独断的JAZZ批評 790.

JOEL HOLMES
興奮した!!!
"ETERNAL VISION"
JOEL HOLMES(p), HERMAN BURNEY(b), ERIC KENNEDY(ds)
2005年月 スタジオ録音 (JOEL HOLMES)


JOEL HOLMESのピアノ・トリオ・アルバムがないかと一生懸命に探したら、このアルバムを探り当てた。きっかけは前々掲のGIANLUCA LUSIとこのJOEL HOLMESのデュオ・アルバム"LOOSE"(JAZZ批評 788.)。 このアルバムを聴いて、僕はHOLMESに心を奪われた。そして探し出したのがこのアルバムで、HOLMES、22歳の時のピアノ・トリオだ。
アメリカにはこういう素晴らしいピアニストが眠っている。アメリカのプロデューサーは一体何をやっているんだと唱えたい。何故、これほどのピアニストが日の目を見ないで埋もれていたのか!もっとも、そこに目を付けてくれた人がいたので、今年、この"LOOSE"の発売となったのであろうが・・・。因みに、2005年録音のこの"ETERNAL VISION"はHOLMESの自主制作盤の趣だ。
一聴して驚いた!まったく初めて聴くベースのHERMAN BURNEYとドラムスのERIC KENNEDYの凄いこと!日本ではまったく無名と言って良い3人が織り成すピアノ・トリオが凄い!いや、参った!
このアルバム14曲の中で"BODY AND SOUL"が4バージョン入っている。いわゆる、テイク2、テイク3ではなくて、演奏スタイルをそれぞれ変えている。そういう非凡さもお見逃しなく!
スタンダード以外はHOLMESのオリジナル。

@"HOLYSPIRIT" モーダルな印象のテーマで始まる。それが突如、4-ビートのグイグイ突き進む演奏に変化する。良く歌うKENNEDYのドラミングも聴きもの。
A
"BODY & SOUL PART T" イン・テンポになってからテーマが始まる。リズミックで躍動感溢れる演奏。RICHARD DAVIS(JAZZ批評 44.)を彷彿とさせるBURNEYのベース・ワークが逞しい。
B"ETERNAL VISION" 
見事な3人のアンサンブル。
C"DIVINE REVELATION" 
くぐもった感じのバラード。
D
"BODY & SOUL PART U" 素直にテーマを弾かないところが面白い。これも躍動感に溢れている。短めの2分と20秒。
E"ONE LIFE TO LIVE" 
HOLMESのピアノはキレがあるし外連味なく演奏されているのがいいね。こういう演奏が出来るっていう応用力もあるし・・・。
F"MY SUNSHINE" 
HOLMESUのオリジナルだけど、お洒落な曲も書くね。
G
"BODY & SOUL PART V" ベースが定型パターンを伸びやかに弾くと、「えっ!これBODY AND SOUL?」なんて思ったりして・・・。グルーヴ感満載の約2分。
H"SOLAR" 
ベースがアップ・テンポの4ビートを刻むとシングル・トーンでピアノが絡んでくる。贅肉が取れて研ぎ澄まされた感じがいいね。
I
"BODY & SOUL PART W" 4つの中で最もメロディアスな演奏だが、わずか2分弱。
J"IT COULD HAPPEN TO YOU" 
3人が筋肉質で弾力性のある演奏を繰り広げる。めくるめくパッセイジ、唸るベース、踊る太鼓。
K"TOMORROW'S LIGHT" 
L"AMAZING GRACE"
 「アメージング グレース」をこんな風にアレンジするとはね!

このアルバムをゲットしたのはVENTO AZULという知る人ぞ知るジャズ専門・ネットショップだ。色々探したけど、このアルバムはここにしかなかった。2005年録音という古さも影響しているかもしれない。しかし、欲しいアルバムが探しまくって、やっと手に入る嬉しさはジャズ冥利に尽きるというもの。
そこに書かれているレビューにも同感!曰く「若い黒人ならではのバネの力を感じさせる。はちきれんばかりの柔軟性に富んだゴムマリのような筋肉から生み出される瞬発力」
このことはHOLMESに限らず、ベースとドラムスの二人にも言える。だからこそ、これほどのアルバムが生まれたのだと思う。
まさに、弱冠22歳の若者の、生きが良くて弾力性あふれる演奏を堪能できるということで
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。いやあ、久しぶりに
興奮した!!!

試聴サイト : http://www.cdbaby.com/cd/joelholmes



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