OLI POPPE
非常に内省的だ
躍動感も薄く、そういう点が期待に反していた
"'TAIG'S TRIP"
OLI POPPE(p), MICHAEL GUDENKAUF(b), RALF JACKOWSKI(ds)
2011年10月 スタジオ録音 (ITCHY-DOG-RECORDS : IDR 001)
ドイツのグループだという。
もう5年ほど前になるが、ドイツのグループが盛んに紹介され、その一つ一つが個性に溢れていてジャズ界に旋風を起こしてくれたものだ。僕もその時期に良く聴いたものだ。
MARTIN TINGVALL(JAZZ批評 473.、717.)や超美人のOLIVIA TRUMMER(JAZZ批評 498.)、SEBASTIAN STEFFAN(JAZZ批評 485.)、MARC PERRENOUD(JAZZ批評 524.)などが輩出してきた時期だ。
最近はドイツ・ジャズがあまり目に留まらない印象だったが、久しぶりにゲットしてみた。
@"TADGH'S TRIP" いかにもヨーロピアン・テイストのテーマで始まる。美しくてリリカルな演奏だ。骨太なベース・ワークもいいね。3人でワ〜と大いに盛り上がる一瞬があれば、なおのこと良かった。
A"EFES" ベースのアルコを用いた内省的な曲だ。暗く重く沈んだ感じだ。躍動感のないジャズはどうも好きになれない。バラードであっても、スローであっても躍動感が必要だ。
B"HOMEGROWN" このグループの音楽はこういうものだ!というアイデンティティみたいなものが希薄なのが残念。3人の力量は悪いとは思わないけど、このグループが目指しているものがもっと鮮明になってくるといいと思う。
C"SORGENFREI" これまた内省的なテーマでスタートする。
D"RECADO BOSSA NOVA" このアルバムの中では何と言ってもこの曲でしょう!「いいテーマにいいアドリブあり」を実践してくれた。聴けば「ああ、この曲か!」と頷くことでしょう。
E"OPENER" 冗漫な感じのするベース・ソロと3者のインタープレイがが延々と続く。スリリングな展開が待っているわけでもなく、メリハリがなくて中弛み。
F"REGNEVILLE" 哀愁とロマンチシズムに溢れた佳曲。内省的な演奏ではあるが冷たいという印象はない。うちに炎を秘めているような趣は持っている。
今までのドイツのジャズに比べると非常に内省的だ。躍動感も薄く、そういう点が期待に反していた。このグループとしてのアイデンティティがもっとクリアに表現されると良かった。どういう方向を目指そうとしているのかよく分からない。このアルバムこそが彼らの追求するものだとするなら、これはいただけない。やはり、Dのように「いいテーマにいいアドリブ」を具現化してほしいところだ。
ドイツのジャズっていうのは日本人受けすると思っていたのだが、このアルバムにはちょいと疑問符が付く。
前述のMARTIN TINGVALLやOLIVIA TRUMMERの躍動感溢れる演奏を口(耳)直しに聴きたくなったのは僕だけではないだろう。 (2013.02.15)
試聴サイト : http://www.itchy-dog-records.com/shop/page/3?sessid=WpjnQ32t3i7um
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