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Astro Photo Graphy Stage


Monochrome photo


IC1396とsh2-129-3


肉眼で観ることの出来る宇宙は極近所。
望遠鏡を使って観ることの出来る宇宙も極近所。
望遠鏡を使って撮影できる宇宙は少し遠い宇宙。
観測機材を使っても観えない宇宙ははるかかなたの深宇宙。

宇宙は超立体的なもの。何処までも奥行きがある。
そんな宇宙の奥行きを一枚の紙の上に表現したい。
しかしそれは無理なこと。しかし…
“全ての天体写真に奥行きを表現したい”
それが自分が生涯かけて取り組んできたこと。
これからも。




テクニカルパン6415 World

水素増感したTP6415は天体写真撮影用フィルムとして生まれ変わる。
モノトーンの世界は無限の階調を約束してくれる。
ハイライトからシャドーへの移りゆく変化はモノトーンの波のような豊かな階調の宇宙を表現してくれる。
そしてなんと言っても圧巻なのはシャドー部分が宇宙に溶け込んでいく様はまさに画像処理の最高峰=芸術である。
但し、PC画面上で本来の性能を表現できないのが誠に残念である。



M51<NGC5194>こもち銀河(おおぐま座)
撮影鏡筒:タカハシ FS128NZ
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:150分
コメント:写真は露出オーバー。ただそれだけに外周の腕が宇宙に溶け込んで行く様はTPの本領発揮というべきであろう。この写真を強拡大しても画像が崩れない理由はTPの粒状性にある。1粒子が約3μmという銀粒子の大きさがTPの階調を支えている。


M64<NGC4826>黒眼星雲(かみのけ座)
撮影鏡筒:タカハシ FS128NZ
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:150分
コメント:星雲の中心の黒眼である暗黒帯と外側星雲の渦巻き構造を表現することがポイント。星雲を取り巻く腕の部分には渦巻き構造を持っており、これが表現できればベスト。同時に黒眼自体も適切に表現できる。


NGC2903(しし座)
撮影鏡筒:タカハシ FS128NZ
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:150分
コメント:起伏にとんだ中心構造と外側に伸びた淡い腕の部分の表現がが撮影のポイント。フィルム現像を高調にせず軟調処理を行い、中心の起伏を出すようにする。淡い外側の部分は露出をある程度かけないと出ないので、露出を十分かけ、現像は標準。印画紙は3号程度がベスト。


M65・M66・NGC3628(しし座)
撮影鏡筒:タカハシ FS128NZ
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:150分
コメント:同一写野に三対象がバランスよく納まり、それぞれの星雲事態の構造が三者三様で見ごたえがある。M65、M66ともハイライトからシャドーまで変化に富んだドキドキするような構造をもっている。NGC3628はは銀河を真横からみたスタイル。中心を横切る暗黒帯と左右外周の淡く伸びた部分の表現がポイント。



NGC7000・北アメリカ星雲(はくちょう座)
撮影鏡筒:ペンタックス 125SDP
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:240分
コメント:超人気で明るい大型の散光星雲。
メキシコ半島のリム構造、ガス全体的濃淡、ペリカン星雲のリム構造、またガスウェーブを表現することがポイントとなる。海の部分の暗黒帯には散光星雲のガスがかかっているので真っ黒に表現しないことだ。
モノクロ天体写真でも最も美しい対象で撮り応えがある場所だ。


IC5067・ペリカン星雲(はくちょう座)
撮影鏡筒:タカハシ FS152
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:240分
コメント:このペリカン星雲はたいてい写り過ぎで真っ白にとんだものが多い。長焦点で撮影するとじつに見事な模様が描き出される。撮影のポイントは、リム構造とガスウェーブの表現。原板はうっとりするほど美しい。



M45<IC349>スバル(おうし座)
撮影鏡筒:ペンタックス 125SDP
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:150分
コメント:青いガスメローぺに包まれた散開星団。青いガスには濃淡と数々の流れがある。この流れがじつに美しく特徴であ。



NGC1499カルフォルニア星雲(おうし座)
撮影鏡筒:タカハシ FS128NZ
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:240分
コメント:南北両側で東西方向にリム構造がある。そこから山を下るようにガス南北にガスが落ち込んでいる。この特徴を表現できればベター。Fの明るい光学系では写り過ぎに注意。


ic1396〜sh2-129-3(ケフェウス座)
撮影鏡筒:タカハシ FSQ-106
赤道儀:タカハシ EM-10
ガイド鏡:タカハシ FC76
オートガイダー:SBIG ST-4
カメラ:SEIHOSHA PRZ69
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:180分
コメント:ご存知ic-1396北西に存在するsh2-129-3ですが、なかなか写らない対象である。空の条件に左右されやすいが、撮影地が入広瀬のねずもち平で抜群な透明度に恵まれ映し出すことが出来た。


ic1396(ケフェウス座)
撮影鏡筒:ペンタックス 125SDP
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ69
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:240分
コメント:再三のトライによる撮影でここまで映し出すことが出来た。やはり銀塩は空が命。新潟県入広瀬・ねずもち平の空は素晴らしい。7月の梅雨時の真っ最中ではあるが、ピンポイント晴れに遭遇し幸運にも素晴らしいic1396が撮影できた。


M31アンドロメダ大星雲(アンドロメダ座)
撮影鏡筒:タカハシ FS152
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ69
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:240分
コメント:この写真も再三のトライによる撮影でここまで映し出すことが出来た。撮影地は今は車での入山が規制されている乗鞍鶴が池第二駐車場。車で入山できる標高としては日本一の高さとそれに伴う透明度がこの作品を作り上げた。銀塩撮影時代最後の砦として想いで深い撮影地であったとともに、これ以上のM31はこれから先絶対に撮ることはできないだろうと確信している。


NGC281(カシオペア座)
撮影鏡筒:ペンタックス 128NZ
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:120分
コメント:形が面白く意外と明るい散光星雲。右手前に暗黒帯があり、切れ込むような表現となる。小さいながら表情も豊かで濃淡や暗黒帯が横切っている。結構輝度が高いので暗黒帯ともども撮影しやすい対象である。


IC405・勾玉星雲(ぎょしゃ座)
撮影鏡筒:タカハシ FS152
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:240分
コメント:まがたまの頭の部分は明るく写り易いが、胴の部分は淡くなかなか写ってはくれない。この写真間で行き着く間何度も撮影したがまだ納得のいくものは撮れていない。頭の部分の構造は複雑でその中に青い散光星雲が存在する。また胴の部分も南北に縦ムラ構造を持っており表現のポイントとなる。頭の上には暗黒帯があり黒く落ち込んでいる。透明度が高い晩時間をたっぷりかけてこれらの特徴を再度写していきたい。


IC434・NGC2024 IC434は馬頭星雲(オリオン座)
撮影鏡筒:ペンタックス 125SDP
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:150分
コメント:超人気星雲。ガスの様子は馬頭星雲を挟んで東側は淡いガスの濃淡があり、西側は東西方向に流れている。また北側のNGC2024は小さいながら輝度の高い部分と切り込んだ暗黒帯が見事なバランスをみせ、全体が実にメリハリのある印象的な景観である。これらは明るい対象なので標準的な露出時間で十分写しだせる。いろいろな焦点距離で撮影してもそれなりに楽しめる星雲である。


M42<NGC1976>・NGC1977 オリオン大星雲(オリオン座)
撮影鏡筒:タカハシ FS152
赤道儀:ペンタックス MS-55i
ガイド鏡:タカハシ FC100
オートガイダー:SBIG ST-5c
カメラ:SEIHOSHA PRZ67
フィルム:コダック TP6415水素増感処理
露出:150分
コメント:北半球の散光星雲中最も輝度差が大きい対象である。
外側の淡い部分の表現を重視して撮影するのであれば長時間露出で周辺の散光星雲をだすもよし。それとも星雲の中の模様をリアルに表現するのであれば覆い焼き処理を施す必要がある。覆い焼きの難しさは技術的に大変難しいので熟練が必要だ。NGC1977は青い星雲の中に暗黒帯が切り込みように東西に縦断し色合いの美しい星雲である。この星雲はどんな撮影をしてもそれなりに写せる星雲なので、M42を如何により良く撮るかに集中すればよい。