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セカンドステージ
バードフォト
NewKDS雲台を改造しバード仕様にしました。
1.バード撮影システム紹介
●鏡筒:ライカ アポ・テレビット77(フローライト)
●雲台:ケンコー NewKDS雲台(オリジナル改造品)
●三脚:スリック・マスタープロU
●カメラ:キヤノンIXY1000
●カメラアダプター:SEIHOSHA新型汎用デジタルカメラアダプターU
●ピント用アダプター:自作2.2倍大型ルーペ付ピントフード
2.機材の特徴と改良点
@ライカ アポーテレビット77
フローライト光学系はシャープで自然な見え味 中間にかましたアルミブロック
対物レンズにフローライトを採用している。
フローライトレンズの特徴は、青、緑、赤の全ての可視光を満遍なく通し、しかも軸状収差が大変小さいことだ。
従って見え方として、偏りの無いナチュラルな発色で見えること。また軸上収差が小さいことから高倍率をかけてもシャープネスが損なわれないことも大きなメリットだ。
写真撮影では対物レンズそのもののF値が他社と比べて若干暗いので視写界深度の関係と球面収差の少なさから非常にシャープな像で写せることも大きなメリットだ。
セカンドステージのバード写真は殆どが2007年冬からの作品。この光学系のクオリティーが分かっていただけると思う。
外観はシルバーの落ち着いた容姿で好感が持てる。ピント調整ノブは粗動と超微動の二段構造。超微動ノブがピントの決め手となる。不満な点は、三脚取り付け台座位置が低すぎ本体プリズムカバーが後ろで出っ張ってしまい、長いアリミゾプレートを取り付けたときここに当たってしまうことだ。これを打破するには三脚台座に嵩上げようプレートをかまし何とか取り付けた。嵩上げようとしてはt20x30x50mmのアルミブロックをかました。
AケンコーNwKDS雲台
ノーマルのままではバランスがとりにくく使いにくい
NwKDS雲台は、テレスコープを縦・横フリークランプで動かせることと、微動装置でも動かすことができる2ウェー方式で便利なマウントだ。
フリークランプでは、そのテーション調整の度合いを脇についている黒いハンドルで簡単に行うことが出来大変重宝する。微動ハンドルは全周微動式となっていて、僅かな構図の設定に大変便利である。重量1kg。雲台としては軽い部類に入る。フィールドで担いでの移動は非常に楽になる。
欠点は、機種によっては、横方向と縦方向に、ウォームネジとウォームホイール間のガタが存在することだ。しかしこのガタは特殊工具が必要になってくるが調整できる範囲。調整されたものは素晴らしい使い心地となる。
Bオリジナル・ケンコーNwKDS雲台専用L型バランスプレート
L型金具をつけることによってバランスが自由にとれ使いやすい雲台にかわった。
パンハンドルを付けられる“新型L型バランスプレートを製作してみた。写真の黒い部分である。この金具は、KDS雲台の縦軸回転中心にテレスコープバランスの中心を設定することにより、フリーでどの位置でも止まることを前提に製作した。
L型の縦の中心にNewKDS雲台に付属するメスアリ型金具を取り付け、フィールドスコープにはアリミゾ金具を取り付けておいてお互いを接続する。その時フィールドスコープは前後のバランスをみて接続する。そうすることによってスコープの方向性は自由となり、向けたその場でピタリと停る超使いやすい優れものに変身する。
Cカメラアダプター:SEIHOSHA新型汎用デジタルカメラアダプターU
カメラ装着したところ スコープ側からみたところ 後ろからみたところ
コンパクトカメラの寿命はせいぜい2〜3年ぐらいだろうか。いずれにしてもシャッター押し回数一万回を過ぎたあたりから故障がちになってくる。またコンパクトカメラは日進月歩進歩の一途をたどっている。それに伴い性能もどんどん上がってくる。この上がってくる性能を見過ごす手はない。積極的に使っていきたいものだ。このような現状を考えると正直言ってコンパクトカメラは使い捨て感がぬぐえない。そのような使用感の中カメラアダプターには次のような使命が必要となってくる。“汎用性があること”がユーザーにとって大変有難い製品となる。
そこで考え製作されたのが、汎用タイプコンパクトカメラ用TAデジタルカメラアダプターUである。このカメラアダプターは奥行き、横方向、上下方向、回転と全ての機能がこの一台に凝縮されている。この一台があればカメラが変わっても相当期間使うことができる。事実私もカメラはIXYで5代目である。何の支障も無く使うことが出来たのも、このカメラアダプターのお陰である。
良いことばかり表現したが、欠点もある。それは重量が若干重いことだ。乾燥重量で400gあることだ。また欠点になるのか長所になるのか使う方本人の意思になるが、光軸調整が最後まで追い込めることだ。
コンパクトカメラのレンズは飛び出して安定するが、全てではないが、真上から見ていると若干斜めに飛び出しているような気がする。そこで杓子定規に接続リングで固定したのでは光軸が狂っている状態で使うことになってしまう。これでは光軸が狂っている方向に色収差が発生してしまい作品が台無しとなる。このカメラアダプターはこのような光軸まできっちりと調整できるのが大きなメリットと考える。
※実際に使用している方でこの辺がどうも苦手というかたは連絡してほしい。
D適正な倍率と見易さが大事!コンパクトカメラ用ピントフード
IXYに取り付けたピントフード。倍率は2倍強ぐらい。
ピントフードには過去たいへん悩まされた。倍率が高すぎたり低すぎたりで。倍率が高いとコンパクトカメラのドットが見えピントの山もなかなかつかめない。そんな中適切な倍率のレンズが見つかり、写真のように枠を自作して取り付けてみた。レンズの倍率は約2倍強。そして非常にクリヤーなマルチコートが施され、モニターの見易さとクリヤーさ、適切な倍率でよりモニターが生き生きと見えるようになってきた。ビンと合わせにたいへん貢献している。
参考:ピント合わせに一番大事な性能はコンパクトカメラのモニターのコントラスト。モニターを見てピントを合わせる以上モニターコントラストが劣るものはピントの山が分かりにくい。この辺は量販店で現物を見て種選定を行いたい。
EキヤノンIXY1000
モニターコントラストがあり、連写が早く何枚でも連写が効くIXY1000
このカメラで5代目になるがモニターコントラストは今までの中で最も見やすいようだ。前項ピントフードとの相性も良く一瞬でちらつくように分かるピントの山が見える。これが見えたときは自信を持って撮影できる。
またこのカメラの特徴として連写速度が速く結構連写してくれることだ。これで一瞬の表情をゲットする確立が上がったことは間違いない。
3.バード撮影を上手く撮るハード的考え方
@歩留まりのよい作品を量産するには口径80mm以下を!
距離が近く常に動く野鳥の撮影は、非常に難しい撮影対象の一つだ。
距離が近いことによるデメリットは視写界深度が浅くなること。対象との距離がある程度一定だとしたらフィールドスコープの口径により視写界深度は決まってくる。口径が大きくなると狭く、小さくなると広くなる。これによりピントの量産効果が大きく左右される。実際に使って歩留まりが良い口径とは、60mmのレンズである。80mmを越すとどうしても歩留まりが落ちシャープな作品が遠のく。
また朝夕と薄暗い場所での撮影を考えるとある程度口径が欲しいところである。これを考慮すると口径77mmぐらいを選択しておくと間違いないと思う。
Aピントの合わせの考え方
ベストなピントは視写界深度の交点であってそこから外れると軸上色収差が発生してしまいシャープネスは損なわれてしまう。大変シビアなものである。そのシビアさをオートフォーカス頼りとしている場合は良いピントは出せないはずである。まして異質の光学系に接続している訳なのでカメラ側の精度としてはとても追いつかない。ピントはあくまでもフォーカスロックを行ったうえで良質のピントフードでモニター像をしっかり見て画像の中心でピントの山を掴むのが基本である。
Bモニター像を確認するには
前項でも紹介したが、ルーペ付ピントフードを使うのが最も堅実である。但し乱視の方には不敵なので、一眼デジタルカメラをお勧めする以外ない。
ルーペの倍率は2倍強がお勧め。コンパクトカメラモニターの解像度はあまり高いものではないので倍率が高いとドットが見える結果となりピントの山が掴めないで終わってしまう。経験値で申し訳ないが2倍強の倍率が最も分かりやすかった。
C連写を有効に使おう
撮影しようとワイヤーレリーズを押した瞬間その反動でカメラが僅かに振動する。また相手はしょっちゅう動いているのでブレる確立は大変高いものになる。このような条件をリカバリーしながら撮影する場合は連写を使うのが歩留まりが上がる最善の方法である。
ワイヤーレリーズを押した瞬間カメラは押された方向にズレる。しかし2枚目以降はブレが納まりその要因は解消できる。また対象がしょっちゅう動く場合でも連写を使っていると相手が止まった瞬間シャッターが切れる場合が想定される。そこにはまればシャープに撮れるはずである。是非連写で撮影してほしい。今まで撮影した中でもきっと良い写真が埋もれているはずだ。
D機材に遊びはない?
よく機材のチェックを行うとネジが緩んでいる状態で使用していたり、クランプに遊びがあったり、意外と多い事例なのだ。また移動するのにロックした状態で担いだり車に積んだり、機材は悲鳴をあげているに違いない。
ネジの緩みや遊びは振動の原因になりかねないし破損の予備軍になりかねない。厳重にチェックしたいものだ。
また三脚や微動付き雲台はクランプフリーで持ち運びしないとギヤーの磨耗や破損、さらに大きな遊びに繋がる原因となる。このようなことが無いよう普段からの点検が必要になってくる。
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