2024年度阪大入試数学を解いてみた(理系・文系)
2024年度阪大入試数学(理系・文系)を解いてみましたので, その感想をご紹介いたします。まずは理系
から。
[理系(試験時間150分)]
○第一問(数学Ⅲ:数列の極限)
(1)難易度B(標準) (2)難易度A(やや難) (3)難易度B(標準)
(2) はハサミウチで評価するのだが, その点が少し難しいかもしれない。
○第二問(数学C:複素数平面)
(1)難易度S(難問) (2)難易度A(やや難)
A=f(1)ー3, B=f(i)ー1 と置いて f(1+i) を A, B を用いて表す(|A|≦1, |B|≦3 となるので, 状況把握がし
やすくなる)。それ以外の方法ではうまくいかないであろう。
○第三問(数学A:空間図形)
難易度A(やや難)
ベクトルを用いて計算で示す方法もあるが, 初等的に示してもよいであろう。なお計算で示すなら, 直線の
一方を x=y=0 などとして計算が楽になるように設定しよう。
○第四問(数学Ⅲ:回転体の体積)
(1)難易度B(標準) (2)難易度B(標準)
ただの計算問題で簡単。他の問題の難易度を考えれば, この問題は落とせない。
○第五問(数学A:整数)
(1)難易度B(標準) (2)難易度A(やや難)
(1) は確実に取ること。(2) については, 素数 p≧3 に対し pー1 は偶数であることに注意すれば何とかな
ると思うが, 完答には時間を要する。
[文系(試験時間90分)]
○第一問(数学Ⅱ:面積)
(1)難易度D(標準) (2)難易度B(標準)
ただ計算するだけだが, 文系用ならちょうどよい難易度であろう。
○第二問(数学C:空間における直線の方程式)
難易度B(標準)
理系の第三問を簡易化した形の出題。本問は連立方程式の解がただ一つであることを主張してもよいだろ
う。
○第三問(数学B:帰納法)
(1)難易度D(基本) (2)難易度B(標準)
P_n の意味を考えれば簡単に解決する。
[総評・対策]
(理系)今年はここ最近では一番難しい出題だったと思う。ハッキリ易しいといえる問題は第四問のみで
残りはどれも容易でない。得点率 50% でもそんなに悪い出来ではないと思う。6 割以上なら十分であろ
ろう。
(対策)年によって難易にバラつきがあるが, 今年のような出題の年もあるので, そのつもりで準備したい
。まずは青チャートレベルの基礎固めをできるだけ早く終えることを(理想は高2終了時まで)。その上で
レベルの高い問題集(大数の新数学演習など)に当たりたい。安易に答えに頼らず, 粘りずよく考えること
が大切である。勉強量も大事だが, 勉強の質も重視したい。
(文系)毎年大したことはないが, 今年は難しい方だったと思う。まず第一問, 第三問は確実に取りたい。
この 2 問で得点率 65% に達するので, 十分に及第点。第二問も特に難しくはないので, できればこれも取
りたいところだ。
(対策)まず 4STEP や青チャートを使って基本の徹底を図ること。これだけで十分合格点に達すると思う
が, 今年のように典型問題があまり出題されない年もある。余力があれば, 更にレベルの高い問題集を使っ
て思考力を鍛えるのもアリだろう。