1-1.和室は床の間の位置がポイント
「和室」を「洋室」に住環境整備で、「和室」を「洋室」に替えることは多いです。理由は、生活スタイルを「床座」から「イス座」に替えることが多いからです。 「床座」「イス座」は生活スタイルと現わす言葉で、床座は、寝具は布団で座布団と座卓で食事をします。イス座は、ベッドの寝具にイスとテーブルで食事を摂ります。 食事スタイルはイスとテーブルがスタンダートですが、寝具は床座の「布団スタイル」はまだまだ現役のようです。 しかし、高齢期の住環境整備にきっかけは、ベッドの導入が多いと思います。ベッドを使うので「和室」を「洋室」のしたいという要望です。 「床座」を「イス座」に替えるには、ひと廻り大きなスペースが必要寝具を布団からベッドの変えるのは、云わば、生活スタイルが「床座」から「イス座」に変わることです。 寝具が布団だと二組を敷く場合は6帖あれば充分なので、寝室を和室6帖をしている家は少なくないと思います。しかし、ベッド二台では8帖大のスペースが必要です。「床座をイス座に替えるには、ひと廻り大きなスペースが必要」なのです。 住環境整備を行うには、一般的に和室には床の間や押入がセットになっているので、これらを部屋に取り込むと広い部屋になりますので、イス座の生活空間にすることができます。 しかしこの場合、床の間などが和室6帖のどの面(短辺方向か、長辺方向か)に配置されているかで部屋の使い勝手が変わります。 和室6帖の長辺方向に床の間などがレイアウトされていれば、8帖大の正方形の部屋になりますが、短辺方向にレイアウトだと、7.5帖の長方形になります。 寝室に2台のベッドを置くのであれば、正方形の8帖が使いやすいです。 可変性のある間取りでは、和室6帖の長辺方向に床の間などをレイアウトするのが望まれます。 |
レイアウト➀ 押入・床の間を和室6帖の「長辺方向」に配置 ・和室に押入・床の間を取り込むと正方形の洋室8帖になる ![]() |
レイアウト➁ 押入・床の間を和室6帖の「短辺方向」に配置 ・和室に押入・床の間を取り込むと、細長い洋室7.5帖になる ![]() |
1-2.水回りはレイアウトにポイントがある
水回りでは、「トイレ」と「洗面所」、「浴室」を考えます。 一般的に水回りは、間取りのソーニング(用途分け)の際にまとめます。理由は給水管や給湯管、排水管の無駄がなく、コスパが良くなるからです。 水回りがまとまっておれば、「トイレ」と「洗面脱衣」「浴室」のレイアウトは、入れ替わったとしても、コスパは余り変わりません。であれば、レイアウトに「間取りの可変性」を考えるべきです。 レイアウトでは、次の3通りがあります。 |
レイアウト➀ 「浴室」「洗面脱衣」「トイレ」 ![]() |
レイアウト➁ 「トイレ」「浴室」「洗面脱衣」 ![]() |
レイアウト③ 「トイレ」「洗面脱衣」「浴室」 ![]() |
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「トイレ」と「洗面脱衣」が離れているためワンルームに出来ない。 | ![]() |
「寝室」と「トイレ」が離れているために、建具をつけれない。 | ![]() |
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可変性➁が出来ない | 可変性➀が出来ない | ![]() |
可変性「1回」 | 可変性「1回」 | 可変性「3回」 |
レイアウト➂が、可変性のある間取りレイアウト➀、➁、➂の違いは、レイアウト➀が寝室からトイレまでが、若干遠い程度です。 しかし、生涯、自宅で生活がしたい方は、自分の生活形態が変わることを覚悟することが必要で、その生活に追随する住まいには、可変性のある間取りが求められます。 つまり、レイアウト➂が可変性のある間取りなのです。 |
1-3.木造のスケルトン・インフィルを考える ~構造の単純化を計る~
耐震診断の調査で気が付いたこと昭和57年以前に建てられた旧耐震基準の家を、耐震性の調査をしていて気が付いたことがあります。それは、多くの住まいが、2階は子ども部屋のままで、下手をすると、もう何年も階段を上がっていないことです。 つまり、2階建ての住まいを持ちながら、平屋の範囲(1階のスペースのみ)だけで生活をしているのです。(使っていない2階のスペースの固定資産税は払っているのに、勿体ない現実です。) 住まいの骨格(構造)を整える私自身も経験しましたが地方では、子どもが「自分の部屋」で生活するのは、小学校から高校生までの12年程度ではないでしょうか。その後の部屋の姿を耐震調査で見た来たのだと思います。 子ども部屋が、そのまま使われずに物置になる状況をつくらないための対策は、子ども部屋のアップデートを想定して間取りです。 子ども部屋のアップデートは、人によって異なります。しかし、骨格(構造)を整えておくことで、柔軟な対応ができる住まいは造れます。 骨格(構造)を整えるとは、2階は外壁と中心部の内壁の耐力で耐震設計をすることです。耐震診断の報告書作成で、結構な軒数を計算しましたが、強い壁を入れたら良いものではなく、適度な強度を適切なバランスで配置することが大切なのです。このバランス感覚は、構造の単純化のつながり、それはコストダウンにもなります。 木造の「スケルトン・インフィル」「スケルトン・インフィル」は、柱・梁・床といった骨格(構造)部分(スケルトン)と、内部の壁(内装を含む)や設備部分(インフィル)を分けてプランを考えることです。手を加えながら長期的に住まいを活用する概念です。 生涯にわたり自宅に住み続けたい人に最適な考え方と思います。 |
2-1.床段差は考えましょう。 ~解消する 緩和する 活用する~
床段差を考える床段差でつまづいたり、転倒したりして、怪我、または痛ましい事故に合う人は少なくないようです。特に「ながら動作」(振り返りながら立ち上がる、印鑑などを探しながら踏み出すなど)の時に事故が多いようです。では、「なぜ、床に段差があるのでしょうか?」 床段差ができる「原因」は、多いのは仕上材の「厚みの違い」です。 でも、原因はそれだけではないようです。 では、床段差の「意味」は何でしょうか。 それは、部屋の床が高い方が「格式が高い」からです。 まだ住まいの中で畳の部屋が多かった時代は、畳の間(和室)と板の間(洋室)では、和室の方が洋間より格式が高いという意識がありましたが、これが和室の床が洋室より高くなっている所以(ゆえん)です。 話しは飛びますが、京都・二条城に徳川慶喜が大政奉還を表明した大広間があります。一の間に慶喜が座り、二の間に座している家臣の対面しています。一の間も二の間も畳ですが、当然、将軍・慶喜の方が位が高いので、一の間の床が高くなっています。 つまり、日本では、床材(畳)に関係なく、格式の高い人が使う部屋は、床を高く設(しつら)えます。 また、玄関の床段差は、靴を脱ぐという文化も屋外と屋内とに床段差を作ります。この段差で屋内に砂や埃を持ち込まれずに床の清潔が保たれています。 お風呂は湯水が流れ出すのを段差で止め、住まいの老朽化を防いでいます。 これら、「段差の意味」を守りながら「段差の対策」は、「解消する」「緩和する」「活用する」です。 |
2-2.手すりは目的に合わせたデザインと設置位置に
手すりの目的とは床段差がない所での家庭内事故では、やはり、転倒が多いようです。転倒の原因にバランス感覚の低下があります。言わば、脚力の低下であり、何かで補助をする必要があります。その補助をするものが腕力であり、腕力を脚力に繋げる役割が「手すり」なのです。 手すりの目的は、「姿勢の安定」や「動作の安定」「移動の安全」です。手すりは「掴む」ので、形状は「丸い棒状」のイメージがありますが、果たして、そうでしょうか。 手すりは手で「掴む」だけではありません。立ち上がりの際に手で「突く」、立位や座位を保つために「添える」、廊下など水平移動するときは「滑らす」、便器などの座って作業をする場合は手や肘を「置く」などでも使います。 これらの動作を安全に行うとすると、手すりの形状は「丸い棒状」だけでは対応が難しいことが分かります また、人によって「安定する姿勢」や「安心する動作」「安全な移動」は異なります。同じ人でも体調に左右されますし、時間帯によっても変わることもあります。 「どこに付けたらよいですか?」と本人に訪ねたいのですが、本人自体も知らない場合が多いのが現状です。 その人に合わせた「手すりの形状や設置位置」を考えます。 |
引戸は完璧ではない住環境整備の建具では「引戸」が推奨されていますし、現場でも多用されています。そういう私も、自宅の住環境整備では、採用した建具は全てが引戸でした。 しかし、引戸は決して完璧ではありません。 自分で体験しているので、自信を持って言えます。「短所もあるのです。」 ですので、短所を補う工夫をしておかないと、戸を開閉するたびにストレスを感じます。小さなストレスですが、継続するということはストレスは不満に膨らんで行きます。これは私の実感でもあります。 引戸は完璧ではありません。短所を知った上で、上手に引戸を活用しましょう。 |
2-4.温熱環境のバリアフリーで、健康を守りましょう
温熱環境のバリアフリー一般の住宅で、部屋から部屋へ移動するだけで「体感温度が25度以上の場面」があることをご存知ですか?それは「冬の一番風呂で、熱い浴槽に入るとき」と「冬の朝方に、暖かい布団を抜けてトイレに行くとき」です。 この時に体感する温度差で、身体は「ヒートショック」を起こします。 ヒートショックとは、「室温の変動によって人体への甚大な影響を与えること」で、家庭内事故の第一位の死亡要因になっています。 ヒートショックの問題は住環境にあります。対策は「温熱環境のバリアフリー」です。 住まいの温熱環境のバリアフリーは完璧ですか? |