。(1) が取れればよ
し。
○第五問(数学A:場合の数)
(1)難易度B(標準) (2)難易度S(難問)
(2) は A_1=1 と A_1=2 と A_1≠1, 2 ⋀ A_2=1 と A_1≠1, 2 ⋀ A_2=2 とに分けて漸化式を立てれば
よいが, 色々と勘違いをおこしやすい。
○第六問(数学C:複素数平面)
(1)難易度B(標準) (2)難易度A(やや難) (3)難易度A(やや難)
(3) がやや難しいが, γ=x+yi に対し先ずは x^2+y^2=r^2 を固定して考えよう。オススメ問題。
[文科(試験時間100分)]
○第一問(数学Ⅱ:接線の方程式, 関数の増減)
(1)難易度D(基本) (2)難易度B(標準) (3)難易度A(やや難)
(3) は理系なら大した問題ではないが…文系では厳しいと思う。
○第二問(数学A:平面図形 数学Ⅱ:三角関数)
(1)難易度B(標準) (2)難易度B(標準) (3)難易度A(やや難)
(3) は深い洞察が必要。(1), (2) があっても大きな手助けにならない。
○第三問(数学A:確率 数学B:漸化式)
(1)難易度D(基本) (2)難易度A(やや難) (3)難易度A(やや難)
決して易しくはないが, これは頑張って取りたい。オススメ問題。
○第四問(数学Ⅱ:面積の計算)
難易度A(やや難)
全 4 問中一番文系らしい問題。易しいわけではないが確保したい。
[総評・対策]
(理科)昨年より難しいが, 4⃣(2) と 5⃣(2) 以外は何とかなる。決して易しいセットではないが, それでも
半分は取らないと合格は難しい。4 完以上なら上出来。
(対策)先ずは基礎力の構築を急ごう。遅くとも高 2 の間には仕上げておきたい(青チャートレベルでよい
)。残りの 1 年で実践力を上げていくのだが, ここでは量よりも質を重視したい。また東大は高難度の問題
も少なくない。高校レベルを超えた内容にも積極的に挑戦していこう。思考力を徹底的に鍛えるべし!
(文科)昨年よりマシだが, それでもまだ十分すぎるほど難しい。半分取るのも大変。完全に理系用の勉
強をしないと対応できない。
(対策)数学Ⅲまでやる必要はないが, それでもできるだけ掘り下げて, 理系学部を受験するつもりで対策
したい。例えば 1⃣ は有理式の部分分数分解(数学Ⅲでよく使う)の技術があれば完答できる。もちろん易し
い問題であれば独学でも対応できるが, 今年の問題に関していえば, Aランクの問題を独学で対応するのは
は難しいと思う(4⃣ はいける)。