2024年度東大入試数学を解いてみた(理科・文科)
2024年度東大入試数学(理科・文科)を解いてみましたので, その感想をご紹介いたします。まずは理科
から。
[理科(試験時間150分)]
○第一問(数学Ⅱ:領域 数学C:ベクトルのなす角, 楕円)
難易度B(標準)
多少計算が面倒だが全く難しくない。これは確実に取ること。
○第二問(数学Ⅲ:定積分の計算, 関数の最大最小)
(1)難易度B(標準) (2)難易度B(標準) (3)難易度B(標準)
f(x) が簡単に計算できるので難しいはずがない。時間もかからない。オススメ問題。
○第三問(数学A:確率 数学B:漸化式)
(1)難易度C(やや易) (2)難易度B(標準) (3)難易度S(難問)
(3) は色々勘違いしやすく正解しにくい。
○第四問(数学Ⅱ:円と放物線の共通接線, 4 次関数)
(1)難易度B(標準) (2)難易度B(標準)
方針は簡単に立つが計算がやたらと面倒。問題としてはかなりツマらない。
○第五問(数学Ⅲ:回転体の体積)
難易度B(標準)
これは典型問題。場合分けも一回で済むし計算も楽。この単元の初学者にはオススメできる問題。
○第六問(数学A:整数)
(1)難易度C(やや易) (2)難易度SS(捨て問題)
(2) を試験時間内に解決するのは無理だろう。
[文科(試験時間100分)]
○第一問(数学Ⅱ:接線, 面積)
(1)難易度B (2)難易度D(基本) (3)難易度A(やや難)
(3) は理系なら全く問題ないのだが, 文系ならどうであろうか。s=tanφ (0<φ<π/4) とおくと根号が外
れて解きやすくなるのだが…。
○第二問(数学Ⅱ:常用対数)
(1)難易度D(基本) (2)難易度S(難問)
m=27 or m=28 であることはすぐに分かるが, m=27 のときの可否の判断が悩ましい。良問だが文系用
としては難しい。
○第三問(数学Ⅱ:座標平面)
(1)難易度A(やや難) (2)難易度D(基本) (3)難易度B(標準)
条件 (ii) から得られる図形的特徴をうまく使って処理したい(二等辺三角形を作るのがよい)。力任せにや
ると複雑な計算になる。
○第四問(数学A:確率)
難易度S(難問)
余事象の確率を計算すればよいが, 文系には厳しいか。
[総評・対策]
(理科)ここ最近では一番易しい試験だった。まず第一問はハッキリ易しいし, 第二問, 第五問も東大レベ
ルの受験生なら全く問題ない。第三問(1), (2), 第六問(1) も易しい。ここまでは確実に取ること。第四問
は決して難度の高い問題ではないが, 計算がやたらと面倒。この第四問でどこまで点を取れたかが, 一つの
ポイントになったであろう。
(対策)今年はたまたま易しかったが, 例外と考えて対策しよう。まずはできるだけ早く基本を仕上げるこ
と。大数の新数学演習レベルには高 3 の一学期の時点で達しておきたい。残りの時間は, 東大の過去問や
大学一年レベルのテキストを使って, 思考力を徹底的に鍛える勉強に当てたい。
(文科)難しすぎて試験にならない(理科の数学よりも難しい)。部分点をかき集めて半分取れたら大成功
。
(対策)今年のような出題をされたら文系はひとたまりもない(難しすぎて差が付かない)。ただ易しい年
も少なくないので, まずは基本の徹底を図ろう。その後はハイレベルな問題集を使って実践力を養ってい
くとよいが, 特に数学 A の範囲は力を入れて取り組みたい。整数・確率の分野は相当難しい問題に当たっ
てもよいだろう。